聴いてみた:池田昭子クインテット [CD]
車の CD プレーヤーが不調でごまかしながら使っていましたがとうとうディスクのイジェクトもうまくいかなくなったので先週ディーラーで交換してもらいました。
もう 10年以上乗っているので新品は手に入らず、オーバーホールした再生品です。
早速池田昭子さんのアンサンブルを聴き始めましたが、内容については微妙なところです。
もちろん日本の有名オーケストラのトップ奏者ばかりですから私たちのようなレヴェルとはそもそも比較の対象ではないのですが、そういう比較ではなくてプロのアンサンブルとしてどうか、というポイントです。
たまたま "ザ・フルートカルテット" の神田さんの編曲による「小組曲」が入っているからというわけではないのですが、形態は違うもののアンサンブルとしての練り上げられ方はまだ物足りないという印象です。
録音は優秀ですが、ワンポイントマイクセッティングによる収録はメリットもデメリットもあります。
収録場所の響きもよく拾われていて過度にオンでなくて演奏会の雰囲気が味わえますが、井阪 紘さんが書いていらしたように録音という作業を経た CD という商品は単なる記録ではないのです。
ワンポイントを基本にしながら曲の部分によってはマルチマイクを併用するような音作りがあっても良いのではないかと思います。
と言いますのは個々の演奏者が最大限に表現しているであろうニュアンスやデュナーミクや音色の変化が十分拾いきれたいないともどかしく感じられるところがあるのです。
アンサンブルに関しましては、トップ奏者の方々ばかりですから技術的なことは特に言うことはありません。
しかし常設で長い歴史のある同様のアンサンブルと比べますとまだ一つの団体としての個性が確立されているかと言えばまだと言わざるを得ません。
神田さんのアンサンブルはフルートだけですが、メンバーの交代はあったものの強力な結びつきが感じられ、フルートだけであるということを忘れてしまいそうなほど多彩な響きを聴かせてくれます。
池田さんのアンサンブルではまず一人一人の音色に "もう少し" と言いたくなるものを感じてしまうのです。
フルートに限って言うなら私は工藤さんのような響きを支持しますので、止むを得ない要求なのではありますが。
クラリネットはつくづく難しいのだなと感じさせる音色です。音域によって全く異なる表情を見せる、それがクラリネットの音の最大の魅力です。
楽器の音というものは優れたアンサンブルにおいては(オーケストラでも吹奏楽でもそうですが)例えばフルートとクラリネットが同じメロディーをなぞっている時、フルートとクラリネットが鳴っていると聴こえるのでなく二つの楽器が一体となった一つの楽器となって響くのが理想だと思うのです。
それは単に縦の線が揃っているということだけではないのです。
これからこのアンサンブルがどれだけ響きを練り上げて歴史を重ねていけるか、それはこれら日本のトップ奏者たちにとっても決して容易な道ではないはずだと思います。
明日はお天気が悪いようですし、早く出なければならないので朝の更新はお休みします。
12月の日程が決まりました。
練習しなければ。
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