今メインで使っているのは FMCフルートマスターズの 15周年記念モデルですが、リッププレート、ライザー、クラウンリングは 18K です。


ゴールドを使うのは主に音色のためですが、装飾の意味合いもあります。


またこれは使ってみてわかる事ですが、汚れが落ちやすいのです。

上の写真に使用に伴う汚れがあるのがご覧いただけると思いますが、これは普通に拭き取るときれいになります。

しかし普通のシルバーのリッププレートですと長年使っているうちに落ちにくくなってくる場合があります。


シルバー(多くは Ag925)はご存知の方も多いとは思いますが長い間にはどうしても変色します。

使う人の体質によっても違いがありますが、だんだん黒ずんできます。

これは硫黄イオンと銀が反応することで硫化銀に変化するためで、銅でも同じです。

これは硫化ですので鉄が錆びる酸化とは区別します。


銅も反応するので 24k でない 18k や 14k など銅を含むものは変色の可能性があります。


その点プラチナやプラチナメッキの楽器はその心配はありません。

なおかつプラチナは傷に強いため磨き傷もほとんどつくことはなくいつまでも鏡のようにきれいです。

なお、プラチナメッキは Pt900 をメッキするのではなくパラジウムを使うのだそうです。

muramatsu などでプラチナ製のフルートを作っていますが、素材は Pt900 です。

プラチナ製は鳴らすのが難しく独特の音がするので金製ほどは使われていません。


だいぶ前ですが某フルーティストが駅のコインロッカーに muramatsu のプラチナと金のフルートを入れておいたら盗まれたが、後で近くの売店(キオスクだったか?)に誰かが届けにきて発見されたという事件がありました。

その時プラチナは 700万円、ゴールドが 500万円でした。


時は大分経過した数年前から YAMAHA はゴールド製の楽器を時価としました。

その時すでに変動が大きかったのですね。


そして今、ウクライナ侵攻直後に菌が大幅に値上がりして一時パラジウムを超える価格になりました。

今は金の方が安くなりましたが、それでも侵攻前に比べると大層高価です。


金は今買う人も売る人も多いそうです。

売る人はずっと持っていた人が売り時と判断したからでしょう。

買う人は有事の際の安定した資産として持っておこうというのでしょう。





これは今朝の新聞です。



プラチナといえば多分フルートに関係する人しか知らないと思いますが、「DENSITY 21.5」という曲があります。

Edgar(d) Victor Achille Charles Varèse の作曲で、Georges Barrère というフルーティストが初めてプラチナのフルートを作り、初の演奏会のために依頼した無伴奏の曲です。

DENSITY は比重のことで、プラチナの比重(正確には 21.45)を表しています。


フルートに関わる金属などの比重は


 金      :19.32

 銀      :10.50


 銅      :  8.96


 真鍮     :  8.5

 ロジウム   :12.41

 鉛      :11.35

 鉄      : 7.874

 チタン    : 4.54

 パラジウム  :12.02

 アルミニウム :  2.6989

です。

 

プラチナは銀の倍以上ですね。

 

貴金属を使うからフルートは高いんですよね。

初期の銀のフルートは銀の食器を溶かして作ったそうです。