先月末ごろ山野楽器で買おうとしたら売り切れだったのでネットで探して、ラッキーなことに何かのクーポンが使えて半額で買うことができたサントラの CD です。


演奏は主にニューヨーク・フィル、そのほかにロサンゼルス・フィル、指揮はドゥダメルなので期待しました。





今回の映画では一部をスペイン語にしたなどオリジナルの舞台に近づけるような試みが行われているようです。





で、日本語のライナーノーツなどはありません。

これなら輸入盤を買ったのと変わりません。





録音に参加したメンバー全員の名前が記載されています。









John Williams がなんと言っているのかと思い読んでみましたが、今まで資料を調べた範囲のことで新鮮味はありません。

ただ、バーンスタイン自身は「マリア」は史上最高のラブソングだ と言ったそうで、それには同意します。

John Williams は「Somewhere」を一番評価しているようです。


面白いのはバーンスタインのスコアについて (編曲を担当したSid Ramin と Irwin Kostal は)ベートーヴェンのような彼の落書きを解きほぐす不思議な能力を持っていた (These men were longtime associates of Lenny’s who had the uncanny ability to unravel his often-Beethovenian scrawls, written in the white heat of creativity. )と言っていますのでバーンスタインの筆跡は読みやすいとは言えないのかもしれません。


今日たまたままた山野楽器に行きましたら数年前の出版ですがピアノヴォーカルスコアがありました。













作品誕生までの経緯などはもう十分なのですが、ブロードウェイのリハーサルや本番の写真が興味深く、さらに一部バーンスタイン自筆のスコアが一部掲載されていたので買ってしまいました。







「Maria」の自筆譜。





「Something's Coming」の自筆譜。





「Cool」。





「I Feel Pretty」。





Authur Laurents と Jerome Robbins の写真はあまり見ることがないので貴重です。


舞台ではマリアは Carol Lawrence、トニーは Larry Kert です。





バーンスタインが若いです。





Stephen Sondheim の写真もなかなか見ることがありません。





こちらは 1961年の映画の一場面です。


さてスピルバーグ版をぜひ観たいと思ってはいるのですが、まだ行けていません。

サントラが先になってしまいました。


たまたま週刊文春の3月3日号で林真理子さん(「夜ふけのなわとび」)はダンスシーンは良かったけど他は旧作の方が良かったというような意味のことをおっしゃっています。

またマリア役の俳優が旧作のナタリー・ウッドほど美人じゃなくて、あれではトニーが一目惚れするようには見えないというようなこともおっしゃっていますが、私もリーフレットや予告編を見て同じようなことを思っていました。

映画の色調もくすんだような感じで、敢えてそうしているのでしょうけど気持ちが浮き立たないなあと思うのです。


そんなことを考えながらサントラを聴くとこれまた新しいものの方が良いとは必ずしも言えないと思ってしまいます。

たしかに録音は最新で素晴らしいです。

音場感も広く奥行きもあって歪みはもちろん全くなくてレンジも広く、演奏自体も文句ありません。

しかし肝心の歌唱はオリジナルキャストや旧作の映画と比べて格段に良いかというとそうとも言えないという印象です。

旧作ではマリア(ナタリー・ウッド。歌はマーニ・ニクソン)もトニー(リチャード・ベイマー。歌はジミー・ブライアント)もその他の一部も吹き替えでしたが、「Maria」についてだけ言っても旧作のトニーの、マリアという単語(single word)がこんなにも美しい響きを持っていたなんて、と歌うその心の昂りが伝わってこないのです。

歌手はもちろん巧いのでしょうけど、こう言っては語弊がありますが譜面を巧みに再現するというのと気持を歌い上げるというのは違うと思うのです。



ともあれスピルバーグ版を一度は観たいですね。

チャンスがなければいずれ出るであろうブルーレイでも。