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豪華パンフレット:『WEST SIDE STORY』 [映画]

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TOHOシネマズで販売していたというパンフレットを入手しました。



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確かにこれは異例ですね。

メイキング本の翻訳です。


もうだいぶ以前からパンフレットはずいぶん簡単なものになったなと感じていたのですが、これはまたすごいですね。

昔は無料でくれたパンフレットも購入するものになって久しいように思いますが、これはいつものように買おうと思っていた人も躊躇ってしまいますね。



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上の写真はケースで、こちらが本体です。



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中にはスケッチやイメージイラスト、写真がふんだんに使われています。



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関係者の話が色々収録されているわけですが、バーンスタインの娘さんと息子さんも参加しています。


制作過程は大変興味深いですが、当初の舞台の成立過程について一つ発見がありました。

 

LEGACY
受け継がれる魂
P7
デビッド・セイント(アーサー・ローレンツ遺作管理者):
(中略)
アーサー・ローレンツは常に、社会的正義感をもって戦う人ではありました。彼は生前に「底辺ワースト・スリーがアフリカ系アメリカ人、ゲイ、ユダヤ系で、(中略)そういうテーマで劇を書きたいと思ったアーサーは、ロウアー・イースト・サイド、つまりマンハッタンの南東部でユダヤ系とカトリック系のあいだに起きていた軋轢に目をつけたんです。ところが、ジェローム・ロビンスと話を詰めていくうちにアーサーは、それならすでに『Abie’s Irish Rose』(原題/映画化版は『アビーの白薔薇』、『わたしのあなた』)がやっていると気づきました。1920年代にブロードウェイで大ヒットして、1937年と1954年にもリバイバル公演があった舞台ですね。そこで、その筋書きは一旦、脇に置きました。

(後略)


これは今まで得た資料には記述がなかった内容です。

既に取り上げられていたのですね。

これは重要なポイントです。

今までの資料で言及がなかったのは不思議です。

 

そのほか細かいことでいくつか新しく知ったことがありました。


A VISION FOR OUR TIMES
スクリーンに浮かび上がる“現代”
P13-
トニー・クシュナー(脚本/制作総指揮):両親ともクラシックの音楽家だったんです。父はクラリネット奏者で指揮者。母はバスーン奏者。ともにレナード・バーンスタイン世代でした。
(中略)
 スティーブンのお母さんがピアノを弾くのは僕も知っていたし、彼自身も子供の頃からクラリネットをやっていて、ミュージカルが大好きなのもわかっていました。
 
“DANCE AT THE GYM”
「ダンス・アット・ザ・ジム」
P66-
マット・サリバン(音楽製作総指揮/ミュージック、スーパーバイザー):
(中略)
トランペットは世界的に活躍しているウェイン・バージェロン。このトランペット・ソロを今回は長めにして、ウェインに思いきり暴れてもらってます。
印刷されたままですが、通常「制作」とされる表記が「製作」となっています。
次の文章も同じですが、上のトニー・クシュナーの説明では「制作」となっています。
 
“MARIA”
「マリア」
P81-
マット・サリバン(音楽製作総指揮/スーパーバイザー):
(中略)
今回のように、テンポを調整したり、キャストの演技を基準にアレンジを施したり、歌う人の声に合わせてキーを変える余地はあります。例えば「マリア」では、アンセルの声域などを意識してキーを変えました。
 
これは先日新しく入手したピアノヴォーカルスコアでそうではないかと思ったポイントです。
 
当初調べたいと思った成立過程についてはこれでほぼ分かったかなと思います。


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『ひまわり』を観よう [映画]

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先日 NHK でこの映画の一部を流して取り上げていました。

ひまわり畑の映像がウクライナで撮られたとされているということです。



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音楽はよく知っていますが観たことはなかったのでブルーレイの中古を取り寄せてみました。

解説によりますとオリジナルのネガが失われてしまっていて、上映用のポジからデジタル化しているとのことです。



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映像も音声もリマスターが大変であったようです。



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お洒落なパッケージです。



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反戦映画の名作と言われています。

いつもの大画面で鑑賞することにします。


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鑑賞: West Side Story [映画]

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昨日あんなふうに書いた次の日ですが、映画を観てきました。
時間が取れたので映画館のサイトをチェックするとガラ空きだったのです。
上映が始まっても観客は十人に満たなかったと思います。
 
