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『孤独のアンサンブル』 [演奏会]

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書店の音楽関係の棚を見ていて目に入りました。

NHK BS1 で昨年放送され、今年の一月にも何度目かの再放送があったそうです。




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コンサートが開けなくなったこの情勢の中で日本の第一線で活躍する音楽家の皆さんがどう過ごされているのかを取材して三つのプログラムとして放送されたその番組制作のドキュメントです。




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1回目の放送では七人、2回目の放送では八人、3回目の放送はその中から十三人(十五名のうち二人はスケジュールの都合などで参加出来ず)が取り上げられています。

 

 

本を読み終わると演奏を視聴したくなりました。

幸い本と同時にブルーレイディスクが発売されていました。

ディスクにはアンサンブルの演奏を収録した CD もついています。

 


各回の内容は次の通りです。



「外出自粛の夜に 〜オーケストラ・孤独のアンサンブル」
 放送:BS1  2020.5.5
 
東京都交響楽団 
ソロ・コンサートマスター 矢部 達哉 
 マスネ:「タイスの瞑想曲」(歌劇『タイス』第2幕第1場と第2場の間の間奏曲)
 
東京交響楽団 
首席クラリネット奏者 吉野 亜希菜 
 チャイコフスキー:「花のワルツ」(組曲「くるみ割り人形」より)
 
NHK交響楽団
首席トランペット奏者 長谷川 智之 
 ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクァーレ」第二幕の間奏曲
 
新日本フィルハーモニー交響楽団
首席チェロ奏者 長谷川 彰子
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第三番 ハ長調 「ブーレ」
 
NHK交響楽団 
第一コンサートマスター 篠崎 史紀 
 シューベルト:「リタニー(万霊節のための連禱)」
 ハイドン:弦楽四重奏曲 第七十七番「皇帝」第二楽章
 
東京都交響楽団 
首席オーボエ奏者 広田 智之 
 サン=サーンス:「オーボエ・ソナタ」 ニ長調 第二楽章
 グノー:「アヴェ・マリア」
 
東京フィルハーモニー交響楽団 
副首席トロンボーン奏者 辻 姫子 
「アメイジング・グレイス」
 

吉野さんは本でも触れられていましたが「花のワルツ」の旋律ぞ全部一人で演奏されています。

ハープの部分も含めてです。

それがみんなでアンサイブルしたいという気持ちが強く感じられる内容で、そのためか第三部でも取り上げられることになりました。

 

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「オーケストラ・孤独のアンサンブル 〜希望編」
 放送:BS1  2020.5.31
 
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
首席ソロ・コンサートマスター 石田 泰尚
 山田耕作:「からたちの花」
 ピアソラ:「アディオス・ノニーノ」
 
NHK交響楽団 
オーボエ&イングリッシュホルン奏者 池田 昭子
 ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」 第三幕の前奏曲
 
東京都交響楽団 
首席トランペット奏者 高橋 敦
 「春の日の花と輝く」
 マーラー:「交響曲第三番」 ニ短調 より
 
読売日本交響楽団 
首席ホルン奏者 日橋 辰朗
 ワーグナー:「ジークフリートの牧歌」
 
東京フィルハーモニー交響楽団 
首席フルート奏者 神田 勇哉
NHK交響楽団 
フルート奏者 梶川 真歩
 グルック:「精霊の踊り」(歌劇「オルフェオとエウリディーチェ』より)
 ヘンデル:「オンブラ・マイ・フ」(歌劇『セルセ』より)[神田さん]
 
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 副首席ファゴット奏者 石井 野乃香
 チャイコフスキー:「ノクターン 」(ピアノ用小品集 Op.19 より)
 
日本フィルハーモニー交響楽団 
ソロ・チェロ奏者 菊地 知也
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第一番 ト長調 「アルマンド」
 

神田さんと梶川さんがご夫婦であるとは知りませんでした。

この回は出演者が七組八名です。

 

