穏やかな良い元旦でした。
近所の工場に本物の門松が飾られていました。
梅の枝はないようですが、何か理由があるのかもしれません。
以前日本橋で見たのですが、竹が斜めに切られていず、上が平でした。
何かで調べたところ、元々は斜めに切られていなかったものが、武家社会でこうした形が広まって、それが一般的になったようです。
日本橋の老舗のような伝統的な商家では元の形を伝承しているようです。
暮れの本番で「私のお父さん」を演奏したのですが、このタイトルだけでは何のことやらわかりません。
「私の愛しいお父様」と書かれることがありますが、これでもよくわかりません。
歌詞やあらすじを調べてみたところ、次のサイトが大変参考になりました。
Wikipedia より内容の解説が適切です。
これならよくわかります。
どんな内容なのか、どんな歌詞なのか、どんなシーンで歌われるのかがわからなければ演奏に気持が込められないのです。
少し翻案してみるとこんな感じでしょうか。
ねえねえ、お父さん、ちょっと待ってよ。
そんなこと言わないで考えてよ。
彼に遺産が入らないと私たち結婚できないわ。
私、彼が大好きなの。
彼と一緒に銀座に指輪を買いに行きたいの。
もしうまい考えが浮かばないと、私、玉川上水に飛び込むしかないわ。
彼が好きでたまらないの。
胸が苦しくて、このままでは死んでしまいそう。
だから、ねぇ、お願いよぉ、お父さぁん!
ジャンニ・スキッキは田舎出の者という設定ですから、その娘のラウレッタも「お父様」よりは「お父さん」の方が合っていそうですし、演出によっては「お父ちゃん」もありかもしれません。
歌詞の最初の方では
babbino
最後の方は
babbo
となっていてニュアンスが変わっているのも面白いところです。
日本で上演される機会はほとんどないようですが、映像を探しましたところグラインドボーン音楽祭のものがありました。
解説にありますように三部作として続けて上演されることを想定しているようで、この作品は一幕で所要時間は一時間ほどです。
このアリアだけが有名なのも当然と思われました。
聴き応えのあるアリアはこれくらいしかないのです。
ダンテの「神曲」の “地獄編” を素材にしている(中野真理さんの曲集では “天国編” とありますが、誤りです)作品自体は大変面白く、長大なアリアもなく、オーケストラも劇伴のような音楽を奏でるシーンが多いのでミュージカルのような雰囲気です。
『蝶々夫人』とは曲もずいぶん趣が違いますし、プッチーニ唯一の喜歌劇だそうです。
聴かせどころが少ないのでお客さんが入らないのでしょうが、インタヴューにもありましたようにこれはプッチーニの傑作であると思います。
一幕ですし、登場人物は少ないです。
料金が安くできるかもしれません。
この音楽祭の演出はなかなか良いと思えました。
歌手の方たちの演技力も優れていますし、衣装も考えられています。
台本はジョヴァッキーノ・フォルツァーノ(1884 - 1970)ですが、もしモーツァルトの時代にこの台本が書かれていたらモーツァルトも取り上げたのではないかと思える内容です。
他の作品も改めて視てみようかと思います。