 
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一言では言えませんが演奏と録音は良かったですね。

特別な音響装置を備えた館ではないのですが、不満に思うほどではありません。


確かにダンスシーンは迫力がありました。

カメラワークも新鮮です。


ただ、ロバート・ワイズの視点が記憶にあるのでちょっと戸惑いもありました。

リアリティを追求したのでしょうけど、ベルナルドもリフもトニーもなんと言いますか華がないように思えました。

そして昨日触れたマリアも。


二人の二重唱「Tonight」はハーモニーがきっちりしていてまあまあ良かった。

ただ「Maria」と同じですがもっと感情が強く出てほしかったと思います。


「Somewhere」が歌われる場面は旧作と変えられていますが、良かったです。

リタ・モレノはさすがに良かったですね。


トニーが運ばれていく場面、ジェッツとシャークスのメンバーが運ぶのですが、ここは旧作の方が心に響きましたね。


でもストーリーも音楽もよく知っているのに映像と一緒だと感じ方が違いますね。

思わず涙ぐんでしまう箇所がいくつもありました。



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帰りに楽譜を見ていましたが、バーンスタインの手書き譜と出版譜が調が違うことに気付きました。

上は手書き譜で変ニ長調(D♭)、



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出版譜は変イ長調(A♭)です。四度低くなっています。


他も見てみますと「Something's Coming」は手書き譜がイ長調で出版譜がハ長調で二度低い。

「Cool」はどちらもハ長調で同じ。

「I Feel Pretty」はどちらもヘ長調で同じですが、拍子は 3/4 が 3/8 に変更されています。



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以前購入したフルスコアも参照したいところですが、どこに仕舞ったのかすぐにはわかりません。

変更された理由はわかりませんが、歌い手さんの音域の問題かもしれません。


もう一回くらい観てもいいですね。

そしてその後で旧作も。



追記。

エンドロールを見ていて気づいたのですが、Kodak のロボマークと Kodak 35mm Film というような文字が見えたのですが、帰りに検索してみるとメイキング映像に「フィルムでないと」という発言がありました。

デジタルで撮影しているかと思ったらフィルムなのですね。

旧作は 70mm ですが今回は 35mm なのでしょうか。

まあ、フィルム自体の粒状性がかなり違うでしょうが、あの色調はやっぱりフィルムであることも理由の一つなのだろうと思います。


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『ウエスト・サイド物語』になった日 [映画]

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いつの間にか公開日が先送りされていますが、これは日本だけで世界では今日公開されたようです。

上映はイオンシネマのようです。



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先日ちょっと触れましたがミュージカルの誕生までの経緯はこの本に述べられています。



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知りたい内容は P98 にあります。



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その過程を日誌にして出版したそうですが、それを含む文章の数々を集めたのがこの本だというので取り寄せてみましたが、その "日誌" は抜粋でした。



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写っていませんが、"日誌" の抜粋はこの次にあります。



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"Making of 〜" では

The two men reminisced and lamented the fact that their earlier idea of a modern-day Romeo and Juliet story had not worked out.


They recall in Sondheim & co. that while talking, they noticed a Los Angeles Times headline about gang fights between Mexicans and so-called Americans: “Gang Ritos on Oliveira Street.”


“Arthur and I looked at one another and all I can say is that there are moments which are right for certain things and that moment seemed to have come.”


Bernstein suggested: “What about doing it about the Chicanos?” In New York there were Puerto Rican gangs, and at the time papers were filled with stories about juvenile delinquents and their violent crimes.


“Suddenly it all springs to life,” Bernstein recorded in his diary for that day.

I hear rhythms and pulses, and — most of all — I can sort of feel the form.”

(P34)

と引用しています。


「生涯」では

話しているうちに、バーンスタインは新聞の見出しに目をとめた。

「オリヴィエラ・ストリートで暴動」メキシコ人とアングロ系白人の抗争を報じた記事だった。

ようやくモンタギュー家とキャプレット家の反目に匹敵し、かつ現実感をともなった敵対関係の現代版が見つかったのだ。

バーンスタインとローレンツは相談を重ね、舞台はロスアンジェルスからニューヨークへ移され、メキシコ人ではなく、プエルトリコの移民が採用された。

想像力に火が点いた、とバーンスタインは語っている

ラテンアメリカ音楽のリズムが頭の中で鳴りはじめたのだ

(P443)

