Siciliana(Respighi):フルート&ピアノ版 [楽譜]
宗次郎版のオカリナによるシチリアーナが好きなのですが、今回それをもとにしてオリジナルの弦楽合奏版からフルート+ピアノ伴奏版を作りました。
宗次郎の譜面は市販されていませんし、売っていた二種類の譜面ではどちらも物足りないのです。
調は原調で、フルートはほぼ宗次郎のオカリナをなぞっています。
テンポは ♩≒60くらいですが、ピアノはちょっと大変な箇所があります。
フルートは H足部管付が必要です。
目でよくチェックしたのですが、Finale でプレイバックしてみると入力の誤りが発見できますね。
どうも響きが変だと思うとそこが違っています。
宗次郎ばかり聴いていたのでオリジナルの録音も久しぶりに聴いてみましたが、マリナーよりはイ・ムジチの旧盤が好みに合います。
マリナーは三つの組曲全部を録音していますので、全部聴きたい方には良いかもしれません。
Finale の Humanplayback による再生をアップしますので、お時間のある方は聴いてみてください。
演奏用の譜面では自然な強弱が得られないので、録音用に細かく設定しています。
それでもちょっと不自然な箇所は残っています。
ピアノは STEINWAY をサンプリングしていますので良い音なのですが、フルートはあまり良くありません。
原曲ではコントラバスが4小節、6小節、7小節と長く伸ばす箇所があるのですが、このテンポではピアノではそれは不可能です。
打鍵し直す他ありませんが、そこは演奏者の工夫に任せることになります。
この音源ではタイの途中で一箇所打鍵し直しています。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
ピアノ伴奏譜を作る [楽譜]
レスピーギの「シチリアーナ」ですが、取り寄せてみた二種類の楽譜はどちらも今ひとつという印象です。
片方はフルートとハープですが、移調されていてイメージが違ううえ、チェロとコントラバスがピチカートで奏する特徴的な音型がありません。
もう一種類は原調なのですが、低音の特徴的な音型は残されているものの伴奏のアレンジが面白味に欠け、長さも短縮されています。
やむを得ないのでオリジナルの弦楽合奏からピアノ譜を作ることにしました。
まず弦楽合奏をそっくり入力して、その後「ハバネラ」と同じように Finale の “ピアノリダクション” という機能を使って大譜表にまとめます。
その後オクターブを超えないように音を整理して、弦特有の記号などを削除して、和音の構成を見て響きの厚みを考慮しながら音を選択します。
そうしてほぼ出来上がったら最終的にはプレイバックしてみて調整します。
ただいま作業途中です。
今週中には仕上げたいと思います。
曲が違う! [楽譜]
“La Paloma” の楽譜が必要になったのでいくつか見たのですが、vio.1と 2 を持っているこのシリーズの vol.3 を買ってみました。
早速該当のページを開いて読み始めたのですが、頭の中に “?” が積み重なります。
吹いてみても同じです。
知っているあのメロディーがどこにも出てこないのです。
難しく編曲するということはあるかもしれませんが、これでは原曲が全然分かりません。
しかし、タイトルと作曲者名は間違いありません。
Yradhier はハバネラの作曲家です。
ハバネラは「カルメン」のあの「ハバネラ」でもありますが、キューバの民族音楽の様式でもあります。
この作曲家の "EL ARREGRITO" をビゼーは『カルメン』の「ハバネラ」に(キューバの民族音楽と思ったとの説がありますが)転用します。
"ハバネラ" のリズムはビゼーの「ハバネラ」にある通りのリズムで、 2/4 或いは 4/4 拍子であって、3拍子ではありません。
どう考えても変なので、昼休みに出版社に問い合わせてみました。
夕方電話がありましたが、結論から言いますと譜面は違う曲のものでした。
何の曲かは今の時点ではわかりません。
メロディーを知っている人は何か変だと思うはずですが、知らない人はこれが誤っているとは思わないでしょうね。
出版社では今回誤りを認識したので次の版では直されるでしょうが、楽譜の用意がもしできなければ削除されてしまうかもしれません。
