『新版 動的平衡』 [本]
昨日の夕方はこんな空でしたが、今は雲が飛んでいます。
台風が心配です。
さて今日の新聞の夕刊に青い菊ができたと報じられていました。
青いバラと同じくサントリーのテクノロジーによるもののようです。
そこで思い出すのは先日読んだ福岡伸一さんの本です。
最相葉月さんの青いバラについてのノンフィクションにも触れられていますが、同じ最小さんの星新一についての著作にも触れられていてとても興味深い内容です。
新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡伸一
小学館新書 2017年6月5日 初版第一刷
「青い薔薇」──はしがきにかえて(抜粋)
赤い薔薇を、ツユクサのような鮮やかな青に変身させたい。
ハカセは根気よくこの作業を一歩一歩進めていった。
花は鮮やかな青色に輝いていた。
ハカセは気がつかなかったが、その花はどこから見てもツユクサそのものだった。
P.141
最相葉月さんの『あのころの未来』(新潮社)が文庫化される際、解説を書かせていただいたことがある。この本は星新一のショート・ショートを現代の視点から読み直し、何らかの教訓を得ようという興味深い試みである。
(中略)
それを羨んだ友人の植物博士がブドウとメロンを掛け合わせて、ブロンの作出をめざした。メロンのように大きくてみずみずしい実がブドウのように沢山なる果物である。しかし、できたのはブドウのように小さな実がメロンのようにわずかしかならない植物だった……
ここで連想するのはバーナード・ショーにまつわる逸話です。
ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw, 1856年7月26日 - 1950年11月2日)
逸話
ある時、イサドラ・ダンカン(Isadora Duncan, 1877年5月26日- 1927年9月14日)はショーに結婚を申し込み、こう言った。
「あなたの頭脳と私の肉体を持った子供が生まれたらどんなにすばらしい事でしょう」
しかしショーはこう答えて拒絶した。
「私の肉体とあなたの頭脳を持った子供が生まれたら大変ですよ」
これは遺伝学・人類学の入門書や雑文などで時おり引用される逸話である。バーナード・ショーが皮肉屋として知られていたのは確かであるが、相手はダンカンではなくサラ・ベルナール(Sarah Bernhardt, 1844年10月22日? – 1923年3月26日)とも伝わっており、真偽のほどは不明である。都市伝説の可能性もある。
(Wikipedia より)
結婚を申し込むのが『ピグマリオン』で主役を務めたパトリック・キャンベル(Mrs Patrick Campbell (9 February 1865 – 9 April 1940)になっている場合もあります。
* 『ピグマリオン』(Pygmalion)(1913年初演)ガブリエル・パスカルによって1938年に映画化され、ショーはアカデミー脚色賞を受賞した。また、アラン・J・ラーナーによってミュージカル化され、『マイ・フェア・レディ』としてブロードウェーで大ヒットしたことは良く知られている。
(Wikipedia より)
P.144
青い色素を作り出す酵素を移し変えただけでは、植物は "思ったほど" には青くならなかったのである。
(中略)
青い色素を安定して存在させるための細胞内環境、もともと青い花を咲かせない植物に備わっている色素合成経路からの干渉の排除、さまざまな要因が、青くない花を青くするためには必要であることが次々とわかっていく。
星新一が作品で同じようなことを言っているわけですが、バーナード・ショーが亡くなったのが1950年(昭和25年)ですので、その逸話が下敷きになっている可能性もないとは言えません。
星 新一(本名:星 親一、1926年(大正15年)9月6日 - 1997年(平成9年)12月30日
気まぐれロボット(1966年(昭和41年))のちに『きまぐれロボット』に改題。
(Wikipedia より)
そのほか記憶のメカニズムやなぜ歳をとると時間の経過が速くなるのか、医学や新発見や新しい見方や考え方について森鴎外や北里柴三郎のエピソードも交えながら今では当たり前となっている事柄について当時の "権威" がどのようにそれを扱ったかなども述べられていて、非常に興味深い内容になっています。
単行本は二冊目が刊行されているようですので、読んでみようかと思っています。
記憶のメカニズムの件が面白そうですね!
by KENT0mg (2017-08-08 13:01)
KENT0mg さん、こんばんは。
動物の体は食べたものを分解した物質によって絶えず入れ替わっていることが確かめられています。
記憶物質というものはなく、ニューロンとシナプスが形作る神経回路が記憶を担っているのだそうで、回路というのは例えばクリスマスの飾り付けや星座のようなイメージで、回路に電気が何度も通ることによって記憶は強化されるそうなのです。ニューロンやシナプスを構成する物質は入れ替わっても回路の形は保持されると説明されています。
by センニン (2017-08-08 19:47)