東京佼成ウィンドオーケストラ第132回定期 [演奏会]
久しぶりの芸術劇場、久しぶりの TKWO です。
プログラムは
コリリアーノ:交響曲第3番「キルクス・マクシムス」
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
伊藤 康英 編
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
鈴木 英史 編
指揮:シズオ・Z・クワハラ
共演:航空自衛隊航空中央音楽隊
(フルート2、Es クラリネット1、トランペット7
テナートロンボーン2、パーカッション2)
コリリアーノはヨーヨー・マが参加した「ファンタジー」という CD がありますが、聴いていません。
映画「レッド・バイオリン」の音楽もコリリアーノだそうですが、本格的な作品を聴くのは今回が初めてです。
今回の交響曲は吹奏楽のためのオリジナルです。
二階席に11名のトランペットやサックスの四重奏などが配置され、何度か訪れるクライマックスでは全周から音が押し寄せます。
フルートが向かって左の最前列に並んでいますし、舞台上の席が少なく思えましたが、そういうわけだったのですね。
この録音を再現しようとするならサラウンドが必要です。
指揮者が指を一本立てて客席上方の演奏者たちに向かって指示すると左右前方のトランペットがファンファーレを吹き交わし始めます。
指が二本になり三本になりと変化しますが、どういう指示なのかはわかりません。
その指示はオーケストラ全体に向かっている時も右手で示されていました。
古代ローマの円形スタジアムが舞台で、狂乱と熱狂、狂気と興奮が渦巻きます。
コンサートホールは音で埋め尽くされ、全楽器が咆哮する中ではピッコロ二本の強奏さえ埋もれてしまいそうなほどです。
途中で小さなマーチングバンドが横切るなど、異色の作品です。
最後に一つ仕掛けが隠れています。
レスピーギの一曲目は自分でも最近編曲を手がけてスコアを読み込んだためかちょっと違和感を感じないでもありませんでした。
編曲者はオリジナルの弦楽オーケーストラから編曲するにあたって「管楽オーケストラ」作品として再創造したとのことですが、木管だけでも十分多彩な響きが得られるのではないかと思えました。
TKWO もメンバーの入れ替えがあるためか、前回の定期より随分響きが充実したという印象を持ちました。
クラリネット群の音色が印象的でした。
「ローマの松」では「アッピア街道の松」に登場する金管楽器は正面のオルガンのパイプの間に立ち、トランペット4、トロンボーン2本が客席に向かって音を放ちます。
テナーホルンなどの楽器は使用されず、普通のトランペットとトロンボーンで演奏されましたが、あの五連符も正しく演奏され、音色も多彩で見事な演奏でした。
終曲の、クライマックス直前の一旦音量が落ちる箇所の直後、どうかと思いましたがやっぱり音型は明瞭には聞こえてきませんでした。
何か工夫する余地があるかもしれません。
今回オルガンの上に配置された金管楽器群は原曲では最初は舞台裏で吹き、次第に近づいて来るようになっています。
今回はずっと正面に姿が見えていましたが、パイプの裏で吹き始めるなど工夫があっても良かったかなと思います。
チェレスタ、ピアノ、ハープももちろんあります。
フルート吹きなので前田さんを注視していましたが、好調に思えました。
クラリネットのソロは格別素晴らしかったですね。
コーラングレとクラリネットは終わったあと指揮者が立たせていましたが、クラリネットは格別でした。
前田さんもソロがあったのに、とちょっと残念でした。
ホルンも良い音でした。特に低音部の2番4番が良かったです。
テューバの響きも以前より磨きがかかったように思えました。
格別印象に残ったのはティンパニとシンバルでした。
素晴らしい音でした。
アンコールはなく、16時終演で遅くならずに帰宅することができました。
午前中、駐車場で撮った水仙です。
河津桜はまだ少しでしたが、蕾はずいぶん膨らんでいました。
音楽愛好家の集い Vol. 6(その2) [演奏会]
6回目ともなるとピアノを撮るにも以前と同じようになってしまって新鮮味がないのですが、今回はヴァイオリン二重奏とピアノなど新しい編成があったので結構たくさん撮ってしまいました。
これは二回目の時と同じようなアングルです。
ショパンモデル。
毎回ショパンの曲が演奏されますが、今回は最後が幻想即興曲。
暗譜でした。
暗譜だと譜面台が邪魔にならずに撮ることができます。
ギターソロは「モーツァルトの主題による変奏曲」。
ギターだけはマイクを使います。
今回はヴァイオリンがお二人。
お一人は音大のご出身と聞いています。
曲目は「チャルダッシュ」。
「アラベスク 第1番」も見事な演奏で、会場から音が美しいとの声が上がっていました。
確認していませんが、專門に勉強されたのかもしれません。
全員が素人であるわけですが、芸大を志された方もいらっしゃいます。
会社員になるかギタリストになるか迷われた方もいらっしゃいます。
楽器の勉強、音楽の勉強は独学では無理です。
良い指導者につくことが上達の道です。
しかし、音楽性は教わることはできません。
「音楽」になっているかいないか、他人の演奏ならわかります。
今回「ハバネラ」はどうだったでしょうか?
