原作を読んで観たくなり、状態のいい中古を入手しました。


原作とは違うということは承知していましたが、確かに切り口の違う物語になっています。

これはこれで映画の手法だろうと思います。


一番驚いたのは新垣さんのピアノの演奏です。

ショパンの『スケルツォ 第二番』、ベートーヴェンの『悲愴』第二楽章を弾く場面がありますが、顔と手元が一緒に映っていて指の動きも違和感がありません。


それもそのはず、なんと三か月の特訓の成果で新垣さんが自分で弾いているというのです。

これは驚きですね。ピアノの経験はないそうですが、3か月であれだけ(部分ではありますが)弾けるというのは驚き以外の何物でもありません。スケルツォなんて、よくできますね。

さらに課題曲の『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』は伴奏を全部弾いています。

素晴らしいことです。

 

 


 

原作は中学生たちと先生の成長を描くといっても良いものでしたが、映画ではピアノが弾けなくなっていた先生が心の中の問題を解消することが重要なポイントになっています。

原作では作曲が中断したこととその原因が述べられますが、映画ではピアノが弾けなくなる現象として描かれていて別の理由が用意されています。少し関連はありますが。


担任の先生にコンクールでの歌声を届ける点は同じですが、方法が変更されています。

原作の方法ではバックヤードに気づかれてしまうからではないでしょうか。


新垣さんの、表情が死んだ演技は新境地ですね。

初めの方の台詞はそんなことを言ってはいかんだろうというようなものが多くてハラハラしましたが、子供たちがなんとかついていこうとする様子が健気でした。


劇中に登場する課題曲は特に好きな曲ではなかったのですが、子供たちの合唱で聴くとまた味わいが違いますね。

 

 


 

自閉症の演技も秀逸です。

NHK でフランス発のドラマ『アストリッドとラファエル』が放送されましたが、アストリッドは自閉症という設定で素晴らしい演技でした。それを思い出しました。


それにしてもあの車はボロ過ぎでしょう。

原作でもなんでそんなボロな車なのかは説明がありませんが、ちょっとやりすぎの感はあります。


人が声を合わせて歌うとはなんと素晴らしいことでしょう。

生徒たちは皆オーディションで選ばれて6か月の訓練を受けたそうですが、よく仕上がっています。

これも聴きものの一つですね。

 

 


 

ちょっと気になったのは自由曲が登場しないのはまあいいとして、課題曲が終わると拍手が起こって指揮者と伴奏者が客席を向いてお辞儀をするところです。

合唱はそうなのかどうかわかりませんが、吹奏楽のコンクールだと続けて自由曲を演奏したのではなかったかと思います。