メンデル − ダーウィン – ワトソンとクリック [本]
こんなお彼岸は初めてですね。
こちらは強く降ることはありませんでしたが、明日も雨と聞くとうんざりしてしまいます。
書店に立ち寄りましたところ斜め前の車にワンコが二匹見えました。
ご主人を待っているのでしょうか。
書店ではこれを。
光文社の古典新訳シリーズは初めてです。
この歳まで読んだことがなかったのですが、翻訳というのは古くなる宿命なのだそうで、古典の名著は翻訳が古いままというものが多いので今の言葉で読めるのはありがたいです。
翻訳に限りませんが。
今これの上巻を読み終わったところです。
遺伝については通り一遍のことしか知りませんが、メンデルがどういう人でどのように遺伝の法則を発見したのか、それがどう発表されてどう扱われたのか、非常に興味深いです。
ダーウィンについてはずいぶん以前『フィンチの嘴』を大変興味深く読みましたが、ここでもフィンチが登場します。
DNA の二重螺旋構造をワトソンとクリックが発見したことは有名ですが、それを取り巻く事情は非常に興味深いものです。
ワトソンとクリックが一から積み上げて発見に至ったわけではないのですね。偶然が作用すれば栄誉は別の研究者のものになっていても不思議ではなかったのです。
遺伝がどのようなメカニズムで起こるのかがわかる以前は細胞の中に小人が入っているのだなどと本気で信じられていたそうです。
しかしこれは深い洞察があればあり得ないということが分かったのでしょうが、とにかく生命がどのように発生してなぜ親と同じような子が生まれるのかということに関しては全く何も分かっていなかったわけです。
上巻ではすでに遺伝子組み換えの技術が登場してそれが発展していく様が描かれます。
下巻では何が述べられるのか興味津々です。
キリンの首はなぜ長くなったのか。
木の上にある葉を食べる必要があるからといって個体の首が伸びるわけはありません。
突然変異が発生してもそれが次の世代にどう伝わるのか。
そうしたことを不思議に思った人は読んでみると良いと思います。
細胞は日々新しくなっています。
修復しきれないエラーが発生することは不思議ではありません。
放射線によって傷ができたとすれば尚更です。
進化はどのように起こるのでしょう?
一読の価値がある本です。
アンケート:National Geographic [本]
今日も暑かったとしか言えません。
朝起きると汗でパジャマがぐっしょりです。
さて先日のことですが定期購読している National Geographic からアンケートの依頼が来ました。
日本版は 1995年創刊ですが、これまでにも一度アンケートが送られて来たことがありました。
ランダムに少数送っているそうですが、前回のアンケートでは映画『デイ・アフター・トゥモロー』と乗っていた PRIUS について触れたので多分 2004年の今頃のことだと思います。
今回の豪の主要なテーマは地球温暖化。
17年前もそういう記事だったと思いますので、状況はちっとも改善されていないのでしょうね。
前回のアンケートは何号か後に掲載されていました。
今回採用されるかどうかはわかりません。
翻訳教室 [本]
翻訳については以前から関心があるのですが、先日千葉市美術館に行きましたらこんな本が目につきました。
東大文学部でどういう講義が行われているかという点についてもとても興味があるのですが、教授も一流の翻訳家でいらっしゃるので一層香味深々です。
内容は例文を学生に翻訳させたものを集約してそれを皆で検討していくという形式で、質疑の後で修正を加えて「学生訳」とし、先生の訳も提示するというような具合に進行していきます。
わからない単語や表現ももちろんたくさん出てくるのですが、議論の内容などを興味深く読んでいます。
「学生訳」として纏まったものについても、私ならこう訳すと注文をつけたい箇所も一つではありません。
翻訳物を読む方は読んでおいて損のない本だと思います。
「20歳のソウル」 [本]
ネットのニュースで映画化と報じられていたので原作を取り寄せて読んでいます。
千葉県の船橋市、市立船橋高校の吹奏楽部でトロンボーンを担当して「市船soul」という応援曲を作曲した浅野大義さんの物語です。
私も千葉県の高校で吹奏楽部に所属していて野球の応援にも駆り出されましたので共感できる部分があります。
現役当時は今のようにこれほど吹奏楽が盛んになるとは想像できませんでしたが、当時も千葉県は高校野球も激戦区で吹奏楽も盛んでした。
当時の強豪校は銚子商業高校でしたね。
その銚子商業に決勝戦で何度も対戦して敗れていたのは県立成東高校でしたが、その野球部の松戸先生がお書きになった本も読みました。
当時は習志野高校のあの有名曲もまだありませんでしたし美爆音という呼び名もなく、市立柏も今ほど有名ではなかったように思います。
若くしてこの世を去る若者の物語は以前野球部の女子マネージャーの物語を読みました。
また古いところでは映画化され草なぎさんと広末さんでドラマ化もされた『愛と死をみつめて』もあります。
痛ましくて残酷です。
この本の主人公浅野さんとは年も何十歳も離れていますし距離も遠いので現実感がないのですが、小さな頃から運動より音楽に興味を示してやがてひょんなことから応援曲を作ることになりやがて音楽大学に進んで作曲の道にも進もうかという人生は両親共に音楽とは縁のないという共通する部分がありながら進んだ道は随分違ったなあと羨ましく感じてもいます。