大きな傷はなかったはずですが、今の先生に教わったことが生かされたと感じています。
以前の音楽教室での発表会の時よりは良かったかな、と感じています。
さてこれから Photobook に使う写真を選ぶことにしましょう。
自分の演奏中の写真がありませんが、撮影された方から送っていただける手筈になっています。
音楽愛好家の集い Vol. 6(その1) [演奏会]
無事終わりました。
今回は出演者が多く、予定時間を少々超えました。
レベルの高い演奏が多くなりました。
私はいつもの通り傷だらけですが。
いつもの通り編成と曲目だけを記録しておきます。
印象など:アトリエコンサート [演奏会]
当日は早めに着くつもりでしたが、開演30分前になってしまいました。
しかし予想したほど車は多くなく、駐車スペースは空いていました。
屋内に入ってみるとまだ空席は十分ありました。
最終的には満席でした。
こちらは大部分はパイプ椅子でお隣との余裕がないのがちょっとあれですが、演奏家との距離は近いです。
終演後は椅子を片付けて歓談スペースになります。
一曲目の前のチューニングに時間がかかりました。
お話の中で説明がありましたが、バロック・ヴァイオリンなのでガット弦を張っているため、温度や湿度の変化に敏感とのことです。
モダン楽器との違いについて簡単に説明がありました。
外見ですぐわかるのは肩当、顎あてがないこと。
弦はガット弦で、テニスのラケットと同じ(テニスについてはよく知りませんが、高級品はガットなのでしょうか?)羊の腸を縒ったものであること。
説明にはありませんでしたが、指板の角度が緩やかで、駒の高さも低く、駒のアーチが緩やかです。
モダン・ヴァイオリンは高度な技巧を求められるにつれ指板の角度がきつくなり、ハイポジションのために指板そのものも長くなっています。
駒のアーチが大きくなったのは早いパッセージなどを弾くとき隣の弦に触れてしまわないようにというのが理由だったと思います。
先日の高嶋さんの演奏会でもヴァイオリンの技法の紹介の中でそれがわかる奏法の紹介がありました。
弓についても説明はありませんでしたが、バロック・ボウで、反りは殆どなく直線に近い形状で、重さのバランスもモダン・ボウに比べると先の方が軽いとのことでした。
CD のブックレットには anonymous ca.18c とあります。
CD のジャケットに写っているチェンバロは大村さんの楽器だそうで、Takayasu Shibata Tokyo, 1989 after Ioannes Ruckers, Antwerp, 1638 とあります。
ヴァイオリンの響きは、確かにモダン楽器ほどの音量は出ないかもしれませんが今回のような会場では十分で、ガット弦の響きは “より” 人の声に近いようで、心地よい響きでした。
宮崎さんは途中からバロック・ヴァイオリンに転向されたそうですが、聴いている方は聴きなれた響きを楽しんでいるのですが、演奏は相当集中されているなという感じが伝わってきました。
チェンバロは昨日触れました “ストップ” と弦の数の変化によってリュートのような響きから華やかな響きまで多彩な音色を聴くことができました。
ピアノの発達に押されたチェンバロですが、こうした音色の変化はピアノに勝るのではないかと思えます。
次回の演奏会が楽しみです。
第35回アトリエコンサート@伊藤ハープシコード工房 [演奏会]
予定されたコンサーコンサートを聴いてきました。
演奏はバロックヴァイオリンの宮崎蓉子さんとチェンバロの大村千秋さんです。
J.S.Bach ヴァイオリンソナタ全曲シリーズ その1
今回使われるのは大型は一台、途中で右に見える小さなスピネットが使われました。
薪ストーブが入っていて、部屋の中は暖かでした。
チェンバロもスピネットも昔の楽器のレプリカですが、ほぼ同時代のものとのことでした。
譜面台の奥に "ストップ" があり、ずらすことによって一本の弦を押さえ、響きを止めます。
狙いはパイプオルガンと同じです。
これによってリュートのような響きを得ることができます。
今回の楽器は蓋の裏はシンプルですが、中がきれいでした。
曲目は次の通りです。
■J.S.Bach:ヴァイオリンとオブリガートチェンバロのためのソナタ 第二番 イ長調 BWV1015
I (dolce)
II Allrgro assai