と訳しています。


「〜音楽的人生」では

あらためて《ロメオ》のアイデアに奮い立つ。

ただし、今ではユダヤ対カトリックという前提は新鮮味に乏しいということでボツ、代わりに本命と思われる案を思いつく。

二つの10代のギャング・グループ、一方はけんか好きのプエルトリコ人、他方は自称「アメリカ人」。

突如すべてが活気を帯びてくる。

私にはリズムとビートが聞こえ──とりわけ──何となく形が感じ取れるのだ

(P145)

としています。

文章の構成に違いがありますが、概ね同じ場面です。


新聞が "The Ros Angeles Times"  であったわけで、それが報じられたその日そこで話し合っていたのは神様の思し召しであたかもしれません。



当初の着想から上演までの経過は "日誌" で追うことができます。


1949年1月6日

 ジェローム・ロビンズがバーンスタインに電話してアイデアを伝える。


1949年1月10日

 ロビンズ宅でアーサー・ローレンツに会い、どういうスタイルにするか話し合う。


1949年4月15日

 草稿を受け取る。

(この頃ローレンツもバーンスタインも非常に多忙で、このアイデアを進めることができない)


──6年余りが経過──


1955年6月7日

 ロビンズと計画について改めて考えを確認する。


1955年8月25日

 ローレンツとの話し合いの場で新聞に目を止める。

 "イーストサイド物語" だったものが "ウエストサイド物語" に変わる。


1955年9月6日

 ロビンズもその案を気に入る。


1955年11月14日

 スティーヴン・ソンドハイムに会い、作詞を任せることにする。


1956年3月17日

 『キャンディード』の上演決定。

 計画は一年延期。


1957年2月1日

 『キャンディード』の公演終了。

 計画に本腰で取り組む。


1957年7月8日

 リハーサルを見、舞台のスケッチ、衣装のスケッチを確認する。

 できに感激する。


1957年8月19日

 舞台初演。


1957年8月20日

 「昨夜のオープニングは夢に見ていた通りだった。

 多くの苦しみ、度重なる延期、無数の書き直しが、すべて報われた。

 そこには一つの作品がある。

(中略)

 この舞台をこれまで観たことも聴いたこともなかったかのように、泣いたり笑ったりした。

(中略)

 ハッピー・エンドにしてほしかったという声は一切聞かれなかった。

 ブロードウェイでは異例なこと。このショーの一員になれたことを誇りに思っている。」


と記しています。



計画が中断しなければこれほどの作品にはならなかったでしょうし、あの日方向が転換しなければこれだけの成功はなかったでしょう。

振り付け、脚本、詞、曲それぞれの傑出した才能が結集した奇跡のような出来事です。



名作のリメイク。

来年の2月が待ち遠しいです。


明日は母の通院の日なので朝の更新はお休みします。


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リメイクとノベライズ:West Side Story [映画]

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練習場所にチラシがあったのですが、あの映画がスピルバーグ監督でリメイクされたようです。



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キャストはアニタ役だったリタ・モレノがヴァレンティナ役で再び出演している以外は変わっているようです。

オリジナルのマリアはナタリー・ウッド、トニーはリチャード・ベイマーでした。

ベルナルド役は『ブーべの恋人』のジョージ・チャキリスでしたね。

歌は多くが吹き替えでしたが今度はどうなのでしょう?


録音はオリジナル・サウンドトラックのほかバーンスタイン指揮によるスタジオ録音があります。

歌はキリ・テ・カナワとホセ・カレーラスがメインです。

おすすめはオリジナル・ブロードウェイ・キャストによる録音です。


ウエスト・サイド物語

ウエスト・サイド物語

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2004/07/22
  • メディア: CD
バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリー

バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリー

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/09/07
  • メディア: CD
ウエストサイド・ストーリー

ウエストサイド・ストーリー

  • アーティスト: オリジナル・ブロードウェイ・キャスト
  • 出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)
  • 発売日: 2008/11/19
  • メディア: CD


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今日書店に立ち寄りましたらノベライズが置かれていました。



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著者のアーヴィング・シュルマンの名前は憶えています。

昔中学生の頃購読していた学習雑誌の付録に『理由なき反抗』が付いていたのですが、その著者がこの人でした。

半世紀も前ですが、なぜかよく憶えています。

その頃はこうしたノベライズものなどがよく付いていたように思います。


この文庫の著者の紹介を見ると『理由なき反抗』の原案に関わったとあります。


このところ読書のペースが速くなっています。

今日も一冊読み終わったので明日からこれを読みます。


映画も楽しみです。


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A Summer Story [映画]

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先日随分久しぶりにゴールズワージー の『林檎の樹』を読んだわけですが、その後昔読んだ旧訳も読みました。

新訳の方が読みやすいですが、旧約の方が詩的な雰囲気は優っています。

しかしながら今となっては少し文章が古いと思ってしまうところもあります。




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原文はどうなのか気になったので対訳を探しましたら今は出版されていないようで、一冊だけ古いものが見つかりました。




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少しだけ同じ部分を引用してみます。

 

法村訳(新訳)

P48-

アシャーストは衝動に駆られて彼女を両腕に抱き、その身を引き寄せて額にキスをした。

And, yielding to a swift impulse, he put his arms round her, pressed het to him, and kissed her forehead. 

