以前同じタイプの楽器を比較試奏したことがありますが、頭部管がオリジナルのものは私のも含めて一つもありませんでした。


 


 


Uebel の特徴は Nagahara と同じように頭部管が長く、その分胴部管が短いこと、足部感が一体であることです。


 


今回は Uebel の特徴であるアルミ合金製の葉巻型のものではなくて Nickel Silver の楽器ですが、この素材は洋銀、nickel silver、german silver などと呼ばれることがあって厳密な区別は曖昧ですが、最近の楽器のカタログでは洋白と洋銀を使い分けているものもあります。


 


Wikipedia によれば「洋銀」と言った場合は第一には


 幕末から明治初期にかけての日本、および近世の中国に流入した外国製の銀貨のこと。特に断りが無い場合には1497年以後メキシコを中心とする、スペイン系の中南米諸国で鋳造されて国際決済で長く用いられてきたSpanish dollar といわれる、量目420グレーンの8レアル銀貨を指す場合が多い


 


とのことですので、楽器の場合は洋白と言っておくのが無難だと思います。






 


 




上が特徴的な葉巻型の楽器、下が今回の楽器です。


 







使われているパーツはほぼ同じです。








頭部管はどちらもオリジナルではなく、上の私の楽器は UK の Flute Makers Guild、下の今回の楽器は SANKYO 製です。










左が私の楽器、右が今回の楽器です。


右の楽器は刻印が不明瞭になっています。


おそらく磨きをかけたのだろうと思います。








左が型番、中央が製造年、右がシリアルであるようです。








上の今回の楽器は修理の手が入っているようで、フラックスの汚れのようなものが目立ちました。








キーポストはどちらも座金を使わず直付けされています。








綴りが間違っています。


 






 


試奏した印象は、頭部管の出来のせいか特別惹きつけられるような音色ではありませんでした。


頭部管を交換すると少し緩いですが鳴りが私の楽器に近くなります。


この楽器の頭部管を私の楽器につけてみようとしましたが、きつくて入らないので試奏はできませんでいた。


 


Uebel はやはり葉巻型のタイプが良いのではないかと思えます。


そして、この楽器としては珍しい極めて厚い銀メッキ。


そして何より Flute Makers Guild の頭部管。


 


Flute Makers Guild は日本ではあまり馴染みがありませんが、腕のある職人たちが設立したメーカーであるようです。


HP はありませんが、こちらに少し言及したサイトがあります。