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個体差は大きい:Altus PS(R) [楽器]

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楽器店のご厚意によって先週印象の良かった Altus の PS を3本試奏することができました。



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そのときの個体はもう他のお店に行ってしまっていますので、同じモデルの別の個体です。


3本とも C足部管付ですが、全く同じではなく、一本は Eメカ付のハーフオフセット(上の写真では左)、 Eメカなしのインライン(中央)、同じくEメカなしインラインのデニス・ブリヤコフ選定モデル(右)です。



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少し角度を変えて撮っています。

左がハーフオフセットです。



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反対側から撮っています。

右がハーフオフセットです。


吹いてみますと、同じモデルで足部管も同じであるにもかかわらず音は全部違います。


ハーフオフセットのモデルは明るく、先週試奏したモデルに近い音がします。

Eメカなしのインラインモデルは大分以前に試奏したときの印象に近く、太目の密度の高い音がします。

同じ構成の選定モデルはさすがに中身の詰まった一層充実した響きがしますが、吹込み角度が他の2モデルとは違い、ポイントが狭い感じです。

この個体はブリヤコフのようにバリバリ鳴らせる人向けでしょう。


Eメカについては付いていない方が自然な響きです。

その違いは微妙ですが、問題にする人にとっては無視できない違いです。

確かに付いていた方が第3オクターブの E は出しやすいですが、付いていなくても困難というほどではありません。

しかしこれも使う人のレヴェルに負うでしょう。



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持参した FMCフルートマスターズのイニシャルモデル(左)を並べて、Eメカの有無による違いを比べてみました。

左と中央(Altus)とではキーの間隔が違うのがご覧いただけますでしょうか。


音色の違いは上に書いた通りですが、この違いがインラインとハーフオフセットによるものであるかというとそうではないと思えます。

先週試奏したのは

 インラインのリングキーで Eメカなしの C足部管付のモデル

 ハーフオフセットのリングキーで Eメカ付でH足部管付き

でしたが、インラインの C足部管付の方が明るい音色だったのです。



今回気が付いたのは音程の微妙な差でした。

第一オクターブの B♭は

 左手親指が Bキイ(サムキイ)を押さえ、右手人差し指が Fキイを押さえる

 左手親指がブリチアルディキイを押さえ、右手人差し指は何も押さえない
のが本来の指使いですがこのとき右手人差し指が Fキイを押さえても良いことになっています。

Eメカ付のハーフオフセットのモデルで吹き慣れた曲を吹いた時、B♭の音程にちょっと引っかかったのです。
そこで上の二種類の指使いを試してみると微妙に違いがあることがわかりました。
トリルのように交互にやって見るとよく分かります。

同じことをインラインのモデル二本で試してみるとごくわずかな違いしかありませんでした。
FMCフルートマスターズの方は全く違いがありません。


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音色の違いがどこから生まれるのかは一概に言えませんが、頭部管の歌口の削り方が大きな部分を占めていると言って良いだろうと思います。

上の写真の左がハーフオフセットのモデル、右がブリヤコフ選定モデルです。
3本並べたフルートに取り付けられた頭部管を1枚の写真で正確に同じ角度で写すことは難しいので正確な比較にはなりませんが、微妙に違いがあります。

3本も試奏できることはそうそうありませんので、今回の機会については楽器店に感謝しています。

今回のインラインのモデル二本が PS 本来の音ではないかと思いますが、先週の楽器が私には好ましく思えるのです。
しかし今回のブリヤコフ選定モデルは吹きこなせる人にはとても良い楽器だろうと思います。
キーは軽く、音も均一な印象です。


どの個体に出会えるのかは運次第なのかもしれません。
楽器の選定は難しいですね。



 

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