middrinn さん の以前の記事にコメントを書きながら思い出したのですが、角川文庫の「吾輩は猫である」に長年発見されなかった誤植があったことがわかったと随分以前にニュースになりました。
その時は乱丁と書いたのですが、そうではなくて誤植でした。
乱丁ならもっと早く見つかったでしょうね。
そのニュースを知ってすぐ、その頃よく利用していた書店に行きまして店頭にあったものを確認すると、まだありました。
その時購入したものはどこに置いたかわからなくなってしまいましたので Amazon で怪しい年代のものと現行のものを求めてみました。
問題の版は昭和三十七年(1962年)に改版されたもので、この時上下二分冊から全1巻に組み直されたようです。
不確かな話ですが昭和二十七年(1952年)に最初に文庫に入ったようです。
余談ですがこの時期のカバーは 栃折久美子 さんのデザインです。
※追記。
この五十三版という表記もちょっと疑問。
最新のものの122版も。
「刷」じゃないだろうか。
それともそんなに頻繁に何か変えているのだろうか。
そうであっても新しい班と言って良いものかどうか。
念のため少し古いものも取り寄せてみました。
中身は同じですが、ここには改版とは印刷されていません。
なお十五版という表記は誤りでしょう。
ただ、発行者は異なりますし活字の鮮明さ(この時は活版印刷だったはず)も異なりますので活字を組み直しているとは思います。
こちらは最新のものと同じです。
コンピューターによる製版で読みやすいですね。
ニュースがいつ頃であったかはっきりとした記憶はないのですが、 ’92年ごろであったのではないかと思います。
そうだとすると30年間気づかれないままだったことになります。
両方を突き合わせて探しました。
こちらが問題の版の該当の箇所です。(P.324)
こちらが正しいもの。(P.356)
わかりやすいように並べてみます。
これは気づきにくいですね。
これに関しては検索してもほとんど情報がありません。
まさか角川書店がコントロールしているわけではないでしょうね。
疲れました。