フェルメールをお好きな方は多いと思います。
私も以前都内で行われた展覧会へ足を運んだ事があります。
その時はそれまで使われていた「青いターバンの少女」というタイトルがが「真珠の耳飾りの少女」と改められて公開されました。たしか洗浄が行われて細部に新しい発見があった直後だったのではないかと思います。映画も公開されたのではなかったでしょうか?

今読んでいるこの本は作家有吉佐和子さんのお嬢さんである有吉玉青さんがフェルメールの作品を訪ねる旅の様子を記したものです。

恋するフェルメール 37作品への旅 (講談社文庫)

  • 作者: 有吉 玉青
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/09/15
  • メディア: 文庫




フェルメールに関しては以前小林頼子さんの本も読みましたが、

フェルメールの世界―17世紀オランダ風俗画家の軌跡 (NHKブックス)

  • 作者: 小林 頼子
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 単行本


有吉さんの本ではタイトルにあるようにフェルメールに恋してしまった愛好家が恋人に会うような気持でオリジナルを訪ねる様子が綴られます。

その中、ツアーの中でアムステルダムの国立美術館を訪ねる場面にこのような記述があります。

 ...私は「本物を見なくてはいけない」という気持を強く抱いた。
 なぜならば<牛乳を注ぐ女>にしても、それまで再三、画集で見ていたのだ。写真は私を感動させるのに充分で、せっかくヨーロッパに行くならばその機に実物をと思ったわけだが、絵から受けた衝撃は写真の比ではなかった。私はまさに圧倒され、言葉を失った。これが本物の力。いくら技術が発達し、精巧な写真が撮れるようになっても、写真はその絵が放つアウラまでは写さない。

著者が初めて出会うはずだったフェルメールの実物は、結婚したボストンにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の<合奏>でしたが、訪れた時は盗まれた後で初めての出会いは幻に終ったと書かれています。

ボストンと言えば有名なボストン美術館もあるわけですが、そこにはフェルメールの<合奏>と<ヴァージナルの前に座る女>の二作品に画中画として登場するディルク・ヴァン・バビューレンの<取り持ち女>があるそうです。


さて音楽に関わるものとしてはボストンはもちろん小澤さんが永年本拠地として活動したボストン交響楽団の本拠地としておなじみであるわけですが、フルート吹きにとっては更に重要な土地です。
Powell、Haynes、Brannen Bros. という大ブランドの他 NAGAHARA があるものここです。

この本を読んで著者と同じようにあるべき場所で本物に出会いたいという気持がむくむくと起こって来たのですが、フルートメーカーを訪ねてボストン・シンフォニーホールでコンサートも聴きたいと思うのは欲張りというものでしょうね。