豪華パンフレット:『WEST SIDE STORY』 [映画]
TOHOシネマズで販売していたというパンフレットを入手しました。
確かにこれは異例ですね。
メイキング本の翻訳です。
もうだいぶ以前からパンフレットはずいぶん簡単なものになったなと感じていたのですが、これはまたすごいですね。
昔は無料でくれたパンフレットも購入するものになって久しいように思いますが、これはいつものように買おうと思っていた人も躊躇ってしまいますね。
上の写真はケースで、こちらが本体です。
中にはスケッチやイメージイラスト、写真がふんだんに使われています。
関係者の話が色々収録されているわけですが、バーンスタインの娘さんと息子さんも参加しています。
制作過程は大変興味深いですが、当初の舞台の成立過程について一つ発見がありました。
LEGACY
受け継がれる魂
P7
デビッド・セイント(アーサー・ローレンツ遺作管理者):
(中略)
アーサー・ローレンツは常に、社会的正義感をもって戦う人ではありました。彼は生前に「底辺ワースト・スリーがアフリカ系アメリカ人、ゲイ、ユダヤ系で、(中略)そういうテーマで劇を書きたいと思ったアーサーは、ロウアー・イースト・サイド、つまりマンハッタンの南東部でユダヤ系とカトリック系のあいだに起きていた軋轢に目をつけたんです。ところが、ジェローム・ロビンスと話を詰めていくうちにアーサーは、それならすでに『Abie’s Irish Rose』(原題/映画化版は『アビーの白薔薇』、『わたしのあなた』)がやっていると気づきました。1920年代にブロードウェイで大ヒットして、1937年と1954年にもリバイバル公演があった舞台ですね。そこで、その筋書きは一旦、脇に置きました。
(後略)
これは今まで得た資料には記述がなかった内容です。
既に取り上げられていたのですね。
これは重要なポイントです。
今までの資料で言及がなかったのは不思議です。
そのほか細かいことでいくつか新しく知ったことがありました。
A VISION FOR OUR TIMES
スクリーンに浮かび上がる“現代”
P13-
トニー・クシュナー(脚本/制作総指揮):両親ともクラシックの音楽家だったんです。父はクラリネット奏者で指揮者。母はバスーン奏者。ともにレナード・バーンスタイン世代でした。
(中略)
スティーブンのお母さんがピアノを弾くのは僕も知っていたし、彼自身も子供の頃からクラリネットをやっていて、ミュージカルが大好きなのもわかっていました。
“DANCE AT THE GYM”
「ダンス・アット・ザ・ジム」
P66-
マット・サリバン(音楽製作総指揮/ミュージック、スーパーバイザー):
(中略)
トランペットは世界的に活躍しているウェイン・バージェロン。このトランペット・ソロを今回は長めにして、ウェインに思いきり暴れてもらってます。
※印刷されたままですが、通常「制作」とされる表記が「製作」となっています。
次の文章も同じですが、上のトニー・クシュナーの説明では「制作」となっています。
“MARIA”
「マリア」
P81-
マット・サリバン(音楽製作総指揮/スーパーバイザー):
(中略)
今回のように、テンポを調整したり、キャストの演技を基準にアレンジを施したり、歌う人の声に合わせてキーを変える余地はあります。例えば「マリア」では、アンセルの声域などを意識してキーを変えました。
これは先日新しく入手したピアノヴォーカルスコアでそうではないかと思ったポイントです。
当初調べたいと思った成立過程についてはこれでほぼ分かったかなと思います。
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