私はピアノでも楽器でもなくカメラを手にしましたし。
著者は浅野さんの身近な人ではないようで、プロの物書きとのことですが小説はこれが処女作のようです。
そのため文章は読みやすく当事者が書いたものとはまた違う客観視ができている部分もありますが、反面上澄みを掬ったような印象を受けることも否めません。
当事者にかなりインタビューをされたのだと思いますし、当事者しか知らないであろうエピソードも登場しますが、構成からして映画やドラマ化を意識したのかと思うような作品になっています。
まだ半分くらいしか読んでいませんが、クライマックスは164人も集まったという告別式ですね。
映画も観てみたいなと思います。
佐藤浩市さんは先生役でしょうか。
肺癌で帰らぬ人となった父のことや知人でフルートを吹いていた若くして故人となってしまった Mさんのことも思い出しながら読んでいます。
Mさんが遠くに嫁ぐ前に挨拶したことを今でも覚えていますが、確か大学を出てそれほど経っていなかったと思います。
突然知らされたのは亡くなったということでした。
今度は消防音楽隊 [本]
船橋とフルートに引かれて手にしました。
吹奏楽を扱った小説を以前読みましたが、舞台は航空自衛隊でした。
https://music-1000.blog.ss-blog.jp/2020-01-29
https://music-1000.blog.ss-blog.jp/2019-12-20
その二冊に続いてもう一冊読みましたが、そのシリーズはそれで完結でした。
こちらは消防音楽隊です。
それも船橋市の消防です。
福田さんの小説ではヒロインは音大出身のサックス奏者でしたが、こちらは普通の高校生でフルートです。
今日読み始めたばかりですが、プロの集団である航空自衛隊に比べ、こちらは自治体の消防。
地元のイヴェントで演奏することもありますが、人数は少なくレヴェルも高くなく廃止の危機にあります。
ヒロインは人数を揃える為に市民から募集するのに応じて加わります。
ヒロインが憧れていた、芸大に通うフルート奏者もそこに加わります。
この先どういう展開になるのか期待がありますが、この作品は【新潮文庫×LINEノベル青春小説大賞大賞】だそうで、新潮文庫がこのようなテイストのものを出すというのはちょっと意外でした。
少し読んだ感じではライトノベルに近いかなという印象です。
君と奏でるポコアポコ―船橋市消防音楽隊と始まりの日―(新潮文庫)
- 作者: 水生欅
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2020/10/28
- メディア: Kindle版
先日までは明日は雨という予報だったように思いますが、良いお天気になるようです。
「アサヒカメラ」の連載が本に [本]
書店で新刊を見ていたら目についたのでパラパラと読んでみて買いました。
いくつかのカメラ雑誌が廃刊になって随分経つような気がしますが、必ず買うわけでもなかったので特に意識していませんでした。
この本は「アサヒカメラ」の長期連載をまとめたもので、著者の思い入れのあるカメラがピックアップされているようです。
私の使ったことのある機種やよく知るものは半分もありませんが、興味深く読んでいます。
モノクロで作例も掲載され、カメラの写真もそれぞれの文章に掲載されているほかカラー写真もあります。
EOS-1RS の源流はペリックスなのですね。
ニコレックスは最近通っている中古店にありました。
OM-2 は使いましたが、ストロボの調光になじめなくて手放してしまいました。
RTS は憧れましたが、手が届きませんでした。
F3 だけですね。使ったことがあって今も持っているのは。
HP でなくて最初のモデルです。
LX は同時期の機種ですね。
“LX” は PENTAX 60周年の 60 の意味だそうです。
『Becoming Steve Jobs』 [本]
今読んでいる本も近々取り上げるつもりですが、日本の著者の本なのに読みづらくてまるで下手な翻訳のようなのです。
で、こちらは翻訳ですのにそれを感じさせない自然な訳文です。
上巻を読んでいる途中ですが、よく纏められていて Apple が始まる前からジョブズが追われた経緯までがよく頭に入ります。
神格化されたり伝説に包まれたりしたジョブズでなくて大人になりきれないジョブズ。
なぜ会社を追われることになってしまったのか。
NeXT ではどうだったのか。
「ジョブズと働いた人々が唯一推薦する伝記」という帯の文句は嘘ではないようです。
最初に買った Mac は LC575 でした。
この頃はジョブズはいなかったのだなあと感慨にふけります。
以前別の本を買ってあったのですが、積んだままです。
次には読んでみようかと思います。
Becoming Steve Jobs(ビカミング・スティーブ・ジョブズ)(上) ビジョナリーへの成長物語 (日経ビジネス人文庫)
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版
- 発売日: 2018/04/03
- メディア: 文庫
