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Guo M.I.C. の樹脂製フルート:New Voice [楽器]

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この楽器については以前触れました。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2010-03-28-2

昨日用事があって dolce楽器に行ったので良い機会ですので触ってみました。
まず1枚目が全体写真です。
一見して普通のものとは違うなと思いますね。


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頭部管です。


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胴部感との接合部と刻印です。
頭部管の方には金属のリングが嵌めてありますね。


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胴部管です。


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ポストとバネなどです。
バネはステンレスのようです。
キーポストは胴部管にネジ止めですね。


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調整ネジなどです。


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足部管の先端です。
ストレートではない事にお気づきでしょうか?


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ケースの直線部分を隣に置いて撮ってみます。


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頭部管も独特の形状です。


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リッププレートの形状です。


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接合部にはコルクなどは使ってなく、プラスチックが直接接触します。


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胴部管と足部管の接合部です。
胴部管の内側に見える模様はトーンホールから入った光です。


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胴部管を接合部側から見たところです。


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キーやシャフトも樹脂で、所々金属が使用されています。


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左手親指キーです。
"バッタ" と呼ばれるシーソーのような形状ではなく、キーパイプに取り付けられているようです。


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頭部管の先端は見慣れた形状ではなく、相原さんの「ショットベル」のようなホーン型になっています。形は似ていますが中心部には穴はなく、閉じています。


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パッドはシリコン製で、調整に紙も使うそうです。


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管の直径は木製のものに近く、トーンホールも木製のフルートと同じような形状です。



最初にサンプルとして用意されたグレーのモデルを試奏しました。
自分の周りだけで音が鳴っているという印象でした。
厚みとかふくよかさといったものは求めていないのかと思わせる音です。
しかし鳴らしやすく、3オクターブ苦労なく吹けます。
最低音の H もすんなり出ます。

お値段は 125千円に消費税です。
YAMAHA の入門機を買うか、これを買うか迷うかもしれません。
こちらは樹脂製なので内部に水分が残っていても管体がダメージを受ける事はないでしょう。
頭部管にはコルクはなく、反射板の位置は動かせないそうです。
重量は軽く、キーも当然軽いので横方向の振動に対してもそれほど弱くはないでしょう。
これは初心者に向いた特性です。


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ハードケースはアルミ製で内部には樹脂も使われています。
ハードケースはプラスチックというわけにはいかないのでしょう。

樹脂製で型で作られるでしょうから個体差はないだろうと思うのは当然です。
ところがもう一本を試奏させてもらうと全然鳴り方が違うのです。


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外見ですぐ分かるのは頭部管の接合部のところに金属のリングがない事です。
dolce楽器で扱いを開始してからいろいろ注文を出したそうです。

音色は全く普通のフルートですが、総銀の音色とは少々違い、敢えて言うなら木管の響きの方に近いかなという印象です。音色だけでなく、響き方が違うのは不思議です。

何号か前の "PIPERS" に Guo M.I.C. の社長が登場していましたが、そのお話によると頭部管のテーパーと足部管の先端の形状に工夫があるという事です。

以前ここでは Pearl のピッコロの素材であるグラナディッテでフルートを作った事があるようですが、今回なぜそれでなく新しい素材であるこの樹脂を使ったのかと dolce楽器の Kさんに訊いてみますと、この樹脂を使うとそれらの素材にはない倍音が乗るのだという事です。

この個体なら使えます。
Kさんのお話によれば N饗でも使われていて TVに映ったとか。全然気がつきませんでした。

使ううえで気になったのは一点、トリルキーの高さがあまりない事です。

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第3オクターブの B♭など、トリル以外でこのキーを使う時、慣れた楽器より低いのでもう一歩押し込まなければならない点がちょっと気になりました。

色は白とこのグレーとオレンジだそうです。
黒がないのは以前のものと区別するためでしょう。

もし試奏される事がありましたら、複数を比較される事をお勧めします。
もしこのサンプルだけで判断してしまうと見誤る事になります。
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コメント 10

nyankome

樹脂製といえども本格的でビックリしました。
お値段が125千円というのも頷けます。
by nyankome (2010-07-26 01:39) 

