先日の写真展で買ったオードリーの伝記はもう読んでしまったのですが、翻訳も自然な文章で違和感なく読めました。


 



 



 




 


で、奥付を見ると発行日は今週金曜日です。


実は Amazon にレビューを投稿したのですが、Amazon では発売予定が 1/15 になっていて、現在は予約受付中の状態です。


レビューはまだ表示されませんが、多分発売前であることが理由でしょう。


 


雑誌や書籍は明確な発売日というものがなく表示義務もないそうですが、雑誌などでは二週間くらい先の日付が印刷されていることが多く、これらはなるべく新しいものであるという印象を持たせたいという理由からで業界の慣習であるそうです。


 


書籍の場合、この本は出版社が直接並べていましたのでかなり早く販売されたのでしょうが、「発売日」はいつかということになると、敢えて言えば取次に卸された日と書店に納入された日の二つの発売日があるということになるのだそうです。


そう言われれば確かに書籍などは再販制度の対象であり、再販売と


 生産業者から商品を購入した卸売業者や小売業者が、再度そのままの商品を消費者に販売すること。


 (精選版 日本国語大辞典)


なのですが、一般消費者にとっては「再販売」という名称自体が何となく違和感を感じるものではあります。


 


 


さてそれはさておきこの本の内容についてはレビューに表示される予定のものを。


 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オードリーの伝記はたくさん出ているようですが、日本語訳ではこれが最も新しいものです。


原書は2009年に出ています。


熱烈なファンでない者としては生い立ちから晩年まで一冊で人生を辿ることができるのはありがたく、翻訳も自然な日本語で読みやすく、最初に手に取るにはボリュームも最適と思われます。


 


映画で不動の人気を獲得するのがコレットの『ジジ』のブロードウェイ版のリハーサルで原作者に見出されたことが始まりであったこと、父と母のこと、戦争を生き延びたこと、結婚と離婚、何度かの流産、ユニセフ親善大使になったのがそれほど評価されていない映画の撮影がきっかけの一つだったこと、ユニセフとの最初の仕事が東京での慈善演奏会の仕事であったこと、などなど有名な幾つかの映画での姿しか知らない人には是非読んでいただきたい内容です。


 


幼い頃から続けたバレエを断念した経緯、正式な演技と発声の訓練を受けなかったことからずっと自信がなかったこと、『マイ・フェア・レディ』で大部分の歌を吹き替えられたこと、などオードリーが映画の仕事をどう思っていたかという点も興味深いです。


 


弱点を隠すのではなく魅力に変えること、そのためにも衣装が大事であったし、誰もが認めるファッションセンスが備わっていたこと、女優といえばグラマーであることが当然であった時代にそうではない魅力を世界を気づかせたこと、など彼女の振舞いと彼女の魅力についてももちろん述べられています。


 


子供の頃の写真('39)『ジジ』での写真('51)、バレリーナ役の写真('52)ショーン・コネリーとの共演('76)の写真、最後のパートナー、ロバート・ウォルダースとの写真('88年頃)、ユニセフ親善大使としてのソマリアでの写真('92)なども適切に挿入されて理解を助けます。


 


ただ、何箇所かこなれていない訳文もありますが大きな欠点というほどではありません。


オードリーが一番大切にしたかったのが家庭であったこと、ユニセフ親善大使としての仕事が俳優としての仕事より自分の使命と強く思っていたこと、こうしたことを読むとさらに別の伝記なども読んでみたくなります。


 


 


タバコが唯一の悪癖と言われていたようですが、死因はタバコとは関係ないようです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 


 


というわけでおすすめなのですが、後半の一部に訳文に工夫が必要だったと思われる箇所もありました。


 


 


P.220


 


もうすでにヘプバーンは、ユニセフはじまって以来もっとも影響力のある大使になっていた。精力的に現地での活動をつづけただけでなく、俳優としての経歴が、彼女を説得力ある語り手にしたのだ。彼女が国の指導者たちと語るとき、リアリズムのセンスと情熱とが混ざりあっていた。彼女は、自分が道徳的に正しいと信じる方法で、政権につく者たちを動かし、その財布の紐をゆるめさせたのだ。


 (第11章 命つきるまで)


 


原書に当たってみるつもりですが、


日本語だけを読んで再構成してみるなら


例えば


 彼女を説得力ある語り手にしたのだ


 彼女の言葉に説得力を与えたのだ


 


とでもした方が自然だろうと思います。


 


 リアリズムのセンスと情熱とが混ざりあっていた。


もちょっとなんとかしてほしいですね。


 


ともあれ、ファンの方にもそうでない方にも読んでみていただきたい本です。