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「知床旅情」の誕生 [好きな歌]

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日経新聞の「私の履歴書」は著名人が自分のこし方を振り返るという内容なのですが、いま連載されているのは俳優の 山崎 努 さんです。


その11回目、先週の金曜日に興味深い内容がありました。



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私の履歴書 11 山崎努
2022.8.12(FRI)
 2作目の『地の涯に生きるもの』では森繁久彌さんの即興の能力にびっくり。
 あの名曲「知床旅情」はこの映画の宴会シーンで森繁さんが即興で作詞作曲したものである。撮影中に久松静児監督が突然、「ここでひとつ歌が欲しいな。繁さん、何か歌え」と言った。場面は、知床の漁師の息子(僕の役)の出征を祝う宴。森繁さんは土地の匂いのする歌をイメージしたのだろう、セットのちゃぶ台に紙片を置き、「……知床の」「……岬に」とエンピツで書きつけ、口ずさむ。昼食休憩があり、そして出来上がったのがあの曲。森繁節で見事に歌った。
 だからあれはもともと、我が子を戦場に送る惜別の曲だったのである。あの場に居合わせた人ももうほとんどいなくなったと思うので、生き証人として記しておく。

森繁さんが即興で作ったという事は何かで読んだ記憶があるのですが、映画の撮影時だったのですね。

このエピソードを知っている人はもう少なくなってしまったからと山崎さんがお書きになっていらっしゃいますので忘れないようにここで取り上げておきたいと思います。



さてこの歌の歌詞に「びゃくや」という言葉が出て来るのですが、漢字は「白夜」。

元々は「はくや」と読んでいたということをご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

この漢字を「びゃくや」と読むようになったのはこの歌からだとされています。

まあ、森繁さんはそう読んでいたのでしょう。



以前も何かの折に触れた気がしますが、間違いであっても多くの人が使うようになればそれが通用するという例は珍しいことではありません。


よく知られているものは

  1. 独場(どくだんじょう)×  独場(どくせんじょう)

  2. 稟議(りんぎ)×  稟議(ひんぎ)

  3. 雰囲気(ふいんき)×  雰囲気(ふんいき)
です。
 1 と 2 は辞書に載っていますが、「本来は誤用」などと書かれているはずです。
 3 は以前かな漢字変換ができないとしてメーカーにクレームがあったとも聞いていますが、
  今では誤用の方を入力しても変換できてしまいます。
  今でも誤って発音している人は多いのだろうと思います。
  字面を見れば勘違いは起きないと思うのですが、どうしてそういうふうに憶えてしまうのでしょうね。
 
これは想像ですが、「新しい」は「あたらしい」と読みますが、本来は「あらたしい」だったのではないかと思うのです。「新た」は「あらた」です。
多くの人がそういう湯になってしまったのではないかと思っています。
 
 
辞書というのは「正しい」解釈を載せているわけではなくてどのように使われているかを載せているわけです。
なのでやたらに 辞書に載っているから正しい とするのは早計です。
 
明日は母の通院の日なので朝の更新はお休みします。
 
 
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