フルートは本来は縦笛 [アート]
以前もちょっと触れましたが、フルートはもともと縦笛(リコーダー/ブロックフレーテ(Blockflöte))のことを言いました。
リコーダーのような構造をもつ管楽器は古くからヨーロッパ各地で演奏されていた。
14世紀末頃には「リコーダー」という名称も現れているが、バロック期までは一般的にはリコーダーでなくフルートと呼ばれており、現在のフルートの原型である横笛はフラウト・トラヴェルソ(横向きのフルート)と呼ばれていた。
(Wikipedia)
銃火器に対する加工で、銃身などに溝を彫ること。
原義では対象物(銃火器に限らない)に縦溝を掘ること、あるいはその溝のこと。
(Wikipedia)
このほか、ダンボールの芯材である波型の紙や服飾の分野ではひらひらの袖や襟(エリザベスカラーのような襞で構成される形状のもの)もフルートと呼ばれています。
これらに共通するのはパイプを集めたような形状であることです。
「横向きのフルート」が多く使われるようになるとフルートと言えばそれを指すようになったので、一般的にはフルートとは横笛のことだと認識されています。
普段は買わないのですが最近『文芸春秋』を買ったところ、中の広告の文章が気になりました。
デンマーク語の Musselmalet を英語で表記すると Blue Fluted Plain である、ということであるようです。
mussel はムール貝のことですがネット翻訳にかけると musselmalet と続けると「青い溝付き」となるようです。
広告の表現は現在はその意味で使われるということのようです。
なるほど。
Blue Fluted までなのかなと思います。
銃器についての説明にありますように縦溝もフルートと呼ばれるのは色々調べてみますと縦溝の方をフルートと呼んだのが先で、縦笛がそれに似ているから同じようにフルートと呼ばれたということのようです。
Amazon には 波型E-Fluteペーパー という商品がありますが、ギフトラッピングにも使われるこの波型の紙も確かにそうですね。
トタン板(波型の、亜鉛メッキ鋼板やビニールのもの)もフルートと呼ぶのではないかと思って調べましたらそう呼ぶことはないようです。
波型に成形された板は英語では corrugated と表現するようで、検索すると
Corrugated material is comprised of three fiberboard layers; two linerboards sandwich a middle sheet that is in a wave-shaped a pattern of arches known as flutes.
という記述も見つかったのですが、これはいわゆる段ボールの中の波板のことですね。
トタン板のような波板はフルートとは呼ばないようです。
追記
次のような例もありました。
縦溝を彫ったキャンドル
https://sasara.shop-pro.jp/?pid=119857145
flute:フルート、横笛、(柱の)縦溝、溝彫り、丸溝ひだ
https://ejje.weblio.jp/content/flute
フルート, 笛、オルガンの)笛音音栓、オーケストラの)フルート奏者、〔建〕(柱などの)丸い縦溝、(婦人服の)丸みを帯びたひだ、細長いワイングラス、フルートに似たもの
シャンパンフルート はよく知られていましたね。
縦長の筒だからでしょうね。
奥が深いですね、何事も調べれば。
by 夏炉冬扇 (2021-05-12 11:07)
夏炉冬扇 さん、こんばんは。
普通の人はこんなこと考えませんよねぇ。
by センニン (2021-05-12 19:36)