「金賞よりも大切なこと」を読む：フルートと音楽の日々：SSブログ

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「金賞よりも大切なこと」を読む　[本] [編集]

ふと手に取ったこの本、千葉県の柏市立柏高等学校に一年間密着して書かれた本です。

私は吹奏楽出身ではありますが、相当長い間ご無沙汰しています。
夏のコンクールや県内の動向にもすっかり疎くなっていました。
指導者の石田氏のお名前も全く知りませんでした。

題名の通り、これはどうしたら金賞が取れるかという事を探った本ではありません。
練習の内容はそれほど詳しく紹介されません。
それよりも石田氏や生徒たちがコンクールや日頃の活動やふるまいに注目しています。

練習の内容が私が経験したものとは比べ物にならないくらい高度である事はもちろんです。
特に印象に残ったのは P.29 の「自分は主音なのか？それとも第３音、第５音、もしかしたら第７音？」という部分です。
私たちはこんな練習はやって来ませんでしたねえ。音大を目指して実際に音大に進んだ先輩もいらっしゃるのですが、こんな音作りはやってません。今なら常識なのかもしれませんし、今の私はそれが重要だという事は知っているのですが、当時は誰も考えていませんでしたね。

金賞にこだわらずに内容を読んで欲しい本です。
読んで欲しい内容は P.296 の著者の「大人が真剣になれば、教育というものがまだまだ十分に機能するということをたくさんのひとに知って欲しい。百聞は一見にしかず。＜いちかし＞を見れば、たぶん、そのほとんどの人が現代の青少年に対する認識を新たにし、この国にも未来があることに勇気づけられるはずだ。」という言葉に集約されていると思います。

自分の高校時代を思い出しながら読みました。
ここで３年間を過ごす生徒たちは幸せだな、本当にそう思います。

その中にいるときはその重要性にはなかなか気付きにくいものです。
この生徒たちは指導者の石田氏に全幅の信頼を置いています。
社会に出てからその事に気付くかもしれません。