ももねこ

樹脂製の笛といえば、
たまたま樹脂製(たぶんアクリル)のクラリネット
買って来たところです。これから鳴らしてみます。
なぜ買ったかというと「C管」という事だからです。
移調楽器って、なおさら音痴になりそうで、怖いのです。
by ももねこ (2010-07-26 04:52) 

すとん

 ううむ、これ、いいですね。でもまだ発展途上みたいですね。ある程度、完成されてきたら、お値段も手頃だし、私、買っちゃうかもしれない(笑)。

 しかし、グレーって、水道管の塩ビ管を連想しちゃう色ですね。


by すとん (2010-07-26 15:13) 

しーちゃん

先日、N響アワーを見ていて、
フルート首席の神田さんの隣の席の方(菅原さんでしたっけ?ピッコロを時々持ち替えで吹かれている方です)が、
なにやら見慣れない白っぽいフルートのようなものを演奏されていました。

もしかしたら、あの楽器は樹脂製だったのかも知れませんね。
by しーちゃん (2010-07-26 20:25) 

センニン

nyankome さん、こんばんは。
音を聴くと(個体によってですが)安いと思えます。
有名メーカーの入門器よりお勧めできますが、税込 131,250円となると、親御さんはちょっと考えてしまうかもしれませんね。
もうちょっと高級感の演出があればとも思います。
by センニン (2010-07-26 20:29) 

センニン

ももねこ さん、こんばんは。
ちょうど昨日通っている楽器店でそのような話を聞きました。
その楽器店では興味津々で、店に置きたいと言っていました。
今日 dolce楽器に電話してみましたら、もう担当者が交渉に行ったようでした。

移調楽器は慣れが必要ですね。
私は元々移調楽器なのでどうとでもなります。
しかしクラリネットの譜面で inC のものは多分ないでしょうから、原調の譜面を演奏するため、という事になるのでしょうか。
by センニン (2010-07-26 20:34) 

Cecilia

写真の美しさに見とれてしまいます。
楽器メーカーの写真はこれほど美しくないかも?
どんな音が出るのか気になります。
by Cecilia (2010-07-26 20:34) 

センニン

すとん さん、こんばんは。
 確かに発展途上ですが、フルート自体が発展途上と言う事もできなくはないですね。
 耐久性などまだ未知の部分がありますから、しばらく様子を見るのも良いでしょうね。
by センニン (2010-07-26 20:36) 

センニン

しーちゃん さん、こんばんは。
ピッコロは菅原さんです。
菅原さんは実は私の先生の先生です。
N饗のどなただったのか聞きそびれてしまいましたが、色は白だったという事でしたので多分菅原さんなのでしょう。
大変な宣伝効果だと思います。
私の印象でも使われてもおかしくないというものです。
試奏なさる場合はくれぐれも個体差の事を念頭に置いてください。
by センニン (2010-07-26 20:40) 

センニン

Cecilia さん、こんばんは。
良い写真かどうかは別にして、この楽器の細部が見られる写真はまだ他にはないかもしれませんね。
楽器店の許可を得て撮っています。

反射してしまうシルバーやゴールドは撮りにくい色ですし、露出も難しく、自分が映ってしまいます。
その点このグレーという色は写真を撮る立場からすると「標準」の色(明るさ)なのです。
専門的な言い方をするなら反射率 18% の標準反射板の色に近く、露出の基準になる明るさなのです。
カメラはこれより白っぽい(明るい)ものは暗く、これより黒っぽい(暗い)ものは明るくしようとします。なので白っぽいものを見た目通りに撮りたい場合は+補正をしなければなりませんし、黒っぽいものは−補正をしなければなりません。

昨日考えたのですが、Cecilia さんに倣って短いフレーズを吹き比べてみようかなあと思います。人によっても音は当然違うのですが、文章を並べるより参考になるかもしれませんね。
検討します。
by センニン (2010-07-26 20:51) 

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