金の Louis Lot を彷彿と:FMCフルートマスターズの特注 18k [楽器]
昨日の記事で触れた楽器です。
前オーナーが FMCフルートマスターズ に特注したものです。
概要は次の通りです。
■頭部管【TypeC よりさらにクラッシクなタイプ】
・材質 管体、クラウン、クラウンリング:18k
ジョイントリング:14k
ライザー、反射板:24k(鋳造)
■胴部管、足部管
・材質 管体:18k
台座、ポスト、リング:14k
・管厚 0.28mm
■キー
・材質 Ag925 に 20kメッキ
■バネ
・材質 16.8k
■Eメカ:なし
分離Gの音孔を小さく絞る事で対応
設計の狙いはランパルの使用していた金の Louis Lot です。
頭部管は吹きにくいと言われる TypeC より古い楽器のタイプで、ライザーが低くアンダーカットはほぼないと言って良い形状です。
昨年アドバイスをいただいて TypeC を検討したのですが、結局試してみないままになったことは以前触れました。この頭部管がこの楽器を手にする事になった一つの大きな理由です。
YAMAHA の Bijou と同じようにポイントが狭く、内吹きで最も良い響きを引き出せるタイプです。
ライザーと反射板は鍛造でなく「鋳造」なので大変柔らかく掃除の時などは注意が必要です。
なお、Ag997 のシルバ−の楽器である Altus の PS は粉末冶金という手法で作られています。
金バネの効果か、元々反応の良いメカの動きが一層追随性が良く、昨年購入した 15周年記念モデルを上回っています。
第三オクターブの E の発音は全く問題ありません。
音色は青木さんの感想を待つまでもなく非常に柔らかで響きが豊かです。
そば鳴りでなく遠鳴りするタイプで、非常にパワーがある印象です。
おそらく大きなホールの最後部の席まで音が届くでしょう。
低音域も十分響き、第三オクターブも鋭くならず輝かしさも併せ持ちます。
この楽器の一番の特徴、それは音色です。
ランパルが吹く Louis Lot を実演で聴いたらこういう音に違いないと思わせる非常な美しいもので、自分の音とは思えない響きが生まれます。
ランパルが Louis Lot を使用した最後の録音は以前も触れましたがマリナーとのブランデンブルグ協奏曲ですが、録音年代が古いのでその音色は相当な装置でも十分再現できないかもしれません。
管体は巻き管ではなくシームレスですが、それでもこれだけの楽器が作れるとは驚きで、製作を依頼した前オーナーの慧眼と製作を担当した FMCフルートマスターズの技術にただ脱帽というほかありません。
樽の部分でなくその下の位置に文字が彫られているのも前オーナーの意向です。
最新号の "THE FLUTE" の表紙はジュゼッペ・ノヴァですが、彼が持っている楽器(Powell の 19.5k)もこの位置に刻まれています。
前オーナーの言葉を借りれば
「金のフルートとしてこれ以上の美音は奏でられないであろう、歴史に残るであろう名器」
ですが、決してオーバーではないという印象です。
後は私がどれだけそれを引き出せるかにかかっています。
この楽器に出会う事ができ、手にする事ができた幸運にただ感謝したい気持ちです。
次のお休みにでも撮影できたら頭部管を比較してみたいと思います。
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