ともあれこれだけの “大チョンボ” は珍しいですね。
カルメン:アルコア版 [楽譜]
コーヒーを飲みながら楽譜のチェックをします。
DOUTOR に行きましたら、”ラズベリー香るコーヒー” という新メニューがあったので注文してみました。
ティーバッグのようなものがコーヒーに浸して出されました。
確かにラズベリーのフレーバーがありますが、味わいはどちらかといえば紅茶のようです。
ちょっと微妙。
さて以前も取り上げたことがある Habanera を再び取り上げるのですが、今回はピアノ伴奏をお願いします。
楽譜は中野真理さんの曲集に載っているものの、演奏時間が妙に短いです。
それもそのはず、原曲ではフルに繰り返すような構成になっているのに、一回で終わりです。
そこで以前作ったオーケストラ伴奏の譜面を加工してピアノ伴奏譜に直すことにしました。
Finale には “ピアノリダクション” という、オーケーストラのフルスコアなどをピアノの大譜表にまとめてくれる機能があります。
使ったことはなかったのですが、やってみることにしました。
念のため中野さんの曲集のピアノパートと突き合わせてチェックします。
するとどうしてなのかわかりませんが、間違っている小節がいくつかあります。
元のフルスコアをチェックしてみても間違いはありません。
数小節のことですが、バグでしょうか?
念のためオリジナルの楽譜とも照合します。
使ったのはよく上演されるグランドオペラ版の楽譜ではなくてアルコア版のヴォーカルスコアです。
アルコア版はカラヤンが アグネス・バルツァ と ホセ・カレーラス を起用して行った二度目の録音で使われた版で、レチタティーヴォの箇所が台詞になっています。
カラヤンはこの箇所を歌手に担当させるのではなくフランス人の俳優を起用しています。
まあ、Habanera のピアノ譜をチェックするためならこの版でなくても良いのですが、見てみたかったので取り寄せました。
Habanera はビゼーのオリジナルではないということを以前取り上げましたので、よろしかったらご覧になってみてください。
John Williams:Olympic Fanfare and Theme(1984) [楽譜]
ハープやピアノまで使うフル編成ですね。
アルトフルートやコーラングレなどの特殊管は使われていませんが、コントラファゴットは使われています。
トランペットは C管 が使われていますね。
パーカッションは野外らしく Field Drum(テナードラム。胴が長く、腰に結んで使うドラム)が使われています。
Piatti はシンバルのことです。
ホルンとトランペットで
G E C G D
D C D E C
という和音で始まります。
公式アルバムに収録されたのは次のような曲です。
1. Bugler's Dream (From Charge Suite) / Felix Slatkin 0:57
2. Nothing's Gonna Stop You Now / Loverboy 4:03(バレーボール・サッカー等)
3. Reach Out / Giorgio Moroder 3:46(陸上・トラック競技)
4. Courtship/ Bob James 4:02(バスケットボール)
5. A Chance For Heaven / Christopher Cross 3:43(水泳)
6. Moodido / TOTO 4:41(ボクシング)
7. Olympic Fanfare & Theme /Jhon Williams 4:10
8. Grace / Quincy Jones 4:33(体操)
9. Power / Bill Conti 3:46(パワースポーツ・柔道・重量挙げ)
10. Street Thunder / Foreigner 4:02(マラソン)
11. Junku / Herbie Hancock 4:00(陸上・フィールド)
12. The Olympian - Lighting Of The Torch / Philip Glass 3:16(聖火式典)
錚々たるメンバーですね。
それまで聴いたことがなかったアーティストが殆どでしたが、これを機会に聴き始めたものもあります。
フルートと合唱:ヴァヴィロフの Ave Maria [楽譜]
