フリードリヒ大王と KPM [KPM]
フリードリヒ大王(フリードリヒ II 世)と言えば音楽に関わるものとしてはフルートを演奏し、クヴァンツを先生とし、C.Ph.E.Bach の雇い主で J.S.Bach の「音楽の捧げもの」のテーマを提示した等々の事が思い浮かびますが、KPM と深い関わりがあった事を最近知りました。
KPM:陶板画「髪飾りの女性」 [KPM]
書籍:"KPM Plaques" [KPM]
KPM Plaques
お天気の崩れはなかったのですが、コーヒーを淹れたりしているうちに時間が少なくなってきたのでカタクリを見に行くこともせず、少しだけ桜を撮って終わりました。
町内会の用事が思ったより時間がかかりましたので更新が遅くなりました。
KPM の陶板画は点数も少ないですが資料も少なく、写真の書籍は比較的手に入りやすいもので、内容も充実していて資料として利用価値が高いものです。
今日届いたばかりです。
サブタイトルに Gaining an Insight into the Art of Painting on Porcelain とありますが、技法などを解説したものではなく、数多くの写真や作品の解説が掲載されています。
出版社は Finestein Book Publishing とあり、最初に印刷されたのが 2005年とあります。
著者は Seam Shakrovski と Vera Rininberg です。
目次を転記しますと、
Acknowlegements
What is Considered as the Finest of the Fine?
I. General History of Porcelain
History of German Porcelain
History of the KPM Manufactory
II. Painting on Porcelain Plaque
The Need for Porcelain Plaques
The Appeal of Painting on Porcelain
Creation of Porcelain
Registration Marks on KPM Plaques
The Development of Paintings on Porcelain Plaques
Signatures on Plaques
Independent Artists
III. Subjects of Porcelain Plaques
Porcelain Paintings of the 18th Century
Porcelain Paintings in the 19th Century
Descriptions of Plaques - KPM
Allegorical and Mythological
Biblical and Religious
Portraits
Thematic
Art Nouveau
Descriptions of Plaques - Non-KPM
Framed Porcelain Pieces
IV. Porcelain Plaque Miniatures
Historical Background of Miniatures
Artist of Porcelain Miniatures
V. Distinguishing Counterfeit KPM
Introduction to Fraudulent KPM Plaques
Questions Regarding KPM Purchases
Quality of Painting
How to Distinguish a Forged KPM Mark
Additional Signs on KPM Plques
Visual Characteristics and Texture
Buying Plaques Online
Repaired Plaques
Other Factories' Marks on Plaques
VI. The Value of KPM Plaques
Determinatnts of Value for KPM Plaques
VII. Collections Throughout the World
Porcelain Plaques in Museums
Porcelain Plaques in Private Collections
Bibliography
Glossary
Index
という内容です。
今まで取り上げました2点の陶板画はどちらも収録されていません。
裏面にあるマークや6つの数字、陶板の形状、裏面の状態、同じモチーフのものの出来の良いものとそうでないものの比較等々が解説されていて大変参考になる内容です。
残念ながら日本ではなかなか入手することができなくて、Amazon の洋書のカテゴリーにもありません。
アメリカの Amazon にはあるようです。
言語がドイツ語でなくて英語なのでなんとか意味を取ることができます。
KPM の陶板画にご興味がおありの方にはお薦めできる内容です。
撮り直す:KPM の C&S [KPM]
KPM の陶板画を取り上げましたので、以前掲載しましたカップ&ソーサーを撮り直したものを掲載します。
金彩もきれいに残っていてとても良い状態です。
見づらいですが、上部はヘレンドの一部のシリーズような形になっています。
マイセンのような個性的な形をしている訳ではありませんが、このような絵付の KPM のカップは滅多に見ることがありません。
全体のイメージはヘレンドのベニバナトチノキが描かれていた製品に似ていますが、絵付はヘレンドよりもマイセンよりも高度で精緻な手によるものであることが見て取れます。
素地の色もマイセンの目が痛いほどの白とは違う、またアイボリーのようなややぼやっとしたような色とも違う何とも温かみのある色です。
畏れ多くて使うことができないほど見事な磁器です。
KPM の更に素晴らしい陶板画 [KPM]
垣根の椿をベルロワイヤルさんに飾っていただきました。
後ろに写っている青い布の中は KPM の陶版画です。
KPM 陶板画 Plaque
どうやって描くのか見当もつかないほど滑らかな表面です。
表面の様子が分かるように光を反射させて撮ってみました。
ペインターのサインです。
素晴らしい技量です。
京都美商さんが海外のオークションで落札したものだそうですが、前オーナーは個人美術館を建てる計画だったのが取りやめになったのだとか。
これも以前ご紹介しましたものと同じように見た事がないもので、検索してもヒットしません。
これを飾れる幸せな方を羨ましく思わないわけにはいきません。
オリジナルが判明:KPM の陶版画 [KPM]
裏に記されたこの文字です。
最初に取り上げた記事の中では「レイチェル」としましたが、Lefever がペインターかオリジナルを描いた画家の名前だとすればフランスの女の子の名前でしょうから、「ラシェル」と読まなければなりません。
KPM はドイツですからドイツの女の子の名前だとすれば「ラケル」でしょう。
ある時 KPM の陶版画の画像を探していたら次のサイトに行き当たりました。
http://www.liveauctioneers.com/item/2742412
"Psyche" ですが、その後ろに after Kray とあります。
そこで連想したのはフラウト・トラヴェルソやハープシコードのレプリカです。
Flauto traverso after Thomas Stanesby Jr.
