東フィルの《ローマの松》 [CD]
先日のムラヴィンスキーを買った時目についたので一緒に買ってみました。
習志野シティフィルの次の定期で《ローマの祭》を取り上げるというので最新録音で聴き直してみようという気持もありました。
まず《ローマの松》を聴いたのですが、驚きの完成度でした。
東京フィルハーモニー交響楽団は千葉市と提携していて、聴く機会の多いオーケストラです。
DENON がこうした大編成を録音するというのは意外でした。
去年の 5月31日、サントリーホールでのライヴ録音ですが、鮮明に録れています。
バッティストーニという指揮者の事は知りませんでしたが、なかなか評価が高いようで、それは聴いてみて納得しました。
東京フィルハーモニー交響楽団からこれだけのスケールの大きな響きを引き出すというのは並大抵の事ではありません。
《ローマの松》の「アッピア街道の松」の五連符については以前取り上げましたが、この録音では正確に演奏されています。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2008-02-04
ただ一つ残念なのはその記事でも触れましたが、6 Buccine(2 Flicorni soprani in Si ♭、2 Flicorni tenori in Si ♭、2 Flicorni bassi in Si ♭)と指定されている楽器が、トランペットとトロンボーンで代用されている事です。
どんな楽器を使えば良いのかというのは問題ですが、先月見た楽器博物館にあるような楽器を使うというのは一つの考えです。
しかし使える楽器が残っているかどうかは問題ですので、もう少し現実的なところを考えるとサクソルン(イタリア語でフリコルノ)属の中から選ぶ事になります。
Wikipedia によればコルネット、トランペット、トロンボーン、ホルン以外のサクソルン属には次のようなものがあります。
E♭ビューグル
B♭ビューグル
E♭アルト
B♭バリトン
B♭バス
E♭コントラバス
B♭コントラバス
指定の調にあるものを選ぶと
B♭ビューグル
B♭バリトン
B♭バス
という事になりますが、Wikipedia にはここで指定されている3種類のうち二種類の写真が掲載されています。
実演でこれが使われる事があるならぜひ聴いてみたいですね。
この録音ではライヴ録音でありながら練習番号21の ff 以降のフリコルニとトランペット、トロンボーンの掛け合いや練習番号22の4小節前の fp からの盛り上がりで埋もれてしまいがちなフリコルニたちが比較的聴き取れます。
ライヴである事を考えるとよく頑張っていると言えます。
スタジオ録音なら調整は可能ですし、ライヴでも別にマイクを立てれば調整は可能だと思いますが、ここではそうした小細工は行っていないようです。
もしこれを実演でその通りやろうとするならこれらの部分のバランスが問題になりそうです。
演奏効果を第一に考えるならだんだん近づいてくる様子を描いているのですから舞台裏で演奏を始めてだんだん表に移動するというだけでなく人数を増やすという手もあるかもしれません。
聴衆は多分喜びます。
いや、スコアを知っている人でなければ聴き取れない箇所は何がなんだか分からないでしょう。
視覚効果があるでしょうから CD を聴くのとは違うところはあると思いますが。
チャイコフスキーの『1812年』でもバンダが必要ですが、大砲も必要です。
これは実演では大抵大太鼓複数台で代用されますが、録音では本物の大砲の音をオーバーダビングします。
この曲では鳥(ナイチンゲール、夜啼きうぐいす)の声が必要です。
これはまさか実際に鳴かせるわけにはいきませんので録音が使われます。
この辺が解決できるなら、「祭」の次には「松」を聴きたいですね。
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