Becoming Steve Jobs(ビカミング・スティーブ・ジョブズ)(下) ビジョナリーへの成長物語 (日経ビジネス人文庫)
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版
- 発売日: 2018/04/03
- メディア: 文庫
明日の朝の更新はお天気次第です。
痩せるのか? [本]
今月 gallery ten に行ったときたまたま BMI の話になりましてそのとき一緒だった Oさんが 25 でギリギリというお話をされたので私の数値とその算出方法のことを話していましたらオーナーの O さんが電卓を叩いて数値を見せるのです。
正常値でしたが、ご本人は大層気にされているそうで、なんでも今度断食を利用した三日間のコースに参加されるでそうです。
この著者の本は二冊目ですが、なかなか面白いテーマで書く人です。
これはいわゆるダイエット本ではなくてダイエットをテーマにした四つの物語が綴られています。
年齢も性別も違うのですが、どう見てもダイエットの先生とは思われないおばさんから指導を受けるというストーリーになっていますが、その極意は至極真っ当なことばかりです。
曰く摂取カロリーを減らして消費カロリーを増やすこと。
夜七時以降は食べないこと。
炭水化物は朝だけにして昼と夜はタンパク質を摂ること。
などなど。
BMI はご存知の方も多いでしょうが、体重÷(身長×身長)で表され、日本では 18.5以上25未満が正常の範囲とされています。
身長は cm 単位でなく m 単位で使用します。
体重 50kg、身長 160cm の人ですと 19.53 になり、普通の範囲です。
なお適正体重は 56.32kg らしいです。
帰宅してすぐ測ることにしています。
ずっと正常の範囲を維持していますが、増減はあります。
正直なところもう少し減らしたいところではあります。
明日は病院で検査があるので朝の更新はお休みします。
新装版:「赤毛のアン」 [本]
先日千葉市美術館に行った時に出会いました。
「赤毛のアン」と言えば女子はほとんどが読む本であるようです。
今はいろいろな訳が出ているようですが、今でも村岡花子さんの訳が一定の位置を占めているようです。
この厚い本は挿絵が安野光雅さんで訳は岸田衿子さん。
どなたかと思ったら岸田今日子さんのお姉さんなのだそうです。
どこかで聞いたことがあるお名前だなと思ったら思い出しました。
谷川俊太郎さんの最初の奥さんでもあります。
ひらがなが多く、漢字には全てルビがふられていますのでお子さんでも読めますが、厚いので小さなお子さんは無理かもしれませんね。
この本の隣に谷川俊太郎さん訳安野光雅さん挿絵の「あしながおじさん」もありました。
どちらも若い頃には出会わなかった作品ですが、これを気に読んでみようと思います。
なお、先日から NHK でもドラマが始まりました。
第一回を視たばかりです。
『革命前夜』 [本]
今日読み終わったばかりですが、この著者のものは初めてでした。
タイトルだけを見ると普段は手が伸びないジャンルなのですが、主人公は東ドイツの音楽大学に留学する学生です。
音楽をうまく文章にしていますが、『蜜蜂と遠雷』より現実味があります。
主人公はピアニストですが、リヒテルの弾く『平均律』が原体験にあります。
ゲヴァントハウス管弦楽団とメンデルスゾーン、バッハの『マタイ受難曲』を始め数々の曲が登場しますが、曲名は正確です。
主な登場人物はピアノ科とヴァイオリン科の学生ですが、オルガニスト、チェリストも登場します。
演奏したことのある曲ではラフマニノフの「ヴォカリーズ」が登場します。
ハンガリー出身のヴァイオリンの学生は天才的な演奏をすると描かれていますが、実在のヴァイオリニスト(ハンガリー出身)と同じラカトシュという名前を与えられています。
学生ではありませんがオルガニストも主人公に大いに影響を与える美貌の演奏家として描かれています。
『蜜蜂と遠雷』では音楽の描写は実に巧みでしたが、会場の聴衆全員が同じ情景をイメージするなど現実離れとも思えるシーンがありましたが、こちらではもう少し説得力があります。
そもそもチャイコフスキーの『大序曲1812年』のように特定の場面を音によって描いたものでなければ何百人もの人が同じイメージを描くということはあり得ないと思います。
余談ですがあの曲ではフランス軍を「ラ・マルセイエーズ」の旋律で表していますが、ナポレオンの時代にはこの歌は国歌ではありませんでした。
ベルリンの壁崩壊で物語は終わりますが、帯にもあるように当時の東ドイツがどういう国家であったか、まるで映画かドラマを観るかのように描かれています。
それだけでなく東の人々の西への憧れ、実際に西に亡命した人の現実がどうであったかも描かれます。
作中に登場する、登場人物(故人)の作品の一つがヴァイオリン・ソナタなのですが、ヴァイオリンのカデンツァで始まるとしています。
そういう曲は聴いたことがないのですが、作者は楽器を演奏するわけではないようですがそれにしては描写が的確です。
主人公が飛行機に乗っている時に昭和が終わります。
監視とか密告などは今の時代に生きる私たちには実感がありませんが、戦時中は日本もそれほどではないにしろ特攻という組織が睨みを利かせていたのでしたね。