Flauto traverso after August Grenser
これはトラヴェルソの例ですが、after の後に書かれた製作者の楽器のレプリカであることを表しています。
すると Kray はオリジナルの絵を描いた画家であると推測されます。
そこで
Lefever Painter Painting
などと入力して検索してみましたが、関係なさそうなサイトがたくさんリストアップされ、内容を確認するだけでも相当な手間です。
しかし思いつきで「ルフェーヴル」「画家」と入力して検索してみるとおやと思う情報が引っかかりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル
注目したのはこのページに掲載された4枚の絵のうち4枚目です。
筆致が似ています。
それだけでなく、目に共通するイメージを感じます。
このページにはこれ以上の画像はありませんが、下部の外部リンク
TheARTwerx - Lefebvre Gallery
をクリックしてみますと、4つに分かれたギャラリーのひとつに探していた画像がありました。
GALLERY 2: PAINTINGS - PORTRAITS and FIGURES
この 38番目に "Rachel" と題された絵があります。
1888 print of painting
とありますのでここに掲載されたのは印刷物の写真であるようです。
そこで
Jules-Joseph Lefebvre Rachel
と入力して検索してみると画像を始めとしていろいろ情報が抽出されます。
その中の
http://www.schillerandbodo.com/artists/lefebvre/artworks/rachel
の説明には
JULES-JOSEPH LEFEBVRE
French, 1834 - 1911
Rachel
1888
Oil on panel
22 1/2 x 11 1/4 inches (57.15 x 28.58 centimeters)
Framed: 32 3/4 x 21 5/8 inches (83.19 x 54.93 centimeters)
Signed and dated upper right: Lefebvre 1888
Inscribed upper center: RACHEL
とあり、制作年は 1888年、カンヴァスでなく板に油彩で描かれたものであることが読み取れます。
こちらのサイトにも画像があります。
http://artemisdreaming.tumblr.com/post/27979077205/rachel-detail-1888-jules-joseph-lefebvre
また次のサイトには興味深い説明があります。
http://pinterest.com/pin/91972017361138222/
その説明によると旧約聖書に記されたヤコブの妻ラケルに扮した女性を描いたもののようです。
たいそう美しいことで知られていたそうです。
ああ、すっきりしました。
陶版画のバックが塗り潰されたようになっていますが、オリジナルの絵にも背景らしいものはないのですね。
旧約聖書に行き着くとは思いませんでした。
根気よく探せば手掛かりは見つかるものですね。
KPM の C&S [KPM]
以前 KPM の陶版画を取り上げました。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2012-10-02
KPM Porcelain Plaque "Rachel!"
KPM はもちろん陶版画だけを作っているわけではないのですが、陶版画だけを取り上げた書籍があるほど陶版画が重要です。
http://overglaze.blog133.fc2.com/blog-entry-54.html
今回ご紹介しますのは陶版画より目にする機会が少ないカップとソーサーです。
絵付がやはり非常に素晴らしいです。
同系統の色を複数使って表現された花の見事さはどうでしょう。
KPM の素晴らしい陶板画:西洋アンティークフェア [KPM]
KPM porcelain plaque "Rachel!"
千葉そごう 9F のベルロワイヤルさんでは西洋アンティークフェアが行われています。
場所は滝の広場の脇で 8日まで、その後三省堂書店前で 15日までです。
普段は並ばない珍しくも素敵な C&S やお皿などのアンティークがたくさん並べられています。
これはウェッジウッドのプラチナ彩の C&S です。
お値段も割とお手頃です。
さてそんな中店内に飾られた陶板画(plaque)に眼を奪われました。
美術館のような雰囲気ですが、X-Pro1 でホワイトバランスを合わせて撮っています。
KPM(ベルリン王立磁器製陶所 <Königliche Porzellan-Manufaktur Berlin>)の 1900年頃の作品です。
カンヴァスに描かれたものではなく、焼物です。
驚くのは肌の質感です。
今までに見たどの KPM とも違って、KPM のイメージを改めさせる見事さです。
感嘆符がつけられている(レイチェル!)のはおそらくモデルになった人の名前でしょう。
下はルフェーヴルと読めます。ペインターの名前かもしれません。