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1小節多い!:Ave Maria(Bach - Gounod) [楽譜]

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先日ランパルの曲集を久しぶりに手にして懐かしい思いに浸りました。
冒頭の Ave Maria はよく聴いたものです。

春の発表会に取り上げてみようかなと思いました。
無理な箇所はありません。たまにはこういうきれいな曲も良いでしょう。

楽譜を眺めていたら久しぶりにピアノパートを弾いてみたくなりました。
先日楽器店でレッスン室をレンタルした時に少し弾いてみました。
始めは自分でも情けないほど指が動きませんでしたが、やっているうちに少し勘が戻ってきました。


Ava Maria のフルートとピアノの楽譜ではページが多いのでめくるのが大変です。
そこでオリジナルである J.S.Bach の『平均律クラヴィーア曲集 第一巻』の一曲目を取り寄せてみました。全音のピアノピースです。これなら見開き2ページです。

表紙には『平均律クラヴィーア曲集 第一巻』でなく「『平均律曲集 1』から」とありまして、全音が出している曲集のうちの一曲としています。
それはどうでも良かったのですが、中を読んでいて驚きました。
写真はその箇所ですが、2023小節目(右ページ二段目の二小節目)についてこんな脚注があります。
 この1小節はシュヴェンケ(Ch.Schwenke)が挿入したもので、バッハの原曲にはない

本当かと思い全音の『J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 I 』を確かめてみますと問題の箇所は次のようになっています。


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確かにその小節は存在しません。

バッハ 平均律クラヴィーア曲集1 (市田編)

バッハ 平均律クラヴィーア曲集1 (市田編)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜



確認のために検索して見るとこんな記述が見つかりました。
http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2008/06/post_6857.html
この記事によりますと 1783年にシュヴェンケという人物の筆写譜にこの小節が現れ、1883年にこの点に注意を喚起した版が出現するまでこの筆写譜をもとにした版が使われていたそうです。
そしてグノーのこの曲の発表が 1859年。当然この版を底本にしているので1小節多いというわけです。

ランパルの曲集に収録されている矢代編曲版は
 1. イントロを四小節加えた。
 2. 最後から五小節目の次に
   1小節目と同じでオクターブ下
   1小節目と同じ
   の二小節を加え、メロディーの頭(五小節目)に戻る。
 3. 二度目のメロディーは途中までオクターブ上げている。
   エンディングはオリジナルと同じ。
となっています。

いやあ、知りませんでしたね。
楽譜はいろいろなものを見る必要がありますね。


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コメント 4

tetsu

Bach - Gounodはオリジナルに1小節追加されている、というのは平均律クラヴィーア曲集を初めて聴いたころからなんとなく知っていました(とても弾けません)。ただ詳細は記憶がなくて、そのうちGounodが1小節追加していたと、勝手に思い込んでいました。初期ロマン派っぽいし。

J.S.Bachは生前から古い曲を書いていると思われいて、死後は忘れられていたようです。TVで放送された坂本龍一のscholaの古典派でも、「W.A.Motzartの時代にはJ.S.Bachは忘れられて、J.Ch.Bachなど息子たちのほうが有名だった。W.A.Motzart,L.v.Beethovenは晩年になってJ.S.Bachを発見し、フーガを書いた」というような話がありました。平均律クラヴィーア曲集の譜面もMendelssohnのマタイ受難曲の演奏など、J.S.Bachの見直しがあって、改訂されたのでしょう。

紹介されていたサイトでBrahmsも1小節多い版で演奏していた、という話は面白かったです。ありがとうございました
by tetsu (2011-10-28 21:00) 

センニン

tetsu さん、こんばんは。
ご存知でしたか。さすがですね。

忘れられていたというのはおっしゃる通りで、現在の音楽シーンとはまるで違って新作ばかりが聴かれていたようです。映画『アマデウス』でも次々に新作を求められる様子が描かれていましたね。
機会音楽で使い捨てであったというわけです。
それでありながら少なくない数が残っているというのはやはりその価値を認めた人たちの功績なのかもしれませんね。

それにしても追加された一小節、もちろん単なる間違いではないのでしょうが、今なら考えられませんね。
by センニン (2011-10-28 21:52) 

IWARIN

センニンさんこんばんは。
わたしは、学生の時に試験でこの平均律のプレリュードを弾くところから初めて、従兄の結婚式でこれを録音したものをカラオケにアヴェマリアを演奏しようとしたら、1小節足りないので慌てて伴奏譜を見て録音しなおしたことがありましたが、この時はてっきりグノーがメロディをつける時に不都合が生じて1小節追加したものだと思っておりました。全くの勉強不足です。
来月、小学校でこの曲を演奏することになったのですが、川崎優氏による二本のフルートとピアノによる編曲をさらにフルート、チェロ、ピアノ用にアレンジしたもの演奏します。
by IWARIN (2011-10-29 01:38) 

センニン

IWARIN さん、おはようございます。
私も同じような事を考えた事があります。
次の発表会に間に合えばやってみたいですが、自信はありません。

小節数が合わなくて慌てたのは『「歌の翼」による幻想曲』で一度経験しましたが、この曲は使用した ALSO出版の楽譜の編曲者川崎優さんが一小節挿入したのでした。

よく知っている曲でも意外な事実が隠れているものですね。
by センニン (2011-10-29 07:53) 

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