珍品:左に構えるフルート [楽器]
フルートを描いた絵画やイラストなどを見ていると、中には構え方が逆になっているものがあります。
これまではフルートの事を知らない人には無理もない事だと思っていたのですが、昨日柳沢さんのところでこれを見てからは何事も決めつけてしまってはいけないなと認識を改めました。
写真をご覧になってお気づきでしょうか?
鏡に映したように全てのパーツが逆に取り付けられています。
リッププレートは逆に取り付けるのは簡単ですが、多くのパーツは新しく作らなければなりません。
ケースに収めたところです。
一見普通ですが、向きが全部逆です。
柳沢さんがどういう経緯でこれをお持ちなのか、あるいは修理や調整のために預かっていらっしゃるのかは分かりません。
そういえばメーカーもお聞きしませんでしたが、状態を見るとかなり古いものというわけではないようです。
物好きな人がどこかに注文して作らせたのでしょうが、パーツの事を考えると大手メーカーでは引き受けるとは考えられません。
世の中には本当にこんなものを作ってしまうところがあるのですね。
かなり珍しいですね、左に構えるフルート。
見た事なかったです。
by はーく (2013-09-17 01:37)
はーく さん、こんばんは。
これは本当に珍しいもので、初めて見ましたし、あると想像したこともありませんでした。
これと同じものが数本作られたそうですから、どこかに密かに存在しているのだろうと思います。
by センニン (2013-09-17 21:14)
はじめまして。たまにおじゃまして、ブログを拝見させていただいています。この逆向きフルートどこかで見た事があります。たしか、どこかのウェブサイトかどなたかのブログだったか。その時の逆向きフルートは桜井フルートだったと思います。キーのデザインの感じだと、これも桜井フルートではないかなと思い、コメントさせていただきました。本当の話しかわかりませんが、ドップラー兄弟が二人で二重奏をする時に、兄弟の片方が逆向きフルートを使っていたなんてどこかで聞いた事があります。
by おだっち (2013-09-23 04:05)
おだっち さん、初めまして。
コメントありがとうございます。
サクライではないかという指摘はメールでくださった方もあるのですが、刻印が隠されていて確認ができません。
サクライは一度さわったことがありますが、細かい事は憶えていません。
ドップラーが左右対称に構えたというエピソードは聞いたことがあり、ムラマツの楽譜のページにも記載があります。
http://www.muramatsuflute.com/shop/g/gG1680/
残されている写真は二人で並んで立っているもので、楽器は写っていませんので確認できませんが、Wikipedia によれば二人はベーム式を使わなかったとの事ですから、特別な楽器でなく普通のトラヴェルソをそのまま左に構えたのかもしれません。
モダンフルートでも左に構える事は非常にやりづらいにしろ可能ですが、問題は歌口(リッププレート)です。
ベーム式では歌口の縦の壁の傾斜は前後で異なりますが、円筒形の歌口ならば反対側から吹いても普通に鳴るのではないかと思います。
写真が発見されればはっきりするでしょうが、構えているところどころか楽器の写真も今のところ見つかりませんのでいずれにしても推測の域を出ません。
初期のベーム式が 1832年、改良型が 1847年に作られていますが、ベーム兄弟は兄のフランツが 1821年〜1883年、弟のカールが 1825年〜1900年の生涯ですから兄弟にとってはまだまだ出たばかりの楽器と思えたのかもしれませんね。
by センニン (2013-09-23 06:53)