Lucio Dalla : CARUSO [好きな歌]
初めて聴いたのは多分25年くらい前の平成の初めの頃です。
あるオーディオ店で試聴していた時にかけられたのがパヴァロッティの輸入盤の CD でした。
多くの人が多分パヴァロッティの録音でこの曲を知ったことでしょう。
写真の CD は最新リマスターによる二枚組のベスト盤です。
曲の説明などは何もなかったので、パヴァロッティが電子ピアノと思しき楽器(とオーケストラ)の伴奏で録音していること自体が謎でしたし、曲名はあの大歌手のことだろうとは思ったものの何もわからないまま曲はしっかりと記憶に刻まれました。
インターネットなどまだ知らなかった頃ですから、情報収集の手段もなかったのです。
ふと思い出して検索してみると楽譜が手に入ります。
ピアノ伴奏にギターコード譜がついたこの楽譜は作曲者のオリジナルの譜面のようで、パヴァロッティの録音とは少しアレンジが異なります。
またパヴァロッティの録音ではワンコーラス飛ばしているという違いもあります。
面白いのはギターコード譜は最初が Am9 と書かれていて普通なのですが、ピアノ伴奏譜の方には Lam9 と書かれているのです。初めて見ました。
ネットで検索してもこの曲が作曲された経緯は見つかるものの、パヴァロッティとの関わりなどはわかりませんでした。
作曲者の唯一の国内盤が "DALLAMERICARUSO" というこの CD で、オリジナルの LP を CD 化したもののようです。
この CD のブックレットには
パヴァロッティは元々の友人であったこと
1986年のアメリカツアーのために書かれた曲であること
が解説されています。
Dalla は「ダッラ」と表記したほうがオリジナルの発音に近いそうです。
次のサイトにオリジナルの Lucio Dalla の動画と、高く評価する人のある Lara Fabian の動画があります。
ここでは歌詞と管理者による日本語訳も紹介され、小瀬村幸子氏による訳を紹介するリンクも張られています。
日本語訳はブックレットにもありますが、皆ニュアンスが異なります。
上のサイトでは「若い女」、小瀬村氏の役では「娘」、Dalla の CD のブックレットでは「少女」、パヴァロッティの CD のブックレットでは「娘」です。
この曲は多くの歌手によってカヴァーされていますが、一部で評価の高いのが アンドレア・ボチェッリ です。
パヴァロッティはドラマチックで表現が豊かで説得力があってやはり素晴らしいですね。
Lara Fabian の動画は視ましたが、詞の内容からすると私にはオーバーアクションに思えて馴染めません。
メロディーも一部変えられているようです。
Dalla の歌は個性的ですね。
ボチェッリはやや寂しげな感じがいいかなと思います。
ところで詞の内容ですが、訳のニュアンスがいろいろでどれがオリジナルの内容に近いのか、イタリア語がわからない私には見当がつきません。
しかも詞が少しづつ違うのです。
上記のサイトに紹介された詞の一部は
sulla vecchia terrazza davanti al golfo di Surriento
Te vojo bene assai
でその他もほぼ同様ですが、楽譜と Dalla の CD では
su una vecchia terrazza davanti al Golfo di Surriento
Te Voglio bene assaie
となっていて、そのほかにも細かな違いがあります。
楽譜に収録された歌詞が正しいのだろうと思うのですが、なぜこんなに細かいところがいろいろ違ってしまうのかは謎です。
イタリア語の辞書やネットで単語を検索しますが、出てこなかったりします。
方言のような言葉が使われているのでしょうか?
それとも誤植なのでしょうか?
聞き取ることができないのがもどかしいです。
しかも歌い手によって sulla と聴こえる場合と su una と聴こえる場合があります。
上記のサイトでは
この歌はカルーゾの末期(まつご)の幻想をテーマにしたもの
ではないかと解釈していますが、
カルーソーのこんな心情を歌ったものだろうという解釈が次のサイトにあります。
次のサイトには作曲のきっかけになったであろうエピソードが紹介されています。
イタリア語の辞書を久しぶりに引っ張り出してみようかなと考えています。
コメント 0