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「オーケストラ・明日へのアンサンブル」
 放送:BS1  2020.8.22
 収録:めぐろパーシモンホール

最初の曲から客席を使った演奏です。

編曲も全てオリジナルで世界初演、各曲を合わせるのも多分収録日が初めてのはずです。

 

編曲も短期間で仕上げなければならなかったにもかかわらず素晴らしい出来です。

 

この少し前(2020.7.6)にエンニオ・モリコーネが亡くなっていますが、他の著作権が生きている曲を含めて編曲の許可を取るのも大変だった事でしょう。

ムソルグスキー:「プロムナード」(組曲『展覧会の絵』ピアノ版 より)
編曲:山下 康介
トランペット2
ホルン1
クラリネット1
ファゴット1
 
エンニオ・モリコーネ:「メインテーマ」「愛のテーマ」『映画『ニュー・シネマ・パラダイス』より)
編曲:山下 康介
ヴァイオリン3
チェロ1
オーボエ1
イングリッシュホルン1
フルート1(神田)
ホルン1
 
ジェイ・リビングストン:「ケ・セラ・セラ」(映画『知りすぎていた男』より)
編曲:山下 康介
木管6
チェロ1
 
チャイコフスキー:「花のワルツ」(組曲『くるみ割り人形』より)
編曲:萩森 英明
全員

池田さんはオーボエとイングリッシュホルン持替

梶川さんはフルートとピッコロ持替

 
エルガー:「威風堂々」 第一番 ニ長調
編曲:萩森 英明
木管6

梶川さんはフルートとピッコロ持替

金管3
チェロ1
 
エルガー:「ニムロッド」(「エニグマ変奏曲』第九変奏)
編曲:山下 康介
ヴァイオリン3
 
ムソルグスキー:「キエフの大きな門」(組曲『展覧会の絵』より)
編曲:山下 康介
全員

池田さんはオーボエとイングリッシュホルン持替

梶川さんはフルートとピッコロ持替

 

収録:めぐろパーシモンホール

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不参加:
チェロ 長谷川 彰子
トロンボーン 辻 姫子
 

この中で思わず涙ぐんでしまったのが「花のワルツ」です。

演奏前に楽屋で矢部さんが吉野さんに(一人で全部を演奏していたのを視て)感動しました」とおっしゃっていましたが、それは多分この日集まった演奏家の方々全員の想いだったでしょう。

だからこそこの曲が全員でのアンサンブルとして取り上げられたのでしょう。

13人で、楽器は15本。最後の「キエフの大きな門」と同じ一番の大編成です。

そのためか演奏も表情豊かで素晴らしい仕上がりでした。

 

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制作:NHKエンタープライズ
   スローハンド



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特典映像で2曲が特別編集バージョンとして再度収録されています。

演奏はもちろん同じですが、映像と響きが異なります。

 

「エニグマ」は随分昔に聴いただけなのですっかり忘れてしまっていますが、このコンサートマスター三人による演奏はとても素晴らしいですね。

音楽が光の粒子となって立ち昇るようで、異なる色の光が溶け合ってとても美しい祈りの光が降り注ぎます。

 

「キエフの大きな門」は響きに厚みが出て素晴らしい仕上がりになっています。

推測ですが放送後手直しの欲求が生じて作られたバージョンなのではないかと思います。

取材から放送まで時間がありませんでしたからそうであっても不思議ではありません。

 

 

2回目までの放送はそれぞれがご自宅で一人で演奏していて収録スペースも限られていますしありのままの現状をと言う狙いは達成されていたのだろうと思います。

 

カメラは演奏中の目の表情を捉えています。

テンポが動くところなど、その曲のリーダーの意向を他の演奏者は確認します。

楽器を演奏する者にとってはそうした点もとても興味深いです。

 

 

とにかく、とてもおすすめの映像です。

 

 
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