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ロスタン:『東天紅』 [本]

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珍しいものに遭遇しました。

 

ルネ・ラリックと言えばガラス工芸で知られるわけですが、昨日いつもの (株)創美さんに行きましたところ、こんなものが展示されていました。




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革装の本で、ロスタンの戯曲です。

エドモン・ロスタンと言えば『シラノ・ド・ベルジュラック』ですが、こちらは聞いたことがない『シャンテクレール』という作品で、今日本語訳は出ていないようです。

古いところでは昭和初期に堀口大學が『東天紅』として訳しています。

 

現在 Amazon には子供向けの劇に翻案されたものを絵本にした『カンテクレール キジに恋したにわとり』があります。

 

カンテクレール キジに恋したにわとり

カンテクレール キジに恋したにわとり

  • 作者: ヨー・ルーツ(Jo Roets)
  • 出版社/メーカー: 朝日学生新聞社
  • 発売日: 2012/01/31
  • メディア: 単行本


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これがラリックとどういう関係があるかと言いますと、表紙のデザインがラリックなのです。




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表紙の革は経年によってかなり劣化しています。




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ラリック展のカタログにも掲載されています。




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アンカット本、いわゆるフランス装です。




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全部のページではありませんが、一部がこうなっています。




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キジと鶏(東天紅)のイラストが挿入されています。




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Wikipedia によれば

 1910年に鳥ばかりが登場する寓意的な『東天紅』をコメディ・フランセーズでサッシャ・ギトリーにより、上演するが、世評はシラノに遠くおよばなかった

とのことですが、この書籍がいつ出版されたのかはフランス語を読みこなせないのでわかりません。




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この文章を google翻訳にかけてみますと

それは印刷されています。1から1000まで番号付けされたフォーマットin-8oのミレのコピーは、日本からの帝国紙の上に、RenéLaliqueによるレリーフカバーとEdmond Rostandによるカラードローイングのファクシミリで。

 

となります。


 日本からの帝国紙の上に

の部分ですが、

大日本帝国という呼称は Wikipedia によれば


 江戸時代末期(幕末)に外交文書に使用され始め、1946年頃まで公式に使用された。

とのことですので

 大日本帝国製の紙に

ですね。


表紙にラリックのデザインが浮き彫りにされ、ロスタンのイラストが挿入されているというわけです。

 

 

※追記。

 

 format in-8o というのは判型だと思いますが、フランスの規格で Octavo(8°)八折判 8葉 16ページ のことと思います。本(紙)のサイズは約 16cm x 24cm です。

 

 A5判(148×210)、菊判(152×218、152×227)より一回り大きいサイズで、紙の寸法で言うところの 菊16切 159×234 に近いようです。

 


どうやら千部限定でシリアルナンバー入りで出版された限定本のようです。

で、これが 10/1000 ということのようです。

 

またこれも日本には紹介されていないようですが1960年にディズニーによって作られて企画されています。

※追記。

 

 この企画は未完に終わったようです。

 

自分が鳴かなければ夜は明けない、と信じている東天紅はフランス国民を戯画化したものであるらしいです。

 

 

人気が出なかったようですが、こんな本が作られるということは失敗作ではなかったのではないかと思います。


古い訳を探して読んでみようかなと思います。

 

 

明日は早めに出るので朝の更新はお休みします。

  
 
  

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コメント 2

middrinn

チト怪奇なとこに、ルネ・ラリックを感じました(^_^;)
この度は大変貴重なものを拝見させて頂きましたm(__)m
by middrinn (2019-01-13 20:52) 

センニン

middrinn さん、こんばんは。
こんなものがあるとは知りませんでした。
ロスタンのこの作品も知りませんでした。
ラリックに装丁を依頼したということは出版社は自信があったのかもしれませんが、千部限定ということは好事家か収集家向けのものなのかもしれませんね。
装丁は本当に表に革を貼り付けただけのような体裁で、これもちょっと意表をつきますね。
ラリックの作品では鳥がよく使われますが、鶏の類があったかどうかは記憶にありません。
by センニン (2019-01-13 21:11) 

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