時は移り [昔のことなど]
TB2号。当時もの [昔のことなど]
先日昔作った懐かしいサンダーバード2号を掲載しましたが、小学生のときに作ったとはいえきれいにできているとは言えません。
もし手に入るなら丁寧に作ってみたいと思ってネットオークションで探しましたらいくつか見つかりました。
1/350 とスケールが表示されてるものがいくつかありましたが、それが一番下のものです。
一番上の小さいものには 300円と書かれたシールが貼られたままでした。
メーカーのマークも変遷があったのですね。
これが一番下のものですが、これが当時私が作ったものと同じと思えます。
赤いプラスチックの部品も同じです。
もちろん大きさも。
ゼンマイ仕掛けで走る事、コンテナの中身も同じです。
デカール、接着剤も袋に入ったままですが、使えるかどうかは分かりません。
本体とコンテナは切り離された状態です。
前オーナーが作ろうとしてやめたのでしょうか。
時間のあるときに昔を思い出しながら作ってみたいと思います。
忘れ物の思い出 [昔のことなど]
古い手紙の消印です。ずいぶん久しぶりに取り出しました。
消印は '80.10.23 です。
もうそんなになるのかと感慨深いです。
その頃私は中野区にある会社の独身寮に住み、週末に家に帰るという日々を過ごしていました。
それは多分その月の上旬のことだったと思います。
一眼レフとレンズ一本をセミハードケースに収めて肩から下げ、自宅に向かう途中でした。
電車を乗り換えてすぐ、ケースを網棚に置いたままだったことに気付き次の駅で降りて引き返しました。いつもより荷物が多かったので、両手に荷物を持ったことに安心して肩から下げていたことを忘れてしまったのでしょう。
ダメだろうと思いながら駅の事務所に忘れ物を申し出ました。
すると驚いたことにそのケースは届けられていたのです。
どなたか私がケースを網棚に載せ、忘れたまま降りたことを見ていらしたのでしょう。
予想外の展開に驚き、安心し、嬉しさで心を満たして帰宅しました。
届けてくださった方の住所氏名は教えていただきました。
カメラは CONTAX でレンズは 85mm/1.4 でした。
高価でなかなか他のレンズが買えませんでした。
当時謝礼は品物の価値の 5%〜20% が目安とされていました。遺失物法は多少改定があったようですが、これは今でも変わらないのではないかと思います。
悩みましたが、2万円ほどの図書券を購入し、お礼状とともに郵送しました。
これで一件落着、でした。
ところがしばらくしてこの手紙が届きました。
差出人はカメラを届けてくださった方の名前の下に「内」と一文字書かれていました。
奥様という意味です。こうした手紙を受け取ったのは初めてでした。
さては謝礼が少ないというお叱りかなと思いながら封を切ると、便箋二枚にきれいな文字で書かれた手紙と写真が現れました。
拾ってくださった方の奥様が「よくぞお手紙を下さいました」「図書券は子供のために使わせていただきます」としてお子さん二人が写った写真を同封してくださったのです。
ご主人の意向でなくて奥様の気持だったのです。それが奥様の名前で差し出すのでなく私が手紙の宛名としたその方の家内ですとして差し出されたのです。
これはとても奥ゆかしいことだと強い印象を残した出来事でした。
その方や奥様、二人の子供たちは今どうしていることでしょう。
もうすぐあれから 30年という年月が経つことになります。
昨日取り上げた手紙で昔のことを思い出しました。
忘れられない経験です。
『祝典序曲』に血が沸く [昔のことなど]
シエナの DVD の続きはこうです。
PART 2 ORIGINAL & CLASSICAL
■祝典序曲(D. ショスタコーヴィチ/編曲:上埜 孝)
■エルザの大聖堂への入場(R. ワーグナー/編曲:L.カイエ)
■メトロポリス(A. ゴーブ)
■交響曲第5番《革命》;第4楽章(D. ショスタコーヴィチ/編曲:上埜 孝)
『祝典序曲』は演奏しました。当時使われていたのはは MCA MUSIC から出ていた D.ハンスバーガー博士の名編曲です。
シエナの演奏を聴いていると当時自分が担当してたパートの楽譜が目に浮かびます。
難しかったところも思いだします。すぐにでも参加できるような錯覚を憶えます。
当時はみんなオリジナルが汚れることを嫌って手で写譜したものです。もちろんコピーマシンはありましたが、コピー代は今ほど安くはなかったのです。
ショスタコーヴィチの曲は《革命》もよく演奏されていました。
どちらもショスタコーヴィチが国の意向に沿うように書いた曲で、狙い通り気に入られ、身の安全も図れました。『祝典序曲』には『森の歌』のメロディーが転用されています。
共通するのは異常なほどに興奮をもたらすように書かれていることでしょう。
自分が演奏したこともあり『祝典序曲』には熱中しましたが、《革命》にはやや冷めた見方をしていました。
確かに威勢が良く力強いが、深みがないではないか。
そう感じていたのです。
ヒトラーがワーグナーの音楽を戦意高揚に利用したように、当時のソ連の政治的意向に合ったのでしょう。
『祝典序曲』に熱中した私はフルスコアと同じような紙を探して来、その表紙も手書きで模写しました。
やがて後年オーケストラ譜のポケットスコアを見つけたときには即座に購入しました。
オーケーストラ版の演奏は思ったほど多くはないのですが、集った CD は少なくとも 10種類あるでしょう。
最も新しいものはアシュケナージ指揮によるものです。
