エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 イ短調 Op.25 [楽譜]
先日も取り上げました「アインシュタインとヴァイオリン」は第三部 "平均律と純正律" でこれまで試みられたいろいろな調律を網羅している感があります。
ピュタゴラス音律
純正律(自然倍音列)
中全音律(ミーントーン)
ヴェルクマイスター調律
キルンベルガー調律(第1法〜第3法)
平均律(等分平均律)
不等分平均律(不等分調律法)
リュートやヴィオラ・ダ・ガンバなどのフレットのある弦楽器が現在の等分平均律が生み出されるもとになった事、ラモーなどが支持する等分平均律をバッハを始めとするドイツの作曲家たちは嫌っていた事などが述べられています。
P.237〜P.238 には試みられた多鍵の鍵盤楽器の図解があり、実に興味深いです。
これはとても重要な事ですが、P.256 以下に
(等分平均律が嫌われたのは)調によって全音と半音の関係が微妙に異なるために、不等分の調律方法を使うと調の性格をとてもよく表現することができるのに対して、半音の関係がすべて均等であると、同じ音階をただ高さの順に平行移動しているに過ぎない、という理由からでした。その点、不等分な調律法では、それぞれの調によって性格や表現が異なります。当時の多くの音楽家はこの微妙な雰囲気の違いを支持したのでした。
とあるように、よく調の性格などと言われますが現在の等分平均律ではそのような違いは本来感じられないはずなのです。
等分平均律に馴れてしまった耳には
古代や中世の人々が愛した微分音程を、平均律に馴れた耳には、「音程が狂っている」と感じてしまう
のです。
等分平均律が支配的になってきたのには理由があるのですが、以前ご紹介しました CD
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20
を聴いて良いと感じるかどうかで自分の耳(音感)がどちら寄りであるかを確認する事ができるかもしれません。
P.239 以下にジョルジュ・エネスコのヴァイオリン・ソナタ 第3番 が紹介されていますが、この曲は半音より細かい 1/4音、3/4音が指定されていてその特殊な記号とともに譜例も紹介されています。
この曲の録音を探してみますと本人の録音を始めとして古いものが多いのですが、諏訪内さんの比較的新しい録音が手に入ります。
諏訪内さんならきちんと弾き分けられているでしょうから、ぜひじっくり聴いてみたいと思います。
明日と明後日は親戚でお祝いがあって朝から支度をしますので更新はお休みします。
お天気は良いらしいですね。
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