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取り方で違うのか:象牙 [楽器]

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象牙は素晴らしい響きを聴かせます。

リッププレート、それも歌口の削り方一つで響きや吹奏感が異なるのは周知の事実ですが、相原さんによればこの二本は材料の取り方が異なるのだそうです。

 

今回じっくり比べてみた二本の頭部管をクローズアップしてみます。

模様がわかりやすいようにコントラストなどを調整しています。

 

 

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まずこちらは高級な印材で見られるような、象牙の中心部を厚く輪切りにしたような状態で使っています。

なので歌口を中心にして年輪のように模様が広がっています。

かなり大きな良質な材料が必要です。

 

 

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こちらはそれに対して直角の方向に切り取っています。

木材ならば柾目が出る方向です。

 

 

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ほとんど模様らしものは見えません。

 

このリッププレート、少し青みを帯びていますが、これは新発見なのですが C-Guard を密着させていたらどうやらその色が浸透したようなのです。

印章に朱肉が沁みていくのと同じですね。

 

これは多分表面だけではないので磨いても取れないでしょう。

 

 

歌口は一般に径が小さいほど素材の持ち味が現れるそうですが、音量はかせげず、ベストなポイントは狭くなり扱いが難しくなります。

 

 

この二本の頭部管もその通りで、一本目の方が象牙らしい音を聴くことができますが、音量は大きくなく、ポイントが狭いです。

 

二本目は先日比較した部屋では倍音もはね返りも豊かで人が多い場所で使うにはよく通る音が得られます。

歌口の形が一本目に比べて四角に近くなっています。

 

今回は相原さんの楽器でこの頭部管を使おうかと考えています。

どんな反応があるか、楽しみです。

 

 

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美しさと使いやすさでは夜光貝です。

 

 

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どんな模様が出現するかはやってみなければわかりません。

 

 

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この頭部管は現代のフルートとしての要求に応えられるものを持っています。

真珠層と同じような深みがありますが、真珠はこんなに大きなものは採れません。

厚みが必要なので、素材の夜光貝はかなり大きなものでないとダメです。

 

相原さんの HP は誰かがうっかりデータを壊してしまったとかで、急遽作り直した最小限の情報しかありませんが、頭部管の価格(多分税込)は

 シルバー:120,000円

 象  牙:259,200円

 夜 光 貝 :291,600円

 珊  瑚:216,000円

 水牛の角:189,000円

 ウッド(ブライヤー?):120,000円

となっています。

 

ピッコロは象牙の頭部管があって、297,000円、リップだけ象牙のは 180,000円。
夜光貝リップのは 200,000円、珊瑚リップのは 180,000円です。

夜光貝は思ったより高いのですね。


象牙を扱うには許可が必要で、材料を仕入れたらいちいち経済産業省に報告するのだそうです。
展示会などではちゃんと掲示されています。
時折調査票が来るのだそうで、ちょうど今回お邪魔した時も封筒が来ていましたが、在庫などを報告しなければならないのだそうです。

未だに密猟がなくならないそうで、先日もネットのニュースで巨大な像がハンターに(密猟ではないそうですが)殺されたとありました。

日本や中国では印章の文化(箏などにも使いますが)があるので合法的にある程度は輸入ができるのだそうですが、貴重であることは間違いありません。

手にする機会があったら是非この魅力的な素材をお試しいただきたいと思います。

なお、もし海外に楽器を持ち出す機会があるようでしたら、象牙の頭部管は置いていった方が無難です。
没収される危険が大です。



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