 

そして、彼は怯えた。真っ青になったミーガンが目を閉じている。

Then he was frightened―she went so pale, closing her eyes, 

 

青ざめた頬にかかっている長くて黒い睫毛と、だらりと脇におろした両腕。

so that the long, dark lashes lay on her pale cheeks; her hands, too, lay inert at her sides.

 

彼女の胸を身体に感じて、アシャーストのなかを戦慄が駆け抜けた。

The touch of her breast sent a shiver thorough him.


P59

「今夜、みんなが眠ったあと、あの大きな林檎の樹の下で会おう。ミーガン……来ると約束してくれ」

  “Come to the big apple-tree to-night, after they’ve gone to bed. Megan―promise!”

 

 彼女がささやき声で答えた。「ええ、お約束します」

She whispered back:  “I promise!”

 

 そして、ミーガンの青ざめた顔に怯え、すべてが怖くなったアシャーストは、彼女から離れて階下へと戻った。

  Then, scared at her white face, scared at everything, he let her go, and went downstairs again.

 

P60

本を取りに部屋にあがったはずなのに、外に出たアシャーストは手ぶらのままだった。

He went out to the green chair as devoid of a book as ever; 

 

彼は緑の椅子に腰掛け、勝利の喜びと後悔を胸に、ただぼんやりと前を見つめていた。そうしているあいだにも、農場の人々は、彼の目のとどくところでもとどかないところでも、働きつづけていた。

and there he sat staring vacantly before him, triumphant and remorseful, while under his nose and behind his back the work of the farm went on.  

 

P62

「見てください、この子の目の青いこと!」ミーガンが言った。

Its eyes are blue!” she  said.

 

ミーガンは足を踏みならし、それから彼を見あげた。

She stamped her foot; then looked p at Ashurst.

 

渡辺訳(旧訳)

P35

そして、ふとした衝動にかられ、彼は両腕をまわして彼女を抱きよせ、その額に口づけした。

And, yielding to a swift impulse, he put his arms round her, pressed het to him, and kissed her forehead. 

 

すると、おお、なんと──彼女は真っ青になって、眼を閉じ、その長い黒い睫毛は青白い頬に蔭をつくった。

Then he was frightened―she went so pale, closing her eyes, so that the long, dark lashes lay on her pale cheeks; 

 

その両手はぐったりと両脇に下がって、彼女の胸の触感はアシャーストの全身を震わせた。

her hands, too, lay inert at her sides. 

The touch of her breast sent a shiver thorough him.

 

 

P43

「ねえ、今晩みんなが寝しずまったら、あの大きな林檎の樹の下に来てね、ミーガン──約束してくれるね!」

  “Come to the big apple-tree to-night, after they’ve gone to bed. Megan―promise!”

 

「ええ、きっと…… 」ミーガンはささやきかえした。

She whispered back:  “I promise!”

 

 と、アシャーストはミーガンの血の気のない顔に驚き、すべてが恐ろしく思われ、彼女をそっと放してふたたび下に降りて行った。

  Then, scared at her white face, scared at everything, he let her go, and went downstairs again.

 

アシャーストはいつものように本も持たずに、緑色の椅子の所へ行って腰を下ろした。

He went out to the green chair as devoid of a book as ever; 

 

そして誇らかな気持と軽い悔いを抱きながらぼんやり前の方に眼をやっていた。その間にもアシャーストのまわりでは畑仕事がどんどん進められていた。

and there he sat staring vacantly before him, triumphant and remorseful, while under his nose and behind his back the work of the farm went on.  

 

P45

「この眼、青いでしょう!」と彼女は言った。

“Tts eyes are blue!” she  said.

 

ミーガンは足を踏み鳴らした。

She stamped her foot; then looked up at Ashurst.

 

 

相良訳(対訳)

P49

彼は急激な衝動に身を任せて、腕を彼女にまわして抱きしめ、額に接吻した。

And, yielding to a swift impulse, he put his arms round her, pressed het to him, and kissed her forehead. 

