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Louis d'or で GOLD Louis Lot を [楽器]

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ランパルが金の Louis Lot を入手した経緯は自伝に述べられています。

それについては以前の記事で取り上げていますが、今回入手した文書ではその経緯について少し異なる事情が述べられています。

 

この文書には昔のゴールウェイの演奏会(1978年頃)のプログラムに載っていた、ランパルが金の Lot を入手した経緯を語った内容が引用されています。

こちらの方が会話も使われていてリアリティがありますが、どちらが実際に近いのかは判断しかねます。

 

英文ですが、大筋を訳してみます。

 

例によって細部に誤りがあるかもしれません。

 

金の Louis Lot を入手したのは1948年で、幸運だった。

当時マネージャーが二人いたが、一人が

 M:ところでフランス製のフルートがあるんですが、金製で . . . 。

 R:金だって?

 M:ええ、金でフランス製ですが、中国の人が持っていたもので。

 R:中国の人?

 

それは一本だけ作られたというあの有名な Louis Lot ではないかと思った。

ジャン・レミュザのために作られたという Lot。

彼が年をとった頃(1959年。レミュザ54歳の時)上海のフィルハーモニック協会に要請されたのを受諾して会長に就任し、そのお礼にそのフルートは注文されたという。

 

 R:それは是非見てみたいね。

 M:わかりました。実は、壊れている状態なんですが。

 

持って来られた楽器を見ると案の定それは Louis Lot だった。

貸してくれるというので私は舞い上がってしまった。

その楽器をマルセイユの父の元に送ると、父は手にしてすぐ作業に取り掛かり、一晩中没頭していた。

 

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翌朝父から「非常に素晴らしい楽器だ」と電話が掛かって来た。

 J:全然寝てないんだ。

  パッドやそのほかいくつか作らなければならないものもあったからね。

 

 JP:これは買わない手はないよ。

  買うにはルイドール金貨を用意しなければならないけど。

 

  24金のルイドールでというから、見つけるのは非常に難しいけどそれだけの価値はあるし、それでもそれで買えるなら格安というものだよ。

 

 

自伝では

 1948年の夏,パリ・コンサート協会の理事であるガブリエル・デュセルジュとその友人で骨董商のアンリ・ランベールと知り合う。

 

 その年の暮れ、ランベールがランパルに、戦前に買った金のフルート(中国で作られ,上海からフランスに来た)をつぶそうと思うと話す。

 

 ランパルは19世紀に Louis Lot が金のフルートを作り中国に輸出したという話は聞いていたが,噂のレベルの話だろうと思っていたし,中国から注文が来るとは信じられなかった。

 

 ランパルがランベールからその「楽器」を見せられた時は「フルートとは似ても似つかぬもの」だったが、すぐ「金の Louis Lot」である事が分かった。

 ランパルはその「くず」をマルセイユに持って行き,お父さんに話すとお父さんは非常に興奮し,一晩中かかってそれを組み立てた。欠けた部品は一つもなかった。

 

 重量が1ポンド(約450g)以上あったので1ポンドのナポレオン金貨(24金)と交換した。

 

となっていてどちらが本当だろうかと考えてしまいます。

 

 

なお、ルイドール金貨(Louis d'or)というのはルイ13世(Louis XIII)が1640年に発行したとされ、フランス革命(1789年)まで発行されていた 金91.7%、銀8.3% の金貨(22k)で希少なものは現在一枚 1,000,000円ほどで取引されるようです。

ナポレオン金貨は大量に作られて品位も 金90%(21.6k)とやや落ちるので流通価格はそれほど高くないようです。

 

どちらも 24k のものがあったのかどうかわかりませんが、どちらの資料でも24金としているので、あったのかもしれません。

 

希少価値を別にして金地金として価格に換算してみますと、今日の小売価格は 5,028円 ですので、1ポンド(453.592g)だと 2,280,660円となります。

金貨の価格ではどのくらいになるのかわかりませんが、希少価値を含めてその倍であるとしても 456万円。

muramatsu の 総18k SR C足 が 8,586,000円(税込)ですから、もし 456万円だとしたら確かにこの楽器の価格としては格安です。

更にこの倍(912万円)でも安いでしょう。

骨董商だったら金貨と交換するというのも自然ですね。

潰して地金にしたものより希少な金貨の方が良いでしょうが、骨董商なら素人のランパルが探すより金貨を見つけるのは容易なのではないかと思えます。

 

価格のことは傍に置いておいて、Louis d’or で Louis Lot d’or を買うというのが話としては面白いですね。

レミュザが亡くなったのが 1880年。

楽器は遺族の手に渡ったでしょうが、それから骨董商が入手したと言っている 1914年(第一次大戦開戦)あるいは1939年(第二次大戦開戦)前までにどういう歴史があったのかが、目下の最大の関心事です。

 

 

※2017.9.1 一部修正。


 

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tanukyan

ご訪問とNice有難うございました。
by tanukyan (2017-09-01 10:59) 

センニン

tanukyan さん、こんばんは。
今後ともよろしくお願い致します。
by センニン (2017-09-01 20:43) 

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