上の写真はそのスコアです。
後ろに写っている汚れたものは、カバーとして使っている山野楽器の紙袋です。
当時のデザインが懐かしいので一緒に写してみました。
当時曲の選定やお手本として全日本吹奏楽コンクールの優秀団体の実況盤を聴きました。
印象に残っているのは次のような演奏です。
O.レスピーギ:交響詩「ローマの松」よりアッピア街道の松(福岡電波高校)【'66】
R. ワーグナー:歌劇「ローエングリン」よりエルザの大聖堂への行進(東京・豊島第十中学校)【'69】
D. ショスタコーヴィッチ:祝典序曲(兵庫・西宮今津中学)【'70】
R. イエーガー(※):組曲第2番よりファンファーレ、スケルツォ(福岡大学) 【'71】
I. ストラビンスキー:バレエ「春の祭典」より(東京:駒澤大学)【'71】
※現在はジェイガーと表記されます。
佐渡さんは私と同じような体験をお持ちなのかもしれません。
豊島十中の演奏による「エルザ」は当時吹奏楽で初めてレガート奏法を会得したとして非常に高く評価されたものです。
シエナの演奏はそれを彷彿とさせます。
今はあまり演奏されることはないようですが、R.Jager の『組曲第2番』も演奏しました。
良い曲だと思うのですが、いまだに CD が見つかりません。吹奏楽コンクールの名演集の CD には収録されているのでしょう。後で調べてみましょう。
アンコール
■モスクワを疾走(D. ショスタコーヴィチ/編曲:鈴木 英史)
■星条旗よ永遠なれ(J.P.スーザ)
アンコールのことは知っていましたが、あのマーチの演奏がこれほどすごいとは思いませんでした。
舞台に人が載りきれません。
尺八を吹いている人がいます。なんだか分からないものを叩いている人がいます。
みんな暗譜です。
一番驚いたのは指揮をする人もたくさんいることです。
佐渡さんはその中からのび上がって棒を振っています。
ぴっころのソロの後のフィナーレのものすごいテンポ!
私も参加してみたくなってしまいました。
...まずは楽譜を探しましょう。はは。
シエナの編成はエンドクレジットによると必要最小限という印象ですが、トランペット、ホルン、トロンボーンは増強されています。バンダも自前で賄えるようにということでしょうか。Tuba は二人です。
創立当初は確か 25才が定年だったはずですが、現在はそれは廃止されたようです。
でも全体的に若いですね。
テンションが高くてエネルギッシュです。これはこのウィンドオーケストラのカラーでしょう。
繰り返し視たくなってしまいました。
シエナの DVD に目頭が熱くなる [昔のことなど]
昨日は『耳折れ兄弟』だけを見ていたわけではなく、今まで買っておきながらなかなか視られなかったものを何枚か視ました。
まずは
『アフリカン・シンフォニー ブラスの祭典ライヴ2006』
佐渡裕氏指揮のシエナ・ウインド・オーケストラの12月の定期公演、横浜みなとみらいホールでの収録です。
PART 1 VIVA! 岩井直溥
■シング・シング・シング(L. フリマ/編曲:岩井直溥)
■メインストリートで(岩井直溥)
■マンボ No.5(P. プラード/編曲:岩井直溥)
■アフリカン・シンフォニー(V. マッコイ/編曲:岩井直溥)
冒頭のドラムスの音で思わず涙ぐんでしまいました。
私が高校で吹奏楽をやっていた当時は岩井氏のアレンジによる New Sounds in Brass のシリーズの黎明期でした。
第1作は CBS SONY から出され、ビートルズナンバー集でした。
これが新鮮でした。E.ギター、E.ベース、ドラムス等が加わったことだけでなく、アレンジも曲目もでした。
第2作目からはレコードは東芝に移り、演奏は東京アンサンブルアカデミーなどの団体を経て現在の東京佼成ウィンドオーケストラ(TKWO、当時は東京佼成吹奏楽団)になります。
涙ぐんだと書きましたが、在学当時この曲はまだ録音されていません。
プルーストの『失われた時を求めて』の有名なマドレーヌのように、過去の記憶を呼び覚ましたのです。
吹奏楽のことで頭が一杯だった若い頃の私を、と言ったほうが良いかもしれません。
どうしても記憶に染みついた TKWO の演奏(ドラムスは猪俣猛氏)と比べてしまいます。
クラリネットは良い音でほぼ譜面に書かれたアドリブをこなしていますが、ジャズを自分のものにしているわけではないなと思わせます。
トランペットのアドリブはオリジナルに縛られずに独自のアドリブをやろうとしているようですが、もうちょっとという感じです。
『メインストリートで』も懐かしいです。当時こんな曲が課題曲に登場したのです。
ジャケットでなぜ佐渡氏がフルートを握りしめているのか、視て初めて分かりました。
『アフリカン・シンフォニー』でまた涙です。
どうしたのでしょう。
自分にもこうして熱中していた時代が確かにあったことをはっきりと思いだしてしまったのです。
当時の先輩、後輩、同級生。楽しかったこと、苦しかったこと。
そして夢がたくさんあったような気がすること...。
TKWO と比べてもの足りない点があるとすればホルンの咆哮の音色ですね。
ティンパニは良い音です。
当時自分が吹いていた楽器にも目が行きますが、どうしてもフルートに注目してしまいます。
「シエナ☆フルーツ」の西野さんと金野さんですね。金野さんはブログで拝見する通りの印象です。
なんだか昔の楽譜を引っ張り出したくなってしまいました。
久々に感激しています。
PART 2 以降についてはまた明日書くことにします。