親指キーの動作 [楽器]
以前の記事に
Tocco のフルートのキーは特殊な形状に見えるが使いにくいのではないか
とのコメントがありました。
確かに形状は違い、これは同じ GUO M.I.C. が作る New Voice フルートとも同じです。
Tocco は手元にはありませんが New Voice がありますので比較してみました。
一枚目は左手で押さえている事が多い Bキーを押しているところです。
こちらはその隣のブリチアルディキーを押さえていない状態と押さえた状態です。
どちらも同じキーが閉じますね。
普通のフルートは Bキーとブリチアルディキーはこのように "バッタ" と呼ばれる機構で繋がり、ブリチアルディキーが押されるとその反対側が持ち上がり、キーパイプに繋がったアーム状の部分を持ち上げ、その結果同じキーパイプに繋がったキーが押し下げられます。
New Voice ではこのブラスのような部分を押し下げるように連動し、その結果同じキーが押し下げられます。
穴があいてるだけの単純な楽器であったフルートは T.ベームによって改良されてこのような複雑な機構を備えた楽器になりました。
このキーの連動システムは他の管楽器でも同じような動作をします。
基本的には
キーを押すとトーンホールが塞がる
キーを押すとトーンホールが開く
のどちらかの動作をするわけで、それが音によって複数のキーが働いて正しい音を出すように働きます。
これに Eメカが付いたりキーがオフセットになったりするとそれに合わせたキーパイプなどの連動機構が必要になります。
キーパイプが増えるとそれを支えるキーポストも必要になるかもしれません。
メカが増えれば重量も増えます。
複数のトーンホールを組み合わせるので、スケールを設計するについては
ある音程が正確になるようにトーンホールの位置を決めると別の音程がずれる
ことのバランスを取って最良の "妥協点" を探す事になります。
基本的には3つのヴァルヴによって音程を作る金管楽器とはこうした点が根本的に異なります。
新しく発売する楽器が特殊な運指を要求するという事は考えにくい事です。
T.ベームが開発した楽器も普及のネックになったのは従来と異なる運指を覚える必要があった事でした。
それにしても、こんなメカニズムを考え出したベームという人は天才ですね。
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