 

それから彼はぎょっとした。──娘は真青になり、眼を閉じているので、長い黒い睫毛が青ざめた額にかぶさり、両手もまた力なく両脇に垂れているのだ。

Then he was frightened―she went so pale, closing her eyes, so that the long, dark lashes lay on her pale cheeks; her hands, too, lay inert at her sides. 

 

彼女の胸の感触が、彼の全身に戦慄を伝えた。

The touch of her breast sent a shiver thorough him.

 

P61

「今夜、みんなが寝てから、大きな林檎の木のところにおいでよ。ミーガン──約束しておくれよ。」

  “Come to the big apple-tree to-night, after they’ve gone to bed. Megan―promise!”

 

 彼女は囁き返した──「お約束しますわ。」

She whispered back:  “I promise!”

 

 それから、彼女の青ざめた顔をみて不安になり、何もかも不安になって、彼女を放し、再び階下に降りて行った。

  Then, scared at her white face, scared at everything, he let her go, and went downstairs again.

 

彼は、前の通りに本をもたず、庭の緑の椅子のところに行き、そこに、誇らしさと悔恨を同時に感じながら、ぼんやりと前を眺めて坐っていた。

すぐ目の目でも後ろでも、農場の仕事が進行している。

He went out to the green chair as devoid of a book as ever; and there he sat staring vacantly before him, triumphant and remorseful, while under his nose and behind his back the work of the farm went on.  

 

P65

「これ、青い目をしてますわ。」と彼女は言った。

Its eyes are blue!” she  said.

 

彼女はとんとんと足を踏みならした。

She stamped her foot; then looked up at Ashurst.

 

 

以下は試訳です。

 

And, yielding to a swift impulse, he put his arms round her, pressed het to him, and kissed her forehead. 

アシャーストは衝動を抑えきれずに両腕を彼女に回して抱き寄せ、額にキスした。

 

Then he was frightened—she went so pale, closing her eyes, so that the long, dark lashes lay on her pale cheeks; her hands, too, lay inert at her sides. 

ミーガンの様子を見てアシャーストは怖くなった。

顔色は蒼白で、目は閉じて長くて黒い睫毛は透き通るような頬にかかり、両手もまた色を失いだらりと両脇に垂れていた。

 

The touch of her breast sent a shiver thorough him.

柔らかな胸の感触を感じてアシャーストは身を震わせた。

 

  “Come to the big apple-tree to-night, after they’ve gone to bed. Megan—promise!”

「今夜、あの大きなリンゴの木のところに、みんなが寝たら…ミーガン、いいね!」

She whispered back:  “I promise!”

「ええ、…きっと!」とささやきが答えた。

 

  Then, scared at her white face, scared at everything, he let her go, and went downstairs again.

血の気が失せた彼女の顔を見るとアシャーストは急に何もかもが怖くなり、掴んでいた手を放すと階段を下りた。

 

He went out to the green chair as devoid of a book as ever; and there he sat staring vacantly before him, triumphant and remorseful,

いつもはないことだがアシャーストは本も持たずに外に出ると緑の椅子に座り、勝ったという思いと後悔とを感じながらぼんやりと前を眺めた。

 

 while under his nose and behind his back the work of the farm went on.  

そんなアシャーストの思いをよそに周りでは普段通りに農場の仕事が行われていた。

 


 

Its eyes are blue!” she  said.

「この子の目、青いんですよ!」

 

She stamped her foot; then looked up at Ashurst.

彼女は地団駄を踏むとアシャーストを見上げた。


 



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さてこれが映画化されているということは最近知ったのですが、タイトルは変更されていて『サマーストーリー 』になっています。

これでは分かりませんね。




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なぜ変えたのかと思ったら、ストーリーが少し変えられています。

大筋では変わらないのですが、ミーガンが死んでしまう理由やその原因などが変更されています。

なぜなのだろうと思ったのですが、上の引用した部分などが現代の映画では表現が物足りないのであるらしいです。

タイトルが変えられたのは林檎の木が登場しないからでしょう。

撮影した場所にちょうど良い木がなかったのかもしれません。

なので冒頭に引用される詩もなく、アシャーストが詩を作る場面もありません。

 



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ミーガンは原作より活発で積極的で意志が強い女性として描かれています。

 

ミーガン役のイモジェン・スタッブスは出演作は多くないようで、検索してみるとこの作品の他では『十二夜』くらいしか知りません。

 

