昨日もちょっと触れましたし以前取り上げたこともあるこの曲集ですが、結構使っている人は多いようです。


写真は先日触れました問題の二冊目の旧版です。



 

 


 


先に特徴をまとめますと、普通とは逆でフルート用の譜面が一冊の本として製本されていて、ピアノ用の譜面が取り外せるようになっています。


 


 



 


 













フルート用の楽譜は譜面だけでなく写真のように曲の解説や奏法のアドヴァイスが収録されていて、ちょっとした教則本のようです。






今回このページを撮影していて気がついたのですが、「ホラ・スタッカート」の作曲者がなぜかハイフェッツになっています。


しかも D. ハイフェッツ。


作曲者はディニーク(Grigoraş Dinicu, 1889 ~1949)。


ルーマニアのヴァイオリニストで作曲家です。


 


 


高名なヴァイオリン奏者のハイフェッツはヤッシャ・ハイフェッツですので、これは誤りです。








これは英語表記を見れば理由がわかりますが、作曲:ディニーク、編曲:ハイフェッツ としてあるのにをそれを間違っているのです。





困ったものです。


 


 






模範演奏とカラオケが収録されていますが、カラオケには小さくフルートが収録されていますのでデモなどで使うことはできませんし、出版社の Q&A によりますと著作権の問題で人前での演奏に使うことはできないのです。


 





また教則本的に使えるのは良いのですが、厚いので折りたたみ譜面台にのせると不安定ですし、昨日取り上げましたように閉じてしまいがちなのです。








ピアノ譜は厚くならないようにしたのか紙が薄く、裏側のページが透けて見えてしまっています。


これはとても見づらいですし、こんな印刷は他では見たことがありません。


 


最後に先日疑問に思った点を出版社に問い合わせた結果に触れます。


この本が事実上絶版になって6曲を入れ替えたものが「フルートのしらべ2」として出版された点です。


 


そのまま引用することは避け、要点をご紹介します。


 著者・編集者の意見に読者からの要望などを勘案して決定している。


 旧版を持っていない人や新規に購入してもらうについて新曲だけでなく人気の高い曲が収録されていることも重要な要素であるため


こうした、とありました。


 


当方が疑問に思って質した


 旧版を持っている人は困る。


 6曲だけで或いは他の曲も収録して全く新しい曲集として出すことはなぜしなかったのか


という点には全く答えていません。


 


定番曲などが必要なら旧版はそのまま残せば良いわけですから、事実上絶版にしてまで入れ替えたということは旧版の6曲を継続して収録することができない理由が何かあったのではないかと思えてくるわけです。


 


6曲を眺めても特に問題があるとは思えないのですが、どういう理由があるのでしょう?


前回指摘した問題の曲をもう一度列挙しますと、


 ブラームスの子守歌


 メヌエット(ボッケリーニ)


 ト長調のメヌエット(ベートーヴェン)


 メヌエット(ペッツォルト)


 アヴェ・マリア(バッハ&グノー)


 アヴェ・マリア(シューベルト)


が外されて


 タンゴ(アルベニス)


 踊る人形(ポルディーニ)


 ハバネラ形式の小品(ラヴェル)


 亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)


 春の歌(メンデルスゾーン)


 愛の喜び(クライスラー)


が収録されています。


 

 


新たな6曲は確かに良い曲ですが、重ねて言いますがこの6曲だけのために新版を買う気は起こらないのです。





旧版と一冊目の中には明らかな誤りがあり、それは以前電話で指摘しました。


 


どうもこの出版社には信頼が置けません。