このように版画は作られる [アート]
昨日の続きで、版画制作の実演の様子です。
まず版となる板を固定して鑿(彫刻刀)で彫っていきます。
今回は単色で、墨を使います。
技法はいろいろありますが版を分けず下絵も使わずに彫ります。
下絵を使う場合はカーボンで転写します。
今回はフリーハンドで彫ります。
道具の多くは自作です。
インクの乗りを良くするため版木を湿らせます。
バレンも雁皮を使って何種類も作られています。
ボールチェーンを使ったものもあります。
墨を塗ります。
紙は二種類の和紙が用意されています。
これも予め十分湿らせておきます。
新聞紙の間から取り出します。
まず一枚刷ります。
さらに墨を塗ってまた刷ります。
バレンの種類と力加減などによって違いが生じます。
二枚目は濃くなりました。
三枚目。
端渓の見事な硯です。
すでに刷ったものを方向を変えて再度刷ったりします。
ボールチェーンのバレンでこんな線が生まれました。
新たに彫ります。
位置を合わせて紙をセットします。
最初の力強い線がくっきり出ていますが、90度回転した薄い線が残っています
新たに彫ったものもうっすらと見えています。
複雑さが生まれます。
単純な線と単純な形から、刷り方と向きを変えて重ねることによって奥行きが生まれます。
何かが生まれつつあります。
さらに重ねます。
さらに彫ります。
塗ります。
さらに濃く。
どうでしょう?
均一さを得るために糊を使います。
ボールチェーンです。
最後に大胆な線を加えます。
一気に締まりました。
これも。
どちらも作品です。
色を塗らない板木もあります。
このように凹凸をつけます。
誕生の瞬間を皆息を呑んで見つめました。