アシュトン(アシャースト)役のジェイムズ・ウィルビイは上手いですね。

ミーガンのその後を知ったときのあの表情には思わず涙が浮かびます。




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これは LD ですが、DVD化されたものももう廃盤で、どういうわけか Amazon では二万円以上の値がついています。2,500円だったのに。

評価する人が多いのでしょうね。

 

我が家には LD のプレーヤーがありますし、いつもの練習場所でも大画面で観ることができます。

 

 

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Blu-ray もあるにはあるのですが、国内盤はなく北米版なので再生できません。




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もう一回観たくなってしまいました。

 
 
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長篇記録映画『東京オリンピック』 [映画]

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先日の上映会がとても良かったので DVD を求めました。

これは上映会の会場ではありません。

 



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2004年に40周年記念として劇場公開版とディレクターズ・カット版をセットにしたものが出ていたのですね。

 



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公開当時は諸般の事情により入れなければならない競技もあったのだそうで、ディレクターズ・カット版は22分短くなっています。

 

この映画を観た記憶はないので、上映会では新鮮な気持ちで観ることができました。

大河ドラマ『いだてん』でフィクションも織り交ぜながらですが当時の人々の苦労を少しではあるものの知ったうえで観ると開会式で聖火台に聖火が灯った瞬間、熱いものがこみ上げてきました。

 

クライマックスは女子バレーでした。

日本対ロシアの決勝戦ですが、あと一点で金メダルというマッチポイントを三回も迎えながらじりじりとロシアに追い上げられる緊迫感。

ドラマではないドキュメントならではです。

 

最後はロシアがネットを越えてしまったために日本が勝ったわけですが、緊張感が急になくなってしまって、ちょっとした虚脱感に襲われます。

そういう形ではなくサーブで決めた勝利だったらとも思うのですが、その時の選手たちは危ないところだったが勝てたという感慨が大きかっただろうと思います。

 

ここでは『いだてん』の「西周を犠牲にしてなんかいません。これが私の青春です」というセリフが蘇ってきて不覚にも泣けてしまいました。




制作スタッフは当日のパンフレットや Wikipedia などの情報を参照しするとおよそ次の通りです。
東京オリンピック』1965年 日本
総監督(製作総指揮):市川崑
監  修:青木半治、今日出海、南部圭之助、田畑政次、竹田恒徳、与謝野秀
脚  本:市川崑、和田夏十(市川崑の妻で脚本家)、白坂依志夫、谷川俊太郎
撮  影:村田重男、宮川一夫、長野重一、中村謹司、田中正
監  督:渋谷昶子(バレーボール)、安岡章太郎(体操)、細江英公、亀田佐、日下部水棹、前田博、
     中村倍也、錦織周二、奥山長春、柴田伸一、杉原文治、富沢幸男、山岸達児、吉田功
音楽監督:黛敏郎
音楽演奏:読売日本交響楽団
企画・製作:オリンピック東京大会組織委員会
製  作:田口助太郎
制 作 補 :谷口千吉
編  集:江原義夫
技術監督:碧川道夫
美  術:亀倉雄策
ナレーター:三國一朗


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こんどこの小ホールで DVD を観ようというわけです。

映写はプロジェクター。




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リアのスピーカー。




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フロントのスピーカー。

後ろにも同じものがあります。




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再生装置はいろいろあります。

まず DV、VHS。

 

ベータのテープは使えないようですね。




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レーザーディスク。




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CD, DVD, Blu-ray。




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カセットテープ、CD-R(RW)[録音], MD。

 



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SDカード、CFカード。

 



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スライドフィルム。




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8mmフィルム。

 

 

再生装置をお探しの方、いかがでしょうか?




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『東京オリンピック』上映会 [映画]

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NHK の大河ドラマ『いだてん』もいろいろありましたけれど残すところあと2回です。

放送の中で当初は 黒澤 明 が記録映画を撮るはずだったけれど田畑さんが辞めたために降りたということを知りました。

そうだったのですね。

 

次の日曜に千葉市中央図書館に隣接する生涯学習センターのホールでその記録映画の上映会があります。

 

事前申込が必要ですがもう定員に達してしまっているかもしれません。

 



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このホールでは一度テノールの演奏会を聴きました。

 



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この右手の階段で上に上がります。




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前回の第45回、良かったですね。

騒動になった徳井さんですが、いい演技でした。

 

あと2回、自分が映るのかどうかわかりませんが楽しみたいと思います。



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『魚が出てきた日』 [映画]