III Andante un poco
IV Presto
■J.P. スウェーリンク:「我らにみどり児は生まれたまいぬ」<スピネット独奏>
■J.S.Bach:無伴奏ヴァイオリンのためのバルティータ 第三番 ホ長調 BWV1006<ヴァイオリン独奏>
I Preludio
II Loure
III Gavote en Rondeau
IV Menuet I, II
V Bouree
VI Gigue
休 憩
■J.S.Bach:リュートソナタ ト短調 BWV995(無伴奏チェロソナタ 第五番)より <チェンバロ独奏>
I. Prelude
IV Sarabande
V Gavotte I, II
■J.S.Bach:ヴァイオリンとオブリガートチェンバロのためのソナタ 第一番 ロ短調 BWV1014
I Adagio
II Allrgro
III Andante
IV Allegro
10th Anniversary:高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト [演奏会]
Kさんのお嬢さんが参加されて二年目、今年は結成 10周年ということで新しいアルバムも発売されて全国 37箇所でコンサートが行われるそうです。
千葉市での会場は JR東千葉駅近くの千葉市民会館です。
ずいぶん久しぶりですが、建物はもうだいぶ古くなったという印象で、座席も狭いという印象でした。
千葉ではもう 7回もやっているということでした。
チケットは完売ということでしたが、年配の方が多いように見受けられました。
若い方は多分メンバーのお友達などでしょう。
高嶋さんのコンサートは初めてですが、耳を傾ける演奏会というよりは半分ショーのようなエンターテインメントといったところでしょうか。
曲目などは次の通りです。
第一部
1. 交響曲第9番 第2楽章 「新世界」より
2. 歌の翼に
3. カノン(パッヘルベル)
4. 交響曲第2番 第3楽章(ラフマニノフ)
5. モルダウ 「わが祖国」より
6. チャルダーシュ
第二部
7. リベルタンゴ
8. 彼こそが海賊(パイレーツ・オブ・カリビアン より)
9. プリンセス・メドレー
(いつか王子様が、ホール・ニュー・ワールド、星に願いを など)
10. ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー
11. タイスの瞑想曲
12. 威風堂々
アンコール
スーベニアの鳴る丘(高嶋ちさ子)
庭の千草
ステージが明るくなりましたが、すぐには誰も登場しません。
どうしたのかと思っていると後ろの方から拍手が起こりました。
催促しているのかと思っていましたら、会場の後ろから二本の通路をヴァイオリニストたちが登場しました。
第一部の途中でメンバー紹介があり、一人一人が自己紹介をしながらヴァイオリンの奏法の種類(素人向けに、ヴィヴラート、フラジオレット、スピッカート、ピチカートなどなど)を紹介していきます。
そして第一部の最後ではそれらを総動員したようなチャルダーシュで締めくくります。
曲は構成が構成ですからオリジナルのアレンジで、オリジナルのままで聴ける曲は少ないです。
女性だけなので衣装も見せ所。
第二部の冒頭では「パクリました」という “女子十二楽坊” のような真っ赤な衣装(高嶋さんだけは赤と黒)で、リベルタンゴ。
「アンダー30で」として高嶋さんを除いたメンバーでの演奏、という演出もありました。
曲によっては “のだめ” のオーケストラのようなアクションも。
"チューチュートレイン" のような振り付けも。
「プリンセス・メドレー」では衣装はみんなお姫様のように。
衣装替えはまだあります。
客席から登場する演出ももう一度。
そうそう、ヴァイオリンのレッスンも。
コンサートの最初の方でヴァイオリンを習っている人に手を挙げてもらっていましたが、ほんの数人だったようです。
客席に呼びかけて「やってみたい人」「男女を問わず」「大人サイズの楽器なので 150cm以上の人」「習ったことがない人」という条件で希望を募ると何人か手が挙がったようですが、一案早かったとしてピアノを教えているという女性が舞台に上がりました。
本当にヴァイオリンは初めてのようで、メンバー二人が構え方や弓の持ち方、動かし方を文字通り手を取って教えます。
