先日依頼されて試奏した中の一本です。




試奏したのは以前取り上げた沈香のリップのもの(右)ともう一本の沈香のリップのもの(中)、ローズクオーツリップのもの(左)です。




クラウンは真ん中のものが水晶である他はリッププレートと同じ材質です。




非常にきれいに加工されています。




ローズクオーツといえば普通思い浮かべるのは先日相原さんのところで見た全体がピンクのものですが、これは見た事のない模様が出ています。


製作された方によれば昔買った大きなものの一部で、ルチルのようなものが入っているところもあって確かにローズクオーツだとの事でした。






リッププレートの形は以前取り上げました沈香のものと同じく歌口が一番高くなっています。




ベースとなる頭部管は YAMAHA の YFL-31 だそうで、制作者のお話ではドイツ製の管が使われていて、上位機種に使わなかったものを YFL-31 に使用して下位機種と差別化を図ったらしいです。


吹奏管は三本の中では最も普通で、金属リップのものと持ち替えて違和感がありません。

しかし三本に共通するのはシャーリングが多い事で、これは吹く人によりますが音色に幅を与えているとも言えます。

しかし私は気になりました。


歌口はオリジナルのものに比べて非常に小さく、上の写真でもその違いはご覧いただけると思います。

歌口のエッジの位置が高いので低音域は十分に鳴ります。


高音域は耳につくような鋭い響きはなく、聴きやすい音です。

吹き方のポイントとしては他の二本にも共通しますが、アパチュアを小さくし、いつもより下に位置するようなポジションで吹く事です。


音色については、最初の沈香のリップのものが最も顕著ですが、枯れたような響きで、誤解を恐れずに言えば色気に乏しい音です。

枯れたというのは説明が難しいですが、水分が抜けたというより脂分が抜けたような音です。


製作された方はオールドフレンチを志向されているそうで、そうだとすれば狙いは間違っていないと言って良いと思います。


敢えて好みを言うならば、私の好みとは一致しません。



もう一つ共通する特徴を挙げるなら、左手に感じる振動が強いという事です。

低音域を十分鳴らせるパワーがある事と関係するのだと思います。

また、開いているトーンホールの方向の違い(例えば下側が開いているか閉じているか)が他にないほど響きの質の違いとなって表れます。


広い部屋では試す事ができませんでしたので遠鳴りするかどうかは何とも言えません。


他の頭部管については別の機会に取り上げます。



 


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