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ある程度の年齢の人でないとこの映画のことは知らないと思いますが、TV で放映されたこれはとても面白くて強く印象に残っています。




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ずっと DVD 化されなくて観ることができなかったのですが、先日検索してみましたら何年か前に発売されていたようです。

待っていた人も多いはずです。




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監督、撮影、音楽は『その男ゾルバ』のスタッフで、トム・コートネイは『ドクトル・ジバゴ』で知られています。

 

古いのでアスペクト比も 1.33:1 で、画質も良いとは言えませんが、そんなことは問題ではありません。




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冒頭で触れられるのですが、この映画が制作される前年、「パロマレス米軍機墜落事故」と呼ばれる事故が起こっています。

スペイン上空で米軍機同士が衝突し、水爆四個が落下しています。




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で、これに続いてこのような字幕が流れます。

(この映画はギリシャが舞台なのでギリシャ語の部分は英語の字幕が出ます)

 

 BUT ONE THING IS ABSOLUTELY PLAIN

 でも一つだけはっきりしてる

 

 THE NEXT TIME IT’S UNLIKELY TO BE SPAIN

 次はスペインではなさそうよ

 

これを見てすぐ連想するのは『マイ・フェア・レディ』です。

 The rain in Spain stays mainly in the plain.

 スペインの雨は主に平野に降る

plain は上の字幕にもあるように “明確である” という意味もあります。

 

『マイ・フェア・レディ』は説明の必要はないかもしれませんが、オードリー演じる田舎娘イライザが言語学者ヒギンズ教授(レックス・ハリスン)にレディに仕立てられるという物語で、まず彼女のコックニー訛りの矯正が行われます。

コックニー訛りというのはロンドンの下層階級の話す言葉の訛りを指していて、大きな特徴は二つあります。

一つ目は H が発音されないこと。

ヒギンズがイギンズになります。

 

フランス語の影響でしょうか。

 

もう一つは “エイ”と発音すべきところが ”アイ” となってしまうこと。

 

上の例文のレインがラインに、スペインがスパインに、ステイズがスタイズに、メインリィがマインリィに、プレインがプラインという具合です。



『マイ・フェア・レディ』が作られたのは 1964年ですから、この映画(1967年)もニヤリとさせる意図があったのかもしれませんね。




さて映画は墜落した(爆弾二つと謎の荷物はパラシュートで投下した)パイロットとナビゲーターが島にたどり着く(泳ぎ着く)のですが、なぜか二人ともパンツ(下着の方)一丁です。

この姿でこそこそと隠れたり食べ物を盗んだりする姿が可笑しくてたまらないのですが、そのパンツが時代を感じさせるだけでなく、パイロットの方はなぜか婦人ものではないかと思われる大きさしかありません。細部がはっきり見えないのでなんとも言えないのですが、ナビゲーターの方は当時の紳士物として普通なんですよねぇ。

 

エンディングでは魚が大量に浮いてきます。

指揮官は「防護服を?」と問われても「もう遅い」というほかありません。

 

フラックコメディですが、いろいろ笑えるポイントがありますし、あの事故を経験した日本ではただ笑ってだけはいられない怖さもあります。

 

表現としては今となってはちょっと古いと思われるところもありますが、オススメです。

 

 

出演者の多くは『黒いオルフェ』のように地元の素人ではないかと思います。


 


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(The Great) Gatsby [映画]

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野崎さんの訳になる『華麗なるギャツビー』を読んだのは随分以前のことですが、書店で村上さん訳を手にして久しぶりに読みました。

村上さん曰く翻訳には賞味期限とでもいうべきものがあるそうで、ご自身の訳もそうだとおっしゃっています。

解説が実に充実していて作者についても改めて知ることになりますが、村上さんがどうしても日本語の適切な言葉がなかったという “old sport” は「オールドスポート問題」とも表現される難問であるそうです。

野崎さんは「親友」と訳していますが、さすがにこれは浮いている感じで、話し言葉としてとても不自然に思えます。

かといって「友よ」でもなんか違うと思えて、結局「オールド・スポート」と訳すほかないのかなと思えます。

 

その後野崎訳をもう一度読み、他の訳はどうかと光文社の新訳シリーズを今読んでいるところです。




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そしてさらに先日から映画化されたものを鑑賞しています。

一本目はこの映画のイメージを決定づけているとも言えるロバート・レッドフォード主演のもの。

デイジーはミア・ファロー。

ニック役のサム・ウォーターストンは目立たない存在で語り手でもあるというイメージをよく出していたと思います。

トム役のブルース・ダーンは富豪の息子で鼻持ちならない俗物という感じをなかなか出していましたが、ディカプリオ版のジョエル・エドガートンの方がよりいやらしさが出ていたと思います。

