以前も取り上げましたが、B♭に三種類の運指があります。


ブリチアルディキーと Ais レヴァーでは連動するキーは同じですが、一応正規とされている運指では塞がる音孔が一つ多いです。








正規の指遣いでは隣の音孔が連動して塞がります。










Ais レヴァーを使った時とブリチアルディキーを使った時はその音孔は閉じません。










左手人差し指と中指の間のキーは常に塞がります。









 



普段はあまり意識しませんが、このような半音進行の場合ですとブリチアルディキー/Ais レヴァーの方が自然です。


ただ、ブリチアルディキーを使う場合は左手親指を動かさなければならないので、こうしたケースでは Ais レヴァーを使った方が簡単です。








このような場面ではブリチアルディキーを押したままで(右手の指を使わずに)行けるわけです。










以前取り上げました Isidor Lot の木管では Ais レヴァーでなく B tr キーになっていますが、その時触れましたようにベームは当初 B tr キーとして設計しています。





販売店の話では 1900年代初め頃の楽器はこうしたものが普通に見られますが、時代が新しくなると Ais レヴァーに改造する例が見られるようになり今に至っているとのことです。


 


推測ですがおそらく音程の問題でブリチアルディキーを使った方が良いけれど左手親指を動かすのは避けたいという場面が多かったのではないかと思います。


それならばもう少しレヴァーを伸ばして右手親指の移動量を少なくしても良いのではなかったかと思うのですが、どうしてこの長さで落ち着いたのでしょう?


 


更に言うならこの位置はのものは B tr キーとしたままそれに加えてもう少し右手寄りに Ais レヴァーをつければよかったのではないかと思うのですが、どうでしょう


 


アイハラさんは既に希望する人には B tr キーとしたものを作っているそうです。


その方が良いと思う人が確実にいらっしゃるようです。