しばらく前の新聞広告で知ったのですが、11月に映画『アマデウス』を上映して音楽を生のオーケストラで演奏するというコンサートが行われます。


昨年ロンドンで初演されて大評判になったそうで、日本では11月に渋谷のオーチャードホールと兵庫県立芸術文化センターで行われます。


http://www.ints.co.jp/amadeus-live/index.htm





似たような試みは「映像の世紀」などでも行われていたように思いますが、『アマデウス』でこれをやると言うのはとても良いアイデアです。


 


オーケストラはオーケストラアンサンブル金沢で、当然合唱団も編成されます。


オルガンはどうするのかわかりませんが。


 







チケットは入手したのですが、本番の前にしばらくぶりに映画を観ようと思い、ブルーレイを取り寄せました。


しばらく前に限定版で発売された日本語吹き替えを追加収録した盤で、追加の吹き替えにはほぼ当時と同じ顔ぶれが起用されています。


アマゾンのレビューでも概ね好評のようです。


 


劇場公開版の DVD も収納されているのですが、観てみると色あせた印象があります。


当時の DVD もありますので比較してみることもできるのですが、記憶の印象より色などが古めかしくなったように思います。


もともとロウソクの明かりだけで収録するなど古色がいい味を出しているのですが、やはり古くなってしまったなという印象があります。


 


 


ディレクターズカットの Blu-ray を観てみますと、その違いは歴然です。


まあ小ホールのスクリーンは 150インチもあるので DVD では解像度が苦しいのは当然ですが、Blu-ray は新たにリマスターされているようで、当時の印象が蘇ります。


 


音についてもかなり良くなっていて、細かい物音も良く聞き取れます。








劇場公開版でカットされていた部分の新たに収録された吹き替えはレビューで言われていたような 30年の時間経過を感じさせるような不自然さは感じないのですが、サリエリの吹き替えを担当した日下武史さん(追加収録部分は水野龍司さん)についてはちょっと注文をつけたい感じです。


 


老人になったサリエリのメイクも演技も見事なのですが、吹き替えの日本語は若い時も老人のシーンでも調子が同じです。老人には老人の声のトーン、喋り方があるはずです。この点だけが惜しいです。



 


 


それからこれはレビューでも言われているのですが、A minor などを字幕でも吹き替えでもエーマイナー、などとしています。


ここは音楽映画ですから イ短調 と言ってもらいたいところです。


音名も F とか C とかでなく、ファ、ド  と言ってもらいたいです。


日本語字幕は DVD と Blu-ray では少し違いがあるのですが、この点は同じです。


 


第一小節、第二小節 というのも変。


普通は一小節目、二小節目。


ベーストロンボーンでなくてバストロンボーン。


まあ、この辺は普段やってる人でなければわからないかもしれませんね。


 


またサリエリが計画を語る場面で「デスマスク」を先に作って、その後モーツァルトの葬儀が行われるという妄想を述べるのですが、この部分は Death Mass(死者のミサ)です。


モーツァルトに作曲させた “Requiem” (死者のためのミサ曲)をモーツァルトの葬儀で流す。作曲者はサリエリ。というわけなのですが、吹き替えの中ではミサ曲という言葉も出てくるので、この部分の日本語訳の意図はちょっと不明です。



 


音楽については使い方が誠に巧みで言うことはないのですが、「グラン・パルティータ」(K.361 『13管楽器のためのセレナード』)が編曲されてしまっている(楽章の途中で最後に飛んでしまっている)のが残念です。


最後の、馬車が墓地に向かって出発する場面ではいつも涙ぐんでしまいます。

見送ったのは家族やコンスタンツェの母、サリエリなどの数少ない理解者、そしてスパイを務めたメイド。

メイドまで泣いていますが、あの涙はどういう涙なのでしょうね?