ディカプリオ版のニックはトビー・マグワイアで、スパイダーマンのイメージが強いのですが演技は良いのですが傍観者では終わらない感じを漂わせていました。

 

ロバート・レッドフォードは見た目も演技も大変良いのですが、いかんせん役柄に対して歳をとりすぎている印象です。出征してから五年後ならもっと若いはず。

 

総じて原作の掴みどころのない感じ(謎めいた感じ)やスチール写真の光に溢れているようなイメージは良いと思のですが、原作のエピソードの取捨選択が少し違うのではないかという印象をどうしても持ってしまいます。

 

ディカプリオ版は批判もあるようですが、実を言うと当初はレッドフォード版の方が良いだろうという先入観を持って観始めたのですが、評価を改めました。

重要なポイントとなる場面を丹念に繋いでいって、物語の流れが自然になっています。

あの場面でどうしてそういう展開になるのかというポイントが、会話や演技によって自然に納得させられる仕上がりになっています。

これは野崎訳でもよく分からなかったポイントでもあります。

 

ディカプリオは特に好きでもなかったのですが、見直しました。

特にトムに掴みかかる場面での “人を殺したことのある男の顔” が見事でしたね。




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ディカプリオ版で印象に残ったのはゴルファーのジョーダン・ベイカーを演じたエリザベス・デビッキでした。

レッドフォード版で描かれていた “ごまかし” をする人間であるという描写は全部割愛されていましたので人物像が少し変えられていました。

ニックとの関係も省かれていましたが、最後にニックがまた元の世界に帰って行こうとする場面の “別れ” の描写が辻褄が合うようになっていました。

 

レッドフォード版で印象に残っているのはギャツビーの車のヘッドライト。

最初に見たときにああこれはエックルバーグ博士の目だなと思ったら、途中でオーバーラップする場面があるではありませんか。

 

レッドフォード版では事故の場面は描かれませんが、これはそういう時代でもあったからなのでしょう。

 



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ディカプリオ版は映像が素晴らしいですね。

イーウト・エッグやウェスト・エッグや豪邸が素晴らしく、目を奪われます。

 

パーティーの場面やトムたちの乱痴気騒ぎは過剰なほどの狂騒で、ちょっとやりすぎかなと思えなくもありません。

音楽は原作通りではありませんが、これも賑やかすぎるようにも感じました。

原作ではオーケストラの描写もありますが、楽器編成がかなり変則的です。

作者はこちら方面にはあまり詳しくはなかったのかもしれません。

 

未だに謎であるのはどうしてあの場面で車を買えた 替えた のかという重要なポイントです。

これはディカプリオ版でもよくわかりません。

 

これがその後の展開に決定的に重要な意味を持つのですが、その理由がわかりません。




グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

  • 作者: フィツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/05/20
  • メディア: 文庫


グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 作者: スコット フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


グレート・ギャッツビー (光文社古典新訳文庫)

グレート・ギャッツビー (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: F.スコット フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/09/08
  • メディア: 文庫
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光文社のこの新訳シリーズは初めて読みましたが、確かに読みやすい訳になっていて会話も自然なのですが、なんと言いますか原書の詩的な香りというものは失われてしまっていると思います。

 

これから原書を読もうとしているところです。

 

The Great Gatsby (Evergreens)

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  • 作者: F. Scott Fitzgerald
  • 出版社/メーカー: Alma Books
  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: ペーパーバック

華麗なるギャツビー [Blu-ray]

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村上さんの解説だったでしょうか、これはニックの人生開眼の物語とありました。

人生開眼といえばサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』の「ド・ドーミエ・スミスの青の時代」もそうですね。

 

ディカプリオ版ではニックがカウンセリングを受けていて治療の一環で「書く」という形で物語が始まります。

そしてそのエンディング。

タイプで打たれた表紙の GATSBY というタイトルの上にニックはペンで THE GREAT と書き足します。

 

村上さんによれば作者はタイトルに大層迷ったのだそうで、 The Great Gatsby というタイトルにも納得はしていなかったようで、映画のエンディングはそれを表現しているようです。

 

原作を随分読み込んで映像化したなという印象で、これはもう一度観ても良いかなと思っています。




 

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