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萩原千春さんの急須とポットができるまで [アート]

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gallery ten の Oさんがぜひとおっしゃるので見学することにしました。

萩原さんは千葉県のお生まれで野田に工房を構えていらっしゃいます。

武蔵野美術大学のご出身です。


『萩原千春さんによる急須づくりのデモンストレーション』
ご自由に質問したり見学したりなさってください。
 
私がふだん最も頻繁に使う急須が千春さんの作品。
個人的には、急須やポットなどの注器の造形や質感がおもしろければ使い勝手は二の次でよいと思っているのですが、それでも使いやすいものに手が伸びる。
以前、千春さんの急須を買われた方が、いつものようにそれでお茶を淹れたら、
ご主人が「今日のお茶は美味しいね」とおっしゃったとか。
それは、千春さんの作る急須のパーツや繊細にあけられた茶こしの穴など、
機能性を追求した作りにより、お茶が美味しくなるのは理にかなっているわけです。
千春さんは武蔵野美術大学の陶磁コースで主に急須やポットの制作に関する講義をしています。
急須づくりが陶芸の中でも難しいとされているのです。
そんな急須づくりの工程のデモンストレーションを行います。
ムサビの授業が間近で見られるチャンスです!
より一層美味しいお茶を飲みたくなることでしょう。

(gallery ten)



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本体とパーツはあらかじめ作ったののをお持ちいただきました。


陶土は信楽とのことでした。



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まずは茶漉しを作るところから。

粘土を型に押し当てて形を作ります。



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穴を一つづつ開けていきます。



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穴はこのサイズで 120個だそうです。



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途中まで開けた状態。



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全部開け終わったら両側から串を使って穴の形を整えます。



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注ぎ口を本体に取り付ける作業です。

取り付ける部分をカットします。



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当ててみます。



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内側を本体の形に合わせて削ります。



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取り付け位置を調整します。



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位置が決まったら本体に印をつけます。



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コンパスのような道具でくり抜く位置に印をつけます。



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内側のあたりもつけたらくり抜きます。



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くり抜いたところです。



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茶漉しを先にはめ込みます。

乾燥の程度が異なるので色が違います。



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注ぎ口を取り付ける部分の表面を少し荒らして陶土を溶かしたものを塗ります。

これでくっ付きます。



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取り付け直前。



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付きました。



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この写真ではわかりづらいですが、少しだけ捻ったような位置に取り付けるそうです。

これらのパーツはロクロで作るので回転する向きに歪みがあって、焼成の途中で元に戻ろうとする力が働いて、向きが変わってしまうのだそうです。

それが素地や焼成の具合で違うのだそうですから経験が必要で、それでも全てがぴたりと真ん中に揃うとは限らないのだそうです。



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持ち手を同じように取り付けます。



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内側を削ります。



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注ぎ口の先端を整えます。

こうした部分は乾燥しやすいとのことで時折水で湿らせていました。



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きれいにカットします。



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お茶のキレが良いように整えます。



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こちらはポットの持ち手です。



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取り付ける部分の表面を少し荒らしてから陶土を溶かしたものを塗ります。



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貼り付ける面を整えます。



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くっつけて、周囲に陶土を溶かしたものを塗ります。



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下側も同じようにします。



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最後に塗った陶土をきれいに整えて完成です。



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焼物は焼成すると収縮するところに難しさがあります。

蓋と本体は大きさが違うので別々に焼くと乾燥の具合が異なって合わなくなってしまうそうです。

なので焼成の際は被せて行います。

完全に乾燥するまでに若干の水分の移動があるのだそうです。



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同じ陶土を使っているのに乾燥の具合によって収縮も異なるという、焼物づくりの難しさを教えていただきました。

これに絵付けをするようなものであればさらに難しさがあるのでしょう。


最後に gallery ten で紹介しているエピソード、萩原さんの急須やポットで淹れたお茶は美味しいと言われるのは何故でしょうとお尋ねしましたところ、気に入ったものを買ったという気持ちで丁寧に入れるからではないかというお話がありました。

それは多分ご謙遜と言いますか企業秘密なのではないかと思いすが、今回お話が面白くて聞くのが精一杯であったので語られなかった精緻な工夫があるのではないかと思います。


こうした作品ができる過程を知って飲むお茶は確かに格別な味がすることでしょう。


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