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ランパルのための編曲はこの楽器で [楽器]

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FMC フルートマスターズのこの楽器のことは以前取り上げました。
素材などはそちらをご覧ください。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2009-03-03


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接合部のカバーは前オーナーが別途調達したものなのでややサイズが違います。


総金ではなく、キーだけは Ag925 に 20k メッキですが、他はバネに至るまでゴールドです。
この構成は前オーナーと FMC フルートマスターズとの長期にわたる検討の成果であるそうです。

当時の記事の印象は今でも変わりませんが、その時書かなかったことをひとつ加えておきます。
楽器の振動が強く感じられます。
空気の振動を増幅するべき楽器が振動してしまっては十分な音量が得られないと考える事もできますが、実際に吹いてみるとそんな事は全然ありません。
ぜひホールで響きを確かめてみたいです。


昨日取り上げましたランパルの CD の「アヴェ・マリア」(ピアノ伴奏は井上二葉さん)をずいぶん久しぶりに聴きましたが、何と朗々と鳴らしているのだろうというのが第一の印象です。
しかも繊細。
テクニックを聴かせるようなところのないこの曲ですが、それでもこんなふうに豊かに美しく演奏するにはどうしたら良いのだろうかと途方に暮れてしまいます。
漱石の『草枕』の言葉を借りるなら「美しいという感じ」が残るような演奏をしたいです。

矢代さんのこの編曲の特徴は旋律を二回繰り返すその二回目冒頭がオクターブ上げられていることです。
上げられているのは八小節で、その次九小節目の C からは一回目と同じですが、二回目の冒頭は第三オクターブの E(大抵の楽器で Eメカの助けを借りるところ)で始まりますが、ここにはなんとppp と書いてあります。
ランパルの録音では音量はそれほど小さくはありませんが、柔らかくやさしく演奏されています。 ppp は決して小さな音でという意味ではないのです。
それにしてもフルートでは高音域の p と低音域の f は難しいというのが常識なのですが、これはなかかな厳しいですね。
最高音は A です。


ついでに「メヌエット」(山岡重信 指揮 東京コンサート・オーケストラ)も聴きましたが、オケは多分寄せ集めのメンバーからなるものと思いますが、その演奏がどうにもいただけません。
前半のハープ伴奏の部分は良いのですが、オケはどうにも ...。


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先日作ってもらったケースカバーに入れてみました。
この楽器は C足付きですのでカバーが余ってしまうのですが、 NAHOK のスペーサーでも入れれば良いかもしれません。

ランパルへのオマージュが作らせたと言っても良いこの楽器でどこまで頑張れるかやってみることにします。

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コメント 7

般若坊

すごいフルートですね! ^^  金製ですか・・・ 是非音色を聴いてみたいですね。 また姿も神々しいばかりの品格がありますね!
by 般若坊 (2012-01-11 23:32) 

センニン

般若坊 さん、こんばんは。
プロではゴールドを使っている人が多いです。
もちろんランパルもですが、Louis Lot をしまい込んでしまってからは Haynes を専ら使っていましたが、やはり金です。
ゴールウェイも Nagahara の金ですし、BIS レーベルのシャロン・ベザリーは muramatsu の 24k です。日本人では工藤さんが代表でしょうか。
みんなそれぞれ音色が違いますが、私は現役では工藤さん、他界された方ではランパルの音色が好みです。
フルートはフルート吹きやその周辺の人以外にとっては区別がつかないほどどれもよく似ています。まあ、これは他の楽器でも事情は同じですが。
キーのデザインなどに特徴が出ますが、ランパルが愛奏した Louis Lot は右手親指で押さえるキーがに涙型だったのが特徴ですが、この楽器もそれにやや近いデザインになっています。
by センニン (2012-01-12 20:35) 

フルート親爺

センニン様時々このサイトにお邪魔しています。それにしても楽器うらやましい限りです!実際の音も聴いてみたいものです。ところで、私は以前「頭部管」のところに書いておられた以下の「フレーズ」に思わず引き込まれてしまいました!
「Bijouと同じようにポイントが狭く内吹きで最も良い響きが出せるタイプ」いままでに色々と頭部管遍歴を重ねてきましたがまさに、こんな頭部管を探しているような気がしています。センニン様がご存知の「このタイプ」の頭部管をいくつか教えていただけると大変ありがたいです!お忙しいところ勝手なお願いで恐縮ですが、宜しくお願い致します。
by フルート親爺 (2012-01-13 11:56) 

センニン

フルート親爺 さん、こんばんは。
いつも読みいただいているとのこと、ありがとうございます。
励みになります。

さてこの記事の楽器は今度の発表会で使おうとしている楽器ですが、FMC フルートマスターズの楽器ですので、ひとつの選択肢としてはこのメーカーのものでしょう。Type M でなく、C か SS ですね。
この楽器の頭部管は C より更に古い楽器に近いタイプです。

次の選択肢としては Altus の製品です。
以前田中会長のお話のことを取り上げましたが、同社の製品は基本的に内吹きで使うように設計されているようです。
しかしその特質が最も発揮されるのは PS や AL だと思います。

次にお勧めするのは個性派ですが相原さんのものです。
山野楽器に現物がありますのでお試しいただけると思いますが、なるべく歌口が小さくて円に近いものを選んでください。
円に近い小さな歌口はトラヴェルソに近づきます。もちろんポイントは極めて狭いです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/aiharaflute/newpage1.html
全てが山野楽器にあるわけではありませんので、もしお出掛けになれるようでしたら事前に希望のタイプをお伝えいただけると用意できるかもしれません。
by センニン (2012-01-13 21:02) 

センニン

ひとつ訂正します。
般若坊 さんからいただいたコメントに対して

 ランパルが愛奏した Louis Lot は右手親指で押さえるキーがに涙型だったのが特徴

と書きましたが、
 右手親指
としたのは誤りで、正しくは
 右手小指
です。
by センニン (2012-01-14 16:30) 

フルート親爺

アドバイス頂き大変参考になりました。有難うございます。FMCのType c、Type ssあたりから機会を見つけて試したいと思います。それからアルタスPS,ALも前から気になっていました。(アルタスは内吹き向きとの情報があったので)それから今回ご紹介頂いた「アイハラ」の頭部管はすごいですね!
単なる楽器と言うよりも「工芸品」的な雰囲気ですね。
私は東京から離れた地方在住なので、めったに上京する機会がありませんが、行く予定ができた場合には立ち寄って手にとって見たいと思います。色々とお気遣い頂きまして有難うございます。
頭部管の造りにはあまり詳しくはない(不勉強)ですが、チムニー(ライザー)が低めで、アンダーカットが少なく、歌口の穴が小さくて丸いものが「内吹きで最も良い響きが得られる」タイプとの認識でよいのでしょうか?
因みに好きな演奏家は、ランパル、ニコレ、グレフェナウアー、ベネットなどです。(共通点は無いような気もしますが活躍年代は重なってますね!)
これからも立ち寄らせて頂きます。今回は有難うございました。

by フルート親爺 (2012-01-16 11:00) 

センニン

フルート親爺 さん、こんばんは。
Altus は AL の方が私としては好みです。

頭部管については無難なところでは出来合いのものの中から選ぶのが良いとは思いますが、ご存知の通り同じモデルでも個体差があります。入門レヴェルの楽器は別として、特に歌口は人手によって削りますので違いがあって当然でむしろ同じものは作れないと言っても良いでしょう。

「内吹きで最も良い響きが得られる」ものをお探しでしたらおっしゃる方向で良いと思います。ただ、音量は少なめにはなります。
アンダーカットは息の入りやすさに関係しますのでアンダーカットが少ないと抵抗感が強めになると思います。
歌口が小さくて丸いものはポイントが狭く音量も稼げませんが、音色は良くなると思います。
ライザーが低いと低音が良く響き、高くなると高域がきれいに響くと言われます。

もしよろしければ相原さんに具体的にどういう響きが欲しいのか相談なさてみられたらいかがでしょう?もと Pearl にお勤めでアルトフルートの設計もなさっていて海外で技術指導にも当たられた方ですので希望の響きのものを作ってもらえるかもしれません。お値段も思ったより安く済むかもしれませんので、一度ご相談されることをお勧めします。

by センニン (2012-01-16 20:53) 

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