前回説明が足りなかったかと思う箇所がありましたので少し補足します。










足部管にあるこの出っ張りはギズモキーと言って、H足部管付の楽器に見られるものです。


何のためかと言いますと一番低い音のトーンホールである H のトーンホールだけを塞ぐためのものです。


H のキーに繋がるレバーは一番奥にあって構造上このレバーだけを押すのは難しいので上に飛び出させて押しやすくしているわけです。


H 足部管付の楽器は C 足部管付の楽器と比べると最高音の C が鳴らしにくいのですが、このギズモキーを押して最低音のトーンホールだけを塞ぐとそれが出しやすくなるのです。








前回ストッパーという表現を使った部分です。


上がレバーを押さない、トーンホールが開いている状態、下がレバーを押して閉じた状態です。


このフェルトを貼った部分を曲げることによって開き方を調整します。








フルートを掃除する時はキーの近くは管の長さ方向に沿って拭くのではなく管に直角に拭かなければなりません。


 


その理由は誤ってキーカップに触れてしまうとキーが横方向に曲がってしまう可能性があるからです。


 


 






この部分に力が加わると曲がってしまう可能性があります。


素材である Ag925 などの銀合金は思ったより柔らかいのです。


 


なのでフルートはケースに収納した状態でカバンなどに入れる時、縦にすることは避けます。


振動でキーの調整が狂う可能性があるのです。


ドラマなどで見られるように自転車の前かごに放り込んで走るなどはもってのほかです。








これがぴったり閉じなくなるかもしれないのです。









 


こちらは押されたキーを戻すためのバネです。


素材は各社工夫が見られますが、一般的なものは縫い針です。


 


 


1860年、ベーム式フルート(1847年モデル)がコンセルヴァトワールで正式採用されましたが、基本の構造は今も変わっていません。


管体が円筒、頭部管がテーパード(円錐)という構造で作られているわけですが、この構造では第二オクターブまでは音程には問題ないものの第三オクターブ目は上ずり、これを根本的に解決する方法は今のところありません。


(演奏家はそれをカバーしながら使っています)


 


フルートが発展途上と言われることがあるのはこうしたことが理由です。


 


天才の出現が待たれます。