G. Verdi:"LA TRAVIATA" [DVD]
ある程度詳しい方はご存知ですが、「アイーダ」と並ぶ人気オペラ「椿姫」は原題では “La Traviata” で、直訳すると「道を踏み外した女」です。「堕落した女」とも言われます。
それがなぜ「椿姫」と呼ばれるかと言いますと、アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の原作 “La Dame aux camélias(椿の花の貴婦人)” によっているからです。
ヒロインはヴィオレッタなのでスミレですが、原作では高級娼婦マルグリット・ゴーティエ。
月のうち商売ができる25日間は白い椿を身につけ、そうでない期間は赤い椿を身につけているという設定です。
オペラではそういう部分は削ぎ落とされてしまっています。
(Wikipedia より。ミュシャの描くサラ・ベルナール)
オペラのストーリーは原作からかなりかいつまんで作られているので、ある程度予備知識がないとよくわからないところがあります。
オペラの中の旋律は序曲に始まってよく知られているものが多いですが、とりわけ人気があるのは「乾杯の歌」で、これが突出して有名です。
同じ「乾杯の歌」でも「盃を持て、さぁ卓をたたけ」で始まるのはオペラとは関係ない別の曲です。
原題は(Maine Stein Song)。
ドイツ民謡と思っている人が多いですが、オリジナルはアメリカ合衆国メイン州大学の校歌です。
序曲も美しいですが、序曲の冒頭部は「アイーダ」にも似て何やら不安げに始まります。
それに続くメロディーはオペラの内容からは少し浮いているような美しさですが、中身をふわっと美しく包む包装紙のようです。
第一幕で歌われる「ああ、そは彼の人か」「花から花へ」もよく知られています。
この映像が収録されたグラインドボーン音楽祭は1934年に資産家が始めた音楽祭で、イギリスのイースト・サセックス州ルイス近郊のグラインドボーン・ハウスが舞台で、特にモーツァルトが有名です。
(以上4枚も Wikipedia より)
さて練習場にあった「ぶらあぼ」を見ましたら、札幌に新しくできるホールの杮落とし公演で「アイーダ」が上演されるようです。
東京公演はないようです。
さらにレッスンを待つ間に楽器店に置いてあった雑誌を見ましたら 先日鑑賞した Blu-rayと同じ演出の「アイーダ」が新国立劇場で先月上演されたようです。
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_009642.html
演出は同じですが、動画を見ると細部で違いがあります。
私には Blu-ray の華麗な色彩が強く印象に残っています。
やっぱり上演回数は多いですね。
どの辺に現代日本人の心に訴えるものがあるのかしら(@_@;)
日本での受容史、あるいは、アイーダの社会学を期待(^o^)丿
by middrinn (2018-05-21 21:15)
middrinn さん、こんばんは。
「サロメ」の研究書のようなものは今のところ見当たらないのですが、オペラは準備不足であった世界初演に次ぐスカラ座での初演は大成功で、文句なく人気作になりました。
人物の関係から見てみますと、若き指揮官と奴隷(実は敵国の王女)との道ならぬ恋に自国の王女からの思い、王の命令による王女との婚姻が絡みます。
そして本当に愛する女に機密を漏らしてしまい、さらに敵の王とその王女を逃がしてしまい囚われの身となります。
地下牢に閉じ込められ絶望に沈んでいると、逃がしたはずの愛する女がここに閉じ込められると予想して隠れていたと現れ、そこで一緒に息絶えようとします。あの世で幸せになりましょう。
日本人好みの要素が詰まっています。
「サロメ」のようなエロティックな要素やグロテスクな要素もないので深みもない代わりに安心して鑑賞できる作品となっています。
最後にあの世で結ばれるというのが特に良かったのでしょうね。
それに加えて素晴らしい音楽、大規模な舞台。
新国立劇場の舞台では馬が登場していましたね。
これ、歌舞伎にもなりそうだと思いません?
by センニン (2018-05-21 21:44)
こんばんは、椿姫にそんな意味合いがあったとは知りませんでした。
by Yamamoto (2018-05-22 01:12)
おはようございます。
昔、「椿姫」は読んだことがありますが、オペラ「椿姫」は視聴・鑑賞は未経験。
「乾杯の歌」は聞いた事のある有名な歌ですね!!YouTubeで確認!!(⌒ー⌒)
ふと疑問?パリの社交界・娼婦の主人公?のオペラ・・・
オペラの本場?イタリアの人々に受け入られるのか?それともフランス人のためのオペラ?
「椿姫」のオペラが成功・定番になっている事を考えると・・・
今のユーロに似た貴族・社交界の人達の「小さな共同体」が存在していたのかな?
・・・つぶやきなので流してください。(=^・ェ・^=)
それにしても、イギリスの郊外の風景良いですね・・・6月が最高!!
by Boss365 (2018-05-22 09:36)
Yamamoto さん、こんばんは。
原題と邦題が違うのはよくありますね。
調べないと気が済まない性分なのです。
by センニン (2018-05-22 20:14)
Boss365 さん、こんばんは。
初演は準備期間が短かったために不評でしたが、再演は十分な準備ができて評判を呼びました。
「カルメン」「蝶々夫人」と並んで初演が不評だったことでも有名です。
原作はフランスですが、ヴェルディはイタリア。
最初は上演に難色を示されたそうです。娼婦がヒロインですからね。最後は死ぬということで許可になったとか。
ヴェルディは舞台を見てオペラ化を決めたそうです。
ま、物語はもう良く知られていましたし、ヴェルディの新作ですからやはり観たいということでしょうね。
「カルメン」は舞台で殺人が起こりますし、「蝶々夫人」はあまりにも見慣れないものだったので拒絶反応があったようです。
「蝶々夫人」は日本人から見ると呼び名などがおかしいものがあまりに多いのでと改訂版を作っていらっしゃる方があります。
当時の社会はまあ、コミュニティでしょうね。
若い青年(良家の青年)が高級娼婦に本気になって暮らし始めてしまう。
しかし青年の父親がやって来て妹の縁談に障るから身を引いてくれと言われ、ヒロインは黙って去ります。
最後に真実が明らかになった時にはヒロインは結核で死んでしまう。
ツボを押さえていますね。
♪ 私がいたんじゃお嫁にゆけぬ
by センニン (2018-05-22 20:32)
おはようございます。
オペラについて歴史から勉強しないと、表層的な断面しか理解できないですね!!疑問だらけで・・・ ( ̄  ̄!!)
ご説明ありがとうございます。感謝!!(⌒ー⌒)
by Boss365 (2018-05-23 09:45)
Boss365 さん、こんばんは。
まず人気のあるものを鑑賞してみることをお勧めします。
知っている曲があるものでも。
一つ好きになれば興味の範囲が広がります。
by センニン (2018-05-23 20:38)