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『建物探検セミナー』:ホキ美術館 [アート]

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あすみが丘のホキ美術館にはしばらく行っていませんでしたが、興味深い催しがあると教えていただいたので申し込みました。

 



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2010年8月に完成したこのユニークな美術館は世界で唯一(当時。現在はスペイン、バルセロナ・ヨーロッパ近代美術館も)の写実絵画専門美術館で、ホギメディカルの創業者保木将夫氏の個人コレクションを収蔵・公開するために建てられました。




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設計は 日建設計、施工は(株)大林組。

今回の講師は当時設計を担当された 鈴木 隆 氏でした。




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撮影はセミナー中のみ可で展示室も可でしたが、作品のみを狙った撮影は不可です。




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駐車場から建物の外観や構造についての解説が始まります。




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ここは第一種低層住宅住居専用地域なので本来は美術館は建築できないのですが、ただし許可を得れば可との規定があるそうで、分譲業者から26区画分の土地を購入したのだそうです。

もともと館長さんのお住まいがこの近くにあって自宅の隣の建物を取得できたために日数を限ってコレクションを公開されていたのだそうですが、訪れる人が非常に多くなってしまったし点数も多いので美術館の建設を決意されたのだそうです。

美術館の第一の目的は美術品の保存です。

 

 

※  8.25 追記。

 

当初リゾート地なども提案したそうですが、ご自宅のそばにというご意向が強かったそうです。




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元々は全てを鋼板で作る予定だったそうですが、コストの関係でコンクリートも使わざるを得なくなったとのこと。

この特徴的なオーバハングの部分は鋼板で、溶接の痕も見えます。

 

 

※  8.25 追記。

 

コンクリートは乾燥する過程で絵画にとって有害なアンモニアを放出するので、建物が完成してから一年ほどは展示ができないという問題が生じるそうですが、ある特殊な工法によってそれがかなり短縮されることがわかってその効果も確かめられたので一部コンクリートを採用することもできたとのことでした。

 



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ガラスの内側にはカーテンが引かれていますが、当初の設計ではカーテンは使わない予定だったとのこと。

 

カーテンを引かなければならなくなったのははっきりとは説明されませんでしたが、やはり写真のように女性を描いた作品が並ぶので不用意に外から見えてはまずいという配慮であったようです。

 

紫外線対策としてガラスにはフィルムを貼る他、作品の表面にそれ用のニスを塗り、さらにアクリル板で保護しているそうです。

もちろんどの季節でも直射日光が作品に当たらないように考慮されているとのことです。

 

 

※  8.25 追記。

 

鋼板を使った事によって陸橋が揺れるような共振現象が起こる事も懸念されたので、設計段階ではオーバーハングの下に支柱を立てる案も併記されていて基礎も埋められているそうですが、それは使わないで済んだとのことでした。




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この左側にも階段を経た通路がありますが、このスロープより低いので、子供がこの塀の上を歩いたりしないように斜めにカットされているのだそうです。




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コンクリートにはひび対策として溝が彫られていますが、雨水を流す役目もあるそうで、その効果でコンクリートの表面に水の流れによる汚れは殆ど見られません。




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木枠を止めたボルトの跡が残るのは打ちっぱなしではよく見られますが、それも特別小さいものを使ったとのことでした。




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右奥は『昭和の森』という公園です。


建物の周囲は敢えて庭園とせず、周囲の環境と同じ植生にしているそうです。

庭園にすると維持管理にお金がかかります。




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休憩の後、内部の解説が始まります。

作品をクローズアップして撮るのは禁止ですが、それ以外は可で、このセミナーであることを明示すれば SNS にアップすることも可です。




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右のカーテンがかかっている部分が外から見えたガラスです。

床は鋼板ですが、ゴルフカートが通る部分に使われるゴム素材が採用されていて足への負担を軽減するように配慮されています。




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天井の照明は全て LED で、当時は美術館としては初めての試みだったそうです。

当時はまだ演色性に問題があったそうで、全て特注のチップだそうです。

色温度は 2700K と 3000K。

必要な場合は通常のダウンライトの取り付けもできるようになっているそうです。




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照明の配置はランダムな配列を生じさせるプログラムを使い、設計者が手直しをしているそうです。

展示上の工夫は小さい作品の向かい側の壁との距離は近く、大きい作品とは遠く。

さらに大きな作品は天井も高い展示スペースで。




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これがオーバーハングの部分の先端です。




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最後の展示室を除いて壁が鋼板なので絵画の取り付けはマグネットです。

壁の継ぎ目やワイヤーなどと邪魔なものが目に入らないようにという配慮です。




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展示室の壁はつや消しの塗装で仕上げられていますが、手すりは手が触れる部分以外は同じ仕上げで、両者の境目がわからないように工夫されているそうです。




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銀河のようなランダムな配列です。




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地下の展示室に至る途中では外光が目に入るような工夫がなされています。




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人の動線と心理的な影響も考慮されているとのことです。




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ここは館長が見込んだ作家とその作品を展示するスペースで、時折入れ替えがあるとのことです。

そのことで、ベテラン作家は気を緩めることができず、新人作家はいい作品を作ろうという動機付けにもなっているとのことでした。

まだ写実絵画の地位は低いのだということでした。

 

この部屋の壁は鋼板ではなく、壁は入れ替えのたびに展示のためのボルト(?)を打ち直すとのことで、穴はパテで埋め専用の塗料で塗っているとのことでした。




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18:30終了。

夕焼けが見えたらきれいでしょうね。




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今回スペインの写実絵画の展示もありましたが、見慣れた日本の作家とは随分アプローチが違うなという印象を持ちました。


近いと思えたのは二枚だけ。


日本の見事な写実絵画はほとんど写真のようですが、部分的には写真のようでありながら主要な部分以外はそこまで細密に描かないものもありましたが、日本の作家とは違う意味で写真のような作品もありました。

 


明日の朝は用事があるので今朝の続きを予約投稿しておきます。



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