若い頃読んだ本を本棚から引っ張り出し、再読しています。
中公新書『楽器の音色を探る』(安藤由典著 S53.12.20 発行)。

古い本でもう絶版ですが、フルートを習っている今読み返すととても参考になる内容です。

閉管と開管とは何か?
同じ発音原理のサックスとクラリネットはなぜあんなに音色が違うのか。
クラリネットのあの独特の音の倍音構造はどうなっているのか。
ダブルリードの独特の音の秘密は?

フルートは同じ楽器でもなぜ吹く人によって音が違うのか。
フルートで多彩な音を吹き分けるには。
顏の角度による鳴り方の違い。
息の速度と顏の角度と発生する音の関係。
理想的な歌口とは?

フルートを鳴らす器械を作ったり、人間の唇の役割に気付いたり、高名な演奏家の音を分析したり。

高名な演奏家とは当時よく来日していたランパル氏など二人です。
研究室で実際に演奏した音を分析しているのです。
こんなことは今では考えられないでしょうね。

安藤氏は当時も音楽之友社で『楽器の音響学』という本を出版されていましたが、現在でも『新版 楽器の音響学』が出版されていて、この中公新書の内容をふまえた、より高度な内容になっています。

この『楽器の音色を探る』は古本で入手可能な場合がありますが、もっと突き詰めたいと思われたら上記の本を読んでみると良いでしょう。

著者は研究と平行してフルートを習い始められたそうです。
フルートの音響に関する著作も何冊かあるようです。

音楽の表情を豊かにするための音色の変化。
どうすればよいのか、この本にはそのヒントが書かれています。