先日ロイヤルバレエの『サロメ』を鑑賞しました。


R.シュトラウスが初めて高い評価を得たと言って良い作品ですが、その音楽は登場人物を包み込むように響き、巧みな管弦楽法を堪能できます。


しかし『魔笛』や『カルメン』のように魅力的なアリアがあるわけではなく、大部分はレチタティーヴォのような旋律で、初心者には優しくありません。


歌い手にとっても難度が高いだろうと思います。


音楽的に魅力があるのはやっぱり有名な「七つのヴェールの踊り」ですね。


ここは歌はなくサロメが踊ります。


 


それは良いとして、そのシーンはワイルドの作品には


 七つのヴェールの踊りを踊る


とあるだけで、具体的な記述はありません。


なのでここをどのようにするかは演出家にかかっています。


 


ここは今の主流のように一枚づつ脱いでいかなければならないということはないのです。


先日鑑賞した マリア・ユーイング を起用した上演がその発端であったように解説には書いてあったのですが、必ずしもそれが最初というわけではないようです。


その証拠に先日取り上げました 日夏 耿之介 の「サロメ解題」では


 乞ひ得んとしては赤裸の踊をも敢てして


とある(P.500)ので、以前からそういう演出が行われていたものと思われます。


日本では宗教の問題がなかったので本国イギリスより早く上演が実演したわけですが、日本で受け容れられる過程で本来のワイルドが意図したものとはかなり異なる解釈が主流になって行っていわゆるエログロの演劇というイメージが根付いてしまったようです。


三島由紀夫が意図したのはもちろんそうしたものではありませんでした。





DVD の解説にはその場面に歌手ではなくダンサーを起用した演出もあったようですが、マリア・ユーイングの踊りを見た印象ではそういう演出であっても良かったのではないかと思えます。


だいたいオペラ歌手は演技力は求められますが、ダンサーのような踊りまではそれほど求められないものではないかと思います。


ましてや脱いでくれと言われても応じられなくても無理はないのです。


マリア・ユーイングは演出のピーター・ホールの奥さんです。


だから承諾したのでしょうね。


 







そういうわけでダンサーが主演した映画仕立てのものを入手してみました。


 


 






今度視てみましょう。








もう一枚、歌劇のものを入手してみました。











 


ロイヤル・オペラのものより五年あとのザルツブルグ音楽祭のものです。


サロメを演じる キャサリン・マルフィターノ が思春期の少女をよく演じているとあったので。


ユーイングではそうした印象はあまりなかったと思います。


踊りもまあ良さそうです。


 




バレエ音楽は 伊福部 昭(「ゴジラ」の音楽の作曲者)のものがありますが、映像は出ていないようです。


ロシアバレエ団で観てみたいですね。