相原さんが依頼されてストレートな円筒管で頭部管を作ったそうです。
上が円筒管、下が普通の頭部管です。

フルートに関わる人はほとんどご存知ですが、キーシステムを備えない昔のフルートは本体が先すぼまりの円錐形でした。
ピッコロやリコーダーは今でも円錐管ですが。

太さが変わらない円筒形でフルートの胴部管を作った場合は音が低くなるにつれ音孔の間隔が広くなり、指では塞ぐ事ができなくなります。

現代のフルートは頭部管に先すぼまりのテーパーが付けられていて、胴部管は円筒形です。
細かい説明は省きますが、こうする事によって少なくとも2オクターブの音程が正しく保たれます。



では頭部管を円筒にした場合は本当にそんなに変なのだろうかというのが依頼主の発想だそうです。
上の写真の左が円筒管、右が通常の頭部管です。
共にクラウン方向から見ています。



向かい合わせに置くと違いがよくわかります。



この写真の上部は、右が円筒管の頭部管のクラウン側と通常の頭部管の接合部側を合わせたものです。
直径が同じです。
下部はクラウン側を向かい合わせにしたものです。




左が円筒管です。


試作品ではありますが、これを楽器に取り付けて吹いてみますと、三オクターブまで吹けないわけではありません。
しかしなんとなく音程が変です。
特に第三オクターブに於いてそれが顕著です。
音程を完全にコントロールできる人なら使えなくはないと思いますが、敢えてこれを使うというのは意味のない事と言わなければなりません。

また、もう一つ問題と思えるのは音色に精彩がなくなる事です。
高音部でもキラキラしたきれいな輝きと言えるものがないのです。
これは例えばオールドの響きや木管の響きなどの「渋い」響きとは異なるもので、なんと言いましょうか、音が「退化」してしまったような印象なのです。


なぜ頭部管にテーパーが付けられているのかという問いに具体的に例を示して説明するためにこれが依頼されたようです。


明日は相原さんは山野楽器に出張です。

ピッコロにフットフォンを取り付けると出しにくかった音が出るようになった例があるそうで、それを作っているというお話がありました。
フルート用は足部管の中に差し込みますが、ピッコロ用は先端に被せるのだそうです。
ベルというよりはスカートのようですね。

明日展示されるかどうかわかりませんが、面白いお話が聞けるかもしれませんので、お時間の許す方はお出かけになってみてはいかがでしょうか?





にほんブログ村