開放弦だけを使う(一回だけ弦を押さえる箇所あり)易しい音を、お手本に続いて弾きます。
曲は “パッヘルベルのカノン” の冒頭でした。
そこまでなんとかできるようになると、メンバーが演奏する曲に合わせて “合奏”。大きな拍手が起こりました。
感想を訊くと「ピアノの方が(やさしい)」とのこと。それはそうでしょう。
会場ではおきまりの CD の販売がありましたが、なんとパンフレットは有料販売。
チケットと引き換えに渡されたのは他のコンサートや挨拶が印刷されたリーフレット、ファンクラブの案内、他のコンサートの案内など最少限でした。
最後にはサイン会(高嶋さんだけ)もありましたが、ロビーも狭いため行われている場所が人波に隠れてしまってわかりづらかったためか並んですぐサインしてもらえました。
購入した CD、フィルムが破りにくく、係の人に破ってもらいましたが、その間手持ち無沙汰の高嶋さんは少々イライラしていらしたのか、サイン用のペンで机をコツコツと . . . 。
総員(高嶋さん以外)は14人で、そのうち 11人がピックアップされてステージを務めるとか、 10年前のメンバーは誰もいなくて一番古いメンバーで 7年だとか、お母さんが高嶋さんと同じ年齢というメンバーのこととか、MC は手馴れたもので、お客さんを飽きさせません。
メンバー紹介では特技を披露する人もいて、珍しいのはアナウンスとクラシックバレエ。アナウンスは実際、開演前におやりになったとのことでそれを披露していらっしゃいました。クラシックバレエはメンバーの演奏で「花のワルツ」。
楽しいコンサートでした。
高嶋さんの音はさすがで、張りがあって艶があって訴求力の強い音でした。
ゴリゴリ押してくるような音ではありませんが、モリコーネの曲や「庭の千草」のしっとりとした感じはこれが本来の高嶋さんの音楽かなと思えました。
高嶋さんは3年前からフィリピンの子供達 50名の支援をされいているそうで、義援金の寄付の呼び掛けがありました。
何が必要なのか現地に足を運んで確かめていらっしゃるそうで、今年の12月には子供達の前で演奏を行う予定だったそうですが、政情不安のためそれはやむを得ず中止。
その代わり今回のツアーに子供達を招待したとか。
寄付は「ダンボールで作った箱で壊れやすいので」として、「ぜひ重くないお金で」と、工夫された呼び掛けがありました。
終演後、メンバーの皆さんがロビーで募金箱を持っていました。
先日「徹子の部屋」に出演されたそうですが、そうした活動が理由なのかもしれません。
ちょっと見直しました。
森 麻季 さん&福井 敬 さんデュオリサイタル [演奏会]
ピアノは佐倉と同じ 山岸 茂人 さんでした。
そこで改めて確認したのはやはりこのステージでは本来の声の響きが生かされていないということです。
正直なところ最初の声の印象はそれほど良くはなかったのですが、間近で聴くと素敵でした。
マイクを通した話し声も甘く、歌は演技過剰とも言えるほど情熱的なものでした。
大震災にも触れて(山形のご出身とのこと)、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の朗読もあったのですが、朗読というよりはオペラのレチタティーヴォのようでした。
「女心の歌」では今度はステージから始まって客席に降り、その後前方からお客様の間を回りました。
カンツォーネではステファノなどとは違うイタリアらしいオーバーな表現が面白く聴けました。
反面「落葉松」はもう少し静かな表現でも良いかなと思えました。
「死んだ男の残したものは」では抑えきれない感情が表れた、と聴けました。
森さんを聴くのは喜びです。
最後のデュエット、「メリー・ウィドウ・ワルツ」は最初向かって左袖から福井さんが登場して歌い始めると後から右袖に森さんが登場し、両側から向かい合って歌います。
やがて近づいて手を取り合い、肩を寄せて素晴らしい二重唱が展開されました。
堀内敬三さんの訳と思われる日本語での歌唱です。
とても楽しめた演奏会でした。
文化会館は千葉城のすぐそばにあります。
来月には横浜で森さんと林美智子さんのデュオリサイタルがあります。
聴けるものなら聴きたいです。
新春名曲コンサート:Quatuor Lumière @千葉市生涯学習センター [演奏会]
千葉市中央図書館に隣接する’千葉市生涯学習センターで無料の “アトリウムコンサート” が行われました。