以前チャペルでの結婚式で聴いて気になっていたオルガンと合唱版の Ave Maria ですが、オリジナルの編曲のようで楽譜を見つける事はできませんでした。
その時アカデミア・ミュージックのリストにはあったもの在庫はなかったものを先日モーツァルトのファクシミリを取り寄せるのと一緒に取り寄せを依頼しました。
編成は声楽四部とピアノ(同じ出版社で声楽の編成を変えてアレンジも出ているようです)ですが、イントロとオブリガートにフルートが使われています。
この編曲では作曲者は Giulio Caccini としていますが、作曲者はロシアのヴァヴィロフである事はもう明らかになっています。
ひとまず Finale に入力して聴いてみようかと思います。
自筆譜ファクシミリ:Mozart "REQUIEM" [楽譜]
以前の記事で触れました注文していた楽譜はこれです。
ベーレンライターから出版された、究極の自筆譜ファクシミリです。
楽譜の分野(書誌学)では一般にコピーと言っているものをファクシミリと言います。
綴りは facsimile で、Wikipedia によればラテン語の "fac simile"(似せて作る)《 facere(為す)+simile(同一)》から来ているそうです。
普通ファクシミリと言うと事務機器の一つ FAX を指しますが、同じく Wikipedia によれば本来は(英語表記を省略したものとしては)facs あるいは facs. とすべきであって、”FAX” は富士ゼロックスの登録商標が一般に広まったものとのことです。
「エレクトーン」(電子オルガン)や「ピアニカ」(鍵盤ハーモニカ)と同じですね。
「セロテープ」(セロハンテープ)「ホッチキス」(ステープラー)など、こうしたものはたくさんあります。
この特別なファクシミリは従来のものとどう違うかと言いますと、使われている紙の状態までできるだけ原本に近く再現されていることです。
もちろん、傷んだ状態まで再現しているわけではなく、印刷されたこの紙は破れたり擦れたりはしていません。
補筆したジュスマイヤーの手になる部分はインクの色が違っています。
研究者が自筆譜に当たるのはまさにこうしたものまで知りたいからですが、貴重な自筆譜には誰もがアクセスできるわけではありません。
そういうニーズに応えるのがファクシミリですが、普通はこのように紙の状態まで再現する必要はありません。
これだけ手をかければお値段が高くなるのは当然です。
以前も触れましたが、モーツァルトはこの小節までの全てを完成していたわけではありません。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2013-03-06
“ファクシミリ” を手にしたのはこの曲だけです。
私にとって特別な曲だから、とだけ言っておきましょう。
明日は早く出るので朝の更新はお休みします。
※2016.5.5
一部追記等を行いました。
フルスコア:『ウェストサイド物語』 [楽譜]
午後休暇をいただいていたので今日から公開の千葉市動物公園のライオンでも見ようかと思ったのですが、あいにくのお天気でずっと止みません。
取り寄せを頼んでおいた楽譜を引き取りに行くことにしました。
アカデミアミュージックは日曜日はお休みなので、土曜日に行こうかと思っていたのを繰り上げました。
頼んでおいた楽譜は1枚目の写真のものではないのですが、何か目新しい楽譜はないかと見回していたらこのコーナーが目に入りました。
「ロメオとジュリエット」といえば最近聴いたのは森さんのグノーです。
この展示は工夫がされていて、グノーのみならずチャイコフスキーやベッリーニなど同じタイトルの曲の楽譜が集められています。
一冊づつ見ていますと、なんとバーンスタインがあります。
"WEST SIDE STORY" のフルスコアです。
少し詳しい方には説明は無用だと思いますが、バーンスタインのミュージカルは「ロメオとジュリエット」を下敷きにしています。
当初の構想から完成までだいぶ時間が空いて設定も変化しています。
作曲はバーンスタインということで良いわけですが、バーンスタインが実際に手がけたのはほとんどメロディーだけで、オーケストレーションは別です。しかしバーンスタインを作曲者とすることで合意しているようです。