ムラマツで 9K と新しい 14K を試奏する。 [楽器]
muramatsu とはどうも相性が良くないので試奏の手も伸びません。
最近試奏したのは五月でした。
http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/2009-05-10-2
買える可能性のない楽器を試奏するのはある意味で気楽です。
お店の雰囲気も何か空々しいように感じられて("敷居が高い"とも言います)場所も遠いのでなかなか足を運びません。そう言いながらも doice楽器や DAC には行くのですが。
dolce楽器も慣れないと行きづらいと感じるかもしれません。お客さんの数も少ないですし、楽器は高いし。でも試奏室(レッスン室でもあるらしいですが)の響きが良いです。それはもう仮店舗の YAMAHA は別としても山野楽器とは比べ物になりません。
なので試奏するときは自分の楽器も必ず持って行かないとみんな良く思えてしまって危険です。
試奏室の響きだけでなく応対も良いです。
昨日の記事にも書きましたが、楽譜を買う必要があったので足を伸ばしました。
カタログが新しくなっていました。
ゴールドに SR がラインナップされたためでしょう。
試奏したのは 9K H足 と 14K-SR C足 のシルバーメカです。
両方を吹き比べてみると 9K は随分軽く感じられ、ゴールドとしては音色は明るいと思えました。まあ、それはそうでしょう。
muramatsu のシルバーを使っている、あるいはシルバーの音が好きだという人がゴールドを検討するときに違和感を感じなく、それでいて "ゴールドだ" という満足感が得られると思います。
9K を使った事がないからかもしれませんが、14K より純度の高いものでないとゴールドらしい音とは言えないと感じます。
先日の演奏会で聴いた東京フィルの森川さんの楽器も 14K でしたが、それでもまだシルバーに近い響きは残っています。
しかしこれも考え様で、曲によってはシルバーの明るさが欲しい場合など、この楽器(9K)が適しているのかもしれません。
そういうわけで 14K-SR の方に多く手が伸びました。
9K に比べればやや抵抗は強いですが、すぐに慣れるだろうと思われる程度です。
音量は Powell の 19.5K(Nagahara FC よりすごいです) ほどではありませんが十分あり、ダイナミクスの幅があってコントロールしやすく、細かいニュアンスを音にしてくれる表現力があります。第三オクターブに跳躍するときでも失敗が少ないです。
音色は深みがあり、息のコントロール次第で明るめの音も演出できます。
muramatsu のシルバーの音色はダーク系という意見もあるようですが、私はシルバーの音色は好みではありません。明るいか暗いかという観点ではなく、その密度に何か違うものを感じてしまうのです。
コントロールのしやすさは 9K でも共通するものがあります。
最近この blog を訪れてくださった すとん さんがご自分の記事に
なぜムラマツを愛用するプロ奏者がたくさんいるのか、分かったような気がしました
と書かれていましたが、まさにその通りだと思います。
以前から感じてはいたのですが、楽なのです。
楽器が助けてくれるという印象があるのです。
ややあやしいフレーズがあっても、キーの反応かパッドの作りか歌口のカットかあるいはその全部かそれ以外の要因か、自分が上達したかのような錯覚に陥ってしまうほどスムーズにフレーズが紡ぎ出されるのです。
手に取りやすい価格帯の GX でも YAMAHA の 211 や 311 のシリーズに比べれば価格はかなり高いです。お子さんにせがまれたら普通のご両親は YAMAHA を気に入って欲しいと思うでしょう。
YAMAHA のこのシリーズは驚く程良く鳴るという定評がありますが、ここに書いたような「楽器が助けてくれる」ような感覚があるのかどうか、今度機会があったら試してみたいと思います。
muramatsu を勧める人が多い理由がわかります。
上達が早いだろうと思います。
muramatsu をずっと使い続けていると他の楽器に替えようという気がなかなか起こらないだろうと思います。他の楽器が多分吹きづらく感じるだろうと思います。
特にオールド系の楽器を吹きこなすのは大変だろうと思えます。
前回の試奏で 24K を吹いてみて muramatu に対する評価に変化が起きた と書いていますが、そうした印象を忘れて吹いてみましたが、同じ思いが残りました。
一本あっても良いかな、と思いました。
お互い、褒めあっても仕方がない(笑)のですが、センニンさんの分析は妙にしっくり来ますね。
>muramatsu のシルバーの音色はダーク系という意見もあるようですが、~(中略)~、その密度に何か違うものを感じてしまうのです。
私もセンニンさん同様、ムラマツのシルバーには苦手意識があるのですが、この“何か”にひっかかるのかもしれません。この“何か”って、それこそ、ムラマツがムラマツ足り得ている部分なんでしょうね。ムラマツの楽器としての個性、つまり『ムラマツ・トーン』って奴かな…って気もします。
トラック・バックありがとうございました。こちらからも送らせていただきます。
by すとん (2009-10-04 08:53)
すとん さん、早速おいでくださいましたね (^^)
トラックバック、ありがとうございます。
この記事を書くときは「2009年春 フルート試奏の旅 ムラマツ編」はまだ読んでいなかったのですが、さっき読ませていただきました。YAMAHA の Bijou、以前使っていました。音色は良いのですが、ポイントが狭く、良さを引き出して使いこなせるのは上級者でしょうね。
そうした意味で Merveille は使いやすさに主眼を置いて開発されたようです。銀メッキをかけない、左手ピンレスシステムを採用、そして新しい頭部管を装着、その3点が Bijou との大きな違いです。
すとん さんとはなんだか共通する感性があるように思えます。
感性だけでなく、多くの人が感じているかもしれない事を文章に記しているという点もですね。
「ムラマツ・トーン」、確かにあります。
by